グループホームの費用相場は、月額12〜16万円(都市部は〜20万円)です。
そして、有料老人ホームのような数百万〜数千万円もする「入居一時金」は原則不要です。
「意外と安いかも?」と思われたかもしれません。
ですが、元施設管理者の私から一つだけ注意点をお伝えさせてください。
パンフレットに書かれた月額費用に加え、「医療費」「オムツ代」「通院同行費」などの実費が、毎月1〜3万円ほど確実に上乗せされます。
これが現実です。
本記事のゴールは、単なる相場の解説ではありません。
「高額介護サービス費」や「世帯分離」といった制度を駆使し、手取り年金の中で無理なく支払うための具体的な設計図をお渡しすることです。
現役の訪問診療クリニック事務長としての知見を交え、2026年時点の最新制度に基づいて分かりやすく解説します。
💡この記事でわかること
- 地域別・グループホームの費用相場【2026年版】
- パンフレットには載らない「隠れコスト」の正体
- 年金内で支払うための「3つの節約制度」と申請方法
- 負担を劇的に下げる裏技「世帯分離」のやり方
- 特養・有料老人ホームとの費用対効果比較
グループホームの費用相場【地域別・リアルな総額】
グループホームは正式には「認知症対応型共同生活介護」と呼ばれます。
少人数(1ユニット5〜9人)で生活し、認知症ケアに特化した施設です。
まずは全国的な相場観と、実際に請求書に載ってくる金額のイメージを掴みましょう。
| 地域区分 | 月額費用の相場 | 特徴・内訳の傾向 |
|---|---|---|
| 首都圏・大都市 | 15〜22万円 | 地価が高く、家賃(居住費)だけで7〜9万円になることも。 |
| 地方都市 | 12〜16万円 | 平均的な価格帯。施設の数も多く、需給バランスが取れている。 |
| 郊外・地方 | 10〜14万円 | 家賃設定が低く、国民年金+αで収まる施設も存在する。 |
※介護保険1割負担を含む目安。オムツ代・医療費は別途。
入居一時金(初期費用)について
初期費用は、多くの施設で「原則0円」です。
ただし、例外として「敷金・保証金」が10〜30万円程度かかる場合があります。
敷金は戻ってくるお金
敷金は退去時のクリーニング代や原状回復費に充てられ、残金は返還されるのが一般的です。
有料老人ホームの「償却(戻ってこないお金)」とは性質が異なります。
入居には「要支援2以上」「医師による認知症の診断」「原則として施設と同じ市区町村に住民票があること」などの条件があります。
【事務長が暴露】費用の内訳と「隠れコスト」の正体
「月額13万円と聞いて入居したのに、最初の請求書を見たら16万円だった」
これは、介護施設で非常によくあるトラブルです。
内訳を分解し、どこに「隠れコスト」が発生するのかを把握しましょう。
1. 基本月額(固定費)
毎月必ずかかる費用です。
施設ごとの設定差が大きいため、比較検討のメインになります。
- 家賃(居住費):3〜8万円
※生活保護受給者向けの低額設定がある施設も存在します。 - 食費:3〜5万円
※1日3食+おやつ代。外泊時などの欠食による返金規定は要確認です。 - 水道光熱費:1〜2万円
※定額制か、居室ごとの検針(実費)か分かれます。 - 管理費・共益費:1〜3万円
※事務手数料や共用部の維持費、清掃費など。
2. 介護サービス費(1〜3割負担)
介護保険を使ったサービスの自己負担分です。
介護度によって定額で決まっています。
- 要支援2:約 21,000円
- 要介護1:約 22,000円
- 要介護3:約 26,000円
- 要介護5:約 30,000円
※1割負担、1単位10円換算の概算です。
さらに「医療連携体制加算」や「サービス提供体制強化加算」などで、月2,000〜5,000円程度が上乗せされるのが一般的です。
3. 見落としがちな「実費(変動費)」
ここが予算オーバーの最大の原因になります。
パンフレットには小さくしか書かれていません。
- 医療費・薬代(月3,000円〜1万円)
グループホームは医療機関ではないため、訪問診療や外来受診の医療費は別建てです。 - オムツ・リハパン代(月5,000円〜1万円)
施設で購入すると割高な場合も。持ち込みの可否を確認しましょう。 - 理美容代(1回2,000〜3,000円)
訪問理美容を利用する場合の実費です。 - 通院介助費・同行費
家族が付き添えない場合、スタッフの同行に「1時間1,500円〜」などの費用がかかる施設が多いです。
払えないとは言わせない!費用を抑える「3つの制度」+「裏技」
日本の社会保障制度は「申請主義」です。
知っているだけで、毎月の支払額が数万円変わることも珍しくありません。
必ず押さえておくべき制度を順番に解説します。
①高額介護サービス費(介護費の上限カット)
介護サービスの自己負担額(1〜3割分)が高額になった場合、所得に応じた上限額を超えた分が払い戻される制度です。
一般的な所得の世帯(住民税課税)であれば、月額44,400円が上限となります。
※厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額」より
②特定入所者介護サービス費(補足給付)
住民税非課税世帯で、預貯金などの資産要件を満たす場合、食費・居住費の負担が軽減されます。
グループホームの場合、国の補足給付の対象外となるケースもありますが、「自治体独自の家賃助成制度」でカバーされることが多いです。
必ず役所の窓口で確認してください。
③高額医療・高額介護合算療養費制度
医療費と介護費の両方がかかり、年間の合計額が著しく高額になる場合、限度額を超えた分が支給されます。
✅計算期間は「毎年8月1日〜翌年7月31日」です。
領収書は必ず保管しておきましょう。
【裏技】世帯分離で費用を劇的に下げる
これは現場の事務長として、ご家族によく提案するテクニックです。
同居家族に所得がある場合、そのままだと親も「課税世帯」扱いとなり、負担増につながります。
世帯分離の絶大なメリット
住民票を操作して親と子の世帯を分けることで、親単独の世帯を「住民税非課税世帯」にできる可能性があります。
- 介護保険料そのものが下がる
- 高額介護サービス費の上限が下がる(44,400円 → 24,600円など)
- 高額療養費(医療費)の上限が下がる
- 各種の軽減制度の対象になりやすくなる
※国民健康保険料への影響などデメリットが発生する場合もあります。必ず役所の窓口でシミュレーションを行ってください。
【要注意】親が認知症になると「口座・実家」が凍結される!?
グループホームの費用を「親の年金と貯金、いざとなれば実家を売って払おう」と考えているご家族に、事務長としてどうしても伝えておきたい最悪のシナリオがあります。
グループホームの入居条件は「認知症であること」です。
つまり、入居を検討している時点で、いつ親の資産が凍結されてもおかしくないギリギリの状態と言えます。
① 「親のお金が使えない」口座凍結の恐怖
親の認知症が進行し、銀行から「意思能力がない」と判断されると、即座に口座が凍結されます。
たとえ親本人のための施設入居費用であっても、子どもが窓口で勝手に引き出すことはできなくなります。
結果として、数百万円にのぼるグループホームの入居費用や月額費用を、子どもが自腹で立て替え続けるという悲惨な事態に陥るご家族を私は数多く見てきました。
\ 口座凍結を防ぐ「家族信託」 /
口座凍結を合法的に防ぐ唯一の手段が「家族信託」です。
しかし、これは親の意思確認ができる「今」しか契約できません。認知症が進行してからでは手遅れです。
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② 「誰も住まない実家が売れない」不動産凍結の罠
親がグループホームに入居すると、実家は「空き家」になります。
「この空き家を売って、親の介護費用に充てよう」と考えているなら、非常に危険です。
親が認知症の場合、不動産の売買契約を結ぶことができません。
つまり、売ることも貸すこともできない「負動産」として塩漬けになってしまうのです。
誰も住まない実家に、毎年数十万円の「固定資産税」や「維持管理費」がかかり続けます。
さらに放置して「特定空家」に指定されると、固定資産税が最大6倍に跳ね上がるリスクもあります。
\ 介護の「軍資金」を把握していますか? /
親の介護費用で共倒れしないためには、親が元気なうちに実家の「正確な資産価値」を把握し、売却や信託の準備を進めることが急務です。
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グループホーム vs 他施設(費用と特徴の比較)
「本当にグループホームでいいの?」と迷っている方へ。
費用と特徴を比較表にまとめました。
| 施設種類 | 費用相場(月額) | 待機期間 | 認知症対応 |
|---|---|---|---|
| グループホーム | 12〜16万円 | 数週間〜数ヶ月 | ◎(専門) |
| 特養(特別養護老人ホーム) | 8〜14万円 | 数ヶ月〜数年 | ◯ |
| 老健(介護老人保健施設) | 9〜14万円 | 比較的早い | ◯(在宅復帰前提) |
| 有料老人ホーム(介護付) | 18〜35万円 | 即入居可が多い | ◯(施設による) |
特養は費用が安いですが、「要介護3以上」が原則で待機も長いです。
認知症があり、「特養待ちはできないが、有料老人ホームは高すぎる」という層にとって、グループホームは最も現実的で最適な選択肢と言えます。
まとめ:事務長からのアドバイス
グループホームの費用は、制度の活用や工夫次第で十分にコントロール可能です。
最後に、失敗しないための「入居前チェックリスト」をお渡しします。
✅ 入居前チェックリスト
- 月額費用に含まれない「実費(通院費、理美容代など)」を確認したか?
- 「高額介護サービス費」の申請準備はできているか?
- (同居の場合)「世帯分離」のシミュレーションを役所で行ったか?
- 看取り対応や、医療依存度が上がった際の退去条件を確認したか?
大切なご家族を預ける場所だからこそ、お金の不安を事前に解消し、納得のいく施設選びをしてください。
まずは、お住まいの地域のグループホームが「具体的にいくらかかるか」、複数施設の資料を取り寄せて比較することから始めましょう。
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