老人ホームの費用が払えない?プロが教える負担軽減・助成制度一覧【2026年最新】

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「親を老人ホームに入れたいけれど、費用が心配」
「年金だけでは毎月の支払いが厳しいかもしれない」

介護の現場にいると、ご家族からこのような切実な相談を本当によく受けます。

私は元・有料老人ホームの管理者であり、現在は訪問診療クリニックの事務長として、数多くのご家庭の「介護とお金」の問題に向き合っています。

老人ホームの費用相場

厚生労働省の調査によると、平均月額費用は以下の通りです。

  • 有料老人ホーム:約23.1万円
  • 特別養護老人ホーム(特養):約12.5万円

(出典:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査 2023」

この金額を、毎月の年金や貯蓄だけで払い続けるのは容易ではありませんよね。
しかし、安心してください。日本には費用負担を劇的に軽くする仕組みがたくさん用意されています

最大の問題は、それらの制度が「複雑で分かりにくく、自分で申請しないと使えない」こと。

本記事では、医療・介護のプロの視点から、老人ホームの費用を軽減できる制度を種類別に分かりやすく整理しました。

「知らなかった」で損をしないよう、まずは全体像をしっかり把握していきましょう。

目次

介護保険で老人ホーム費用を安くする基本制度

老人ホームの費用を考えるうえで、最も基本となるのが「介護保険制度」の活用です。

要介護認定を受けていれば、介護サービス費は1〜3割負担で済みますが、それ以上に負担を減らせる2つの強力な制度があります。

1. 食費と居住費を下げる「特定入所者介護サービス費(補足給付)」

老人ホームの毎月の請求で、実は大きな割合を占めるのが「食費」と「居住費(家賃)」です。

この負担を定額まで引き下げてくれるのが、通称「補足給付」と呼ばれる制度です。

✅補足給付の対象と効果

  • 対象施設
    特別養護老人ホーム、介護老人保健施設(老健)、介護医療院
  • 対象者
    住民税非課税世帯など、所得と預貯金が一定基準以下の方
  • 軽減例
    1日2,000円の個室代が、820円まで下がることも

月額に換算すると、数万円から十数万円も支払いが安くなる非常に効果的な制度です。

対象施設に入る場合は、必ず市区町村の窓口で申請書類をもらいましょう。

※注:令和7年(2025年)8月から、居住費の基準に見直しが入っています。必ずお住まいの自治体の最新情報をご確認ください。

2. 払いすぎたお金が戻る「高額介護サービス費」

介護度が上がり、介護サービスの利用が増えると、1〜3割の自己負担だけでも月に数万円の請求になることがあります。

そんなときに家計を守ってくれるのが「高額介護サービス費」です。

  • 1か月の介護保険の自己負担額に上限が設けられる
  • 上限を超えて支払った分は、後から払い戻される
  • 要介護度が高く、サービスを多く使う人ほど恩恵が大きい

例えば、2026年時点での一般的な所得世帯なら、月額の上限は「44,400円」です。

住民税非課税世帯なら「24,600円」まで下がります。

申請は一度行えば、その後は自動的に口座へ振り込まれる自治体が多いので、忘れずに手続きを済ませてください。

医療制度による軽減|介護と医療の「二重負担」を防ぐ

老人ホームに入居しても、通院や訪問診療、薬代などの「医療費」は必ず別でかかります。

介護費にばかり目が行きがちですが、医療費への備えをしておかないと生活が破綻しかねません。

1. 医療費の青天井を防ぐ「高額療養費制度」

病院での支払いや薬代が高額になった際、1か月の上限額を超えた分が戻ってくるおなじみの制度です。

70歳以上の高齢者の場合、外来(通院)だけなら一般的な所得で上限「18,000円」に抑えられます。

老人ホームでの訪問診療や、急な入院時にも適用されるため、医療費が果てしなく膨らむ心配はありません。

ただし、差額ベッド代や入院中の食費は対象外となる点にご注意ください。

2. 年に1回まとめて返還「高額医療・高額介護合算療養費制度」

高齢者の多くは、医療と介護の両方を同時に使っています。

そこで、1年間(8月〜翌年7月)に支払った「医療費と介護費の合計」に上限を設け、超過分を払い戻してくれる制度があります。

〇世帯ごとの年間上限額(目安)

  • 一般世帯:年間 56万円程度
  • 低所得世帯(住民税非課税):年間 31万円程度

月々の限度額(高額介護・高額療養費)を適用した「あと」に残った自己負担額が対象です。

毎年手続きが必要な場合が多いので、医療保険者(市区町村の国保窓口など)からの案内を見落とさないようにしましょう。

税制上の優遇|確定申告で実質的な支出を減らす

直接的な割引ではありませんが、税金の控除を正しく申告することで、払いすぎた税金が戻り、翌年の住民税も安くなります。

結果として、手元に残るお金(使えるお金)が増えるため、絶対に無視できません。

医療費控除と障害者控除

老人ホームの費用のうち、「医師の指示による医療系サービス」や「おむつ代(医師の証明書あり)」などは医療費控除の対象になります。

単なる居住費や食費は対象外ですが、領収書の内訳をしっかり確認することが大切です。

また、要介護認定を受けている高齢者は、自治体から「障害者控除対象者認定書」を発行してもらえるケースが多いです。

これがあれば、確定申告で「障害者控除」を受けることができ、大きな節税に繋がります。

親を扶養に入れる「扶養控除」

親が老人ホームに入居して別居状態になっても、子どものあなたが生活費や施設費用を仕送り(負担)している場合、税法上の「扶養」に入れることができます。

  • 70歳以上の親を扶養に入れると「老人扶養控除(48万円)」が適用
  • 子育て世帯の親(あなた自身)の所得税や住民税が大幅に安くなる

施設費用を援助している場合は、年末調整や確定申告で忘れずに申告してください。

住んでいる地域で変わる!自治体独自の助成制度

ここまで紹介した国の制度以外にも、各市区町村が独自に設けている助成制度があります。

私が事務長として地域を回っていても、「隣の市なら助成が出たのに」という悔しいケースをよく見かけます。

✅おむつ代・生活用品の助成

紙おむつを月に数千円分現物支給したり、購入費を補助したりする自治体があります。

✅家賃補助(サ高住など)

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居にあたり、低所得世帯向けに家賃を補助する制度を持つ自治体もあります。

✅社会福祉法人による負担軽減

特養などを運営する社会福祉法人が、自治体と協力して低所得者の利用料を1〜2割減額する制度です。

自治体の制度は名称も内容もバラバラです。

必ず、お住まいの市区町村の「高齢福祉課」や、担当のケアマネジャーに「うちの地域で使える助成はありませんか?」と直接聞いてみてください。

資金作りの最終手段!資産の活用とセーフティネット

あらゆる公的制度を使っても、どうしても毎月の支払いが足りない。

そんな時に検討すべき「資金の作り方」と「最後の砦」について解説します。

介護保険の限界を「実家売却」でカバーする

親が老人ホームに入居し、誰も住まなくなった「実家」。

実は、この空き家を放置しておくことは、固定資産税や維持管理費がかかり続ける「負動産」になりかねません。

施設費用に不安があるなら、空き家リスクの早期解決と介護費用の捻出を同時に行える「実家の売却」を選択肢に入れましょう。

介護の資金繰りに悩んだら、まずは無料査定で現状を知ることから始めましょう!

世帯分離と生活保護

同居している子世帯の収入があるせいで、親が「非課税世帯向けの軽減制度」を受けられない場合があります。

この際、住民票を分ける「世帯分離」を行うことで、親単独の所得で審査され、負担が軽くなるケースがあります(※子世帯の税制メリットが減る場合もあるため事前シミュレーション必須)。

また、いよいよ資金が底をついた場合は「生活保護」という選択肢もあります。

生活保護を受給していても入居できる施設(特養など)は存在します。

「最後の手段」としてためらわずに福祉事務所へ相談してください。

老人ホームの費用に関するよくある質問

補足給付(特定入所者介護サービス費)は有料老人ホームでも使えますか?

残念ながら使えません。補足給付の対象となるのは、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院などの「公的施設」のみです。有料老人ホームやグループホームの食費・居住費は対象外となります。

高額介護サービス費は、毎月自分で申請しないといけませんか?

初回のみ申請が必要です。一度お住まいの市区町村に申請書と振込先口座を登録すれば、以降は上限を超えた月に自動で振り込まれる仕組みになっている自治体がほとんどです。

親と同居していなくても、扶養控除の対象になりますか?

はい、対象になる可能性があります。別居して親が老人ホームに入っていても、あなたが定期的に仕送りをしたり、施設の費用を負担したりして「生計を一にしている」と認められれば、扶養控除を受けることができます。

施設入居の資金がどうしても足りない場合、どうすればいいですか?

誰も住まなくなった実家の売却(不動産の現金化)や、社会福祉協議会が行っている生活福祉資金貸付制度などを検討してみてください。また、生活保護を受給していても入れる施設はありますので、早めに地域包括支援センターや福祉事務所へ相談しましょう。

まとめ:制度は「知って、申請する」ことで初めて使える

老人ホームの費用負担を軽減する制度について、全体像を解説しました。

  • 介護保険:補足給付や高額介護サービス費で基本料を下げる
  • 医療制度:高額療養費で医療と介護のダブルパンチを防ぐ
  • 税金控除:医療費控除や扶養控除で手取り額を守る
  • 自治体助成:住んでいる地域の独自サポートを使い倒す
  • 資金捻出:実家売却など、資産を整理して軍資金を作る

最もお伝えしたいのは、これらの制度は「待っていても誰もやってくれない」ということです。

窓口へ行き、書類を出し、申請して初めて費用が安くなります。

まずは親の「年金額」と「預貯金」を正確に把握し、担当のケアマネジャーや施設の相談員に掛け合ってみましょう。

プロの力を借りながら、無理のない介護生活の基盤を作っていってください。

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「施設代、月20万円の請求書。いつまで私の貯金が持つだろう……」

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