「特養は待機が長すぎて入れない」
「有料老人ホームは高すぎて手が出ない」
そんな切実な状況で、多くの方が検討するのが「老健(介護老人保健施設)」です。
リハビリが充実し、入居一時金も0円。
しかし、実は「月々の費用」以外にも、老健には特有のコスト的・制度的な落とし穴があることをご存知でしょうか?
✅この記事でわかること
- 老健のリアルな月額費用と内訳
- 2025年以降の「費用値上げ」のリスク
- 費用を半額以下にする「3つの最強制度」
- 認知症による「資産凍結」を防ぐ事前対策
現役の在宅クリニック事務長であり、元施設管理者として現場の裏側を見てきた私が、老健の費用相場と負担を最小限に抑えつつ、「3〜6ヶ月後の退所」を見据えた絶対にやっておくべき資金対策をわかりやすく解説します。
【結論】老健の費用相場は月8〜13万円
まず結論からお伝えすると、老健の費用相場は月額8〜13万円(1割負担の場合)です。
これは居住費・食費・介護サービス費を含んだ目安ですが、ここにおむつ代や医療費などの「実費」が加算される仕組みです。
他の介護施設と比べると「圧倒的に安い」
老健は「在宅復帰」を目的とした公的施設です。
そのため、他の施設形態と比較しても費用負担が極めて軽いのが最大の特徴です。
| 施設種別 | 月額費用目安 | 入居一時金 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 老健 | 8〜13万円 | 不要 | 医療+リハビリ充実。最も低コスト |
| 特養 | 10〜15万円 | 不要 | 安価だが待機者が多く入所難易度が高い |
| 有料老人ホーム | 15〜35万円 | 0〜数千万円 | サービスは手厚いが費用負担は重い |
| サ高住 | 12〜25万円 | 敷金程度 | 自由度は高いが介護費用が変動しやすい |
※2025年時点・1割負担の目安
有料老人ホームでは数百万〜数千万円かかることもある「入居一時金」が、老健では一切かかりません。
初期費用0円でスタートできるのは、ご家族にとって非常に大きなメリットです。
【要注意】2025年以降の「多床室室料」負担増
これまで老健の多床室(相部屋)の室料は「基本無料(光熱費等除く)」に近い扱いでした。
しかし、制度改正により状況が変わりつつあります。
⚠️2025年8月施行予定の改正案に注意
厚生労働省の議論では、これまで負担がなかった「多床室」の室料について、月額8,000円程度の自己負担を導入する方向で調整が進んでいます(※所得要件等あり)。
これから入所を検討される方は、「今の相場より月1万円ほど高くなる可能性がある」と見積もっておくのが安全です。
【詳細内訳】老健費用の仕組みとシミュレーション
老健の請求書は複雑に見えますが、大きく分けて4つのブロックで構成されています。
✅老健費用の4大要素
- 施設サービス費(1〜3割負担)
介護度に応じた基本料金。要介護度が高いほど高くなります。 - 居住費・食費(全額自己負担※)
家賃と食事代。※後述する「補足給付」で大幅に安くなります。 - サービス加算(1〜3割負担)
「リハビリ強化」「看取り対応」「栄養管理」など、受けたケアに応じて加算されます。 - 日常生活費・医療費(実費)
理美容代、私物洗濯代、特別な医療処置、薬代など。
現場の視点からお伝えすると、意外と見落としがちなのが「4. 日常生活費」です。
施設によってはタオルレンタル代や教養娯楽費として定額請求されることがあり、これが地味に月1〜2万円の負担増になります。
【シミュレーション】要介護3・多床室の場合
最も標準的なケースで計算してみましょう。
【モデルケース(1割負担・一般世帯)】
- 基本サービス費:約26,000円
- 各種加算(リハビリ等):約5,000円
- 食費:約43,000円(1,445円/日)
- 居住費(多床室):約11,000円(377円/日)
- その他実費:約10,000円
合計目安:約 95,000円 / 月
これが「個室(ユニット型)」になると、居住費が一気に月6万円(約2,000円/日)ほどに跳ね上がり、総額15万円近くになります。
「費用を抑えるなら多床室」が鉄則です。
【絶対申請】費用を安くする3つの最強制度
老健の費用は、申請さえすれば劇的に安くなる可能性があります。
特に「世帯全員が住民税非課税」の場合、負担は半分以下になります。
1. 特定入所者介護サービス費(補足給付)
これは食費と居住費を国が肩代わりしてくれる制度です。
資産要件(預貯金1,000万円以下など)がありますが、効果は絶大です。
| 対象区分 | 食費(月額) | 居住費(多床室/月) | 軽減効果 |
|---|---|---|---|
| 一般世帯(申請なし) | 約43,000円 | 約11,000円 | – |
| 非課税世帯(第3段階) | 約12,000円 | 約11,000円 | 約3万円お得! |
| 非課税世帯(第2段階) | 約12,000円 | 約11,000円 | 約3万円お得! |
※令和6年8月改定後の基準にて試算
必ず市町村窓口で「負担限度額認定証」の申請を行ってください。
これがないと軽減は受けられません。
2. 高額介護サービス費
介護費用の自己負担額(1〜3割部分)が上限を超えた場合、超過分が戻ってくる制度です。
- 一般世帯の上限:44,400円 / 月
- 非課税世帯の上限:24,600円 / 月
3. 高額医療・高額介護合算療養費制度
老健は医療費もかかります。年間(8月〜翌7月)の「医療費」と「介護費」を合算し、限度額を超えた分が払い戻される制度です。
「今年は入院もして医療費がかさんだ…」という年は、この制度で数万〜数十万円が戻ってくる可能性があります。
【重要】老健入所中に迫る「資産凍結」の危機と対策
老健はあくまで「在宅復帰」を目指す施設であるため、原則として3〜6ヶ月で退所を求められます。
自宅での介護が難しい場合、次は「有料老人ホーム」などを探すことになり、入居一時金や高い月額費用が必要になります。
ここで、現場で最も多い「お金の悲劇」についてお伝えします。
親の認知症が進行すると「お金が引き出せない」!?
老健に入所されている方は、認知症の症状を抱えているケースが少なくありません。
もし、入所中に親の認知症が進行し「意思能力がない」と判断されてしまうと、以下のような資産凍結(口座凍結)が起こります。
- 親名義の銀行口座から定期預金が引き出せない
- 親名義の実家(空き家)を売却できない
- 結果、子どもが自腹で数百万円の施設費用を立て替えるハメに…
「親には十分な貯蓄や持ち家があるから大丈夫」と安心しているご家族ほど、この罠にハマってしまい、家族共倒れになるケースを私は何度も見てきました。
対策①:手遅れになる前に「家族信託」を組む
この資産凍結を完全に防ぐ方法が「家族信託」です。
家族信託は、親の判断能力が残っているうちに、財産の管理権を信頼できる家族(子ども)に託す契約を結んでおく制度です。
これをやっておけば、万が一親の認知症が進行しても、子どもが親の口座から堂々と施設費用を支払ったり、実家を売却したりすることが可能になります。
▼あの時やっていれば…と後悔する前に▼
対策②:実家を「負動産」にしないための事前査定
老健退所後、有料老人ホームの入居一時金(数百万円〜)が必要になった場合、誰も住まなくなった実家を売却して費用に充てるご家族が非常に多いです。
しかし、いざ売りたい時に「いくらで売れるか」が分かっていないと、次の施設選びの資金計画が立てられません。
▼「売れない」と諦めていた家の救済措置▼
※周囲に知られず売却可能。まずは価値を知ることから。
【ワケガイ公式サイトで無料査定】
まとめ:老健は制度と資金対策の「合わせ技」で乗り切る
最後に、老健の費用を抑え、将来の不安をなくすための手順を整理します。
まずは「負担限度額認定証」を役所で申請し、月々の出費を最小限に抑えます。
個室を避け、洗濯代や日用品などの見えない実費項目を契約前に確認します。
親の認知症が進む前に「家族信託」を検討し、親の口座から介護費用を引き出せる仕組みを作ります。
老健退所後の有料老人ホーム入居に備え、実家売却時の査定額を調べ、資金計画を立てておきます。
老健は、費用負担が少なくリハビリも受けられる素晴らしい施設ですが、「その先の資金計画(資産凍結リスクの回避)」までセットで考えることが、家族の生活を守る唯一の方法です。
適切な知識と早めの行動があれば、老後の資金不安は必ず解消できます。
まずは無料でできる専門家への相談や査定から、第一歩を踏み出してみてください。











