「老健の費用ってどのくらい?」「特養との違いがよくわからない…」
病院から退院を迫られ、急いで次の行き先を探しているご家族から、日々このようなご相談を受けます。
私はこれまで看護師として救急現場に立ち、有料老人ホームの施設長を経て、現在は訪問診療クリニックで事務長をしています。
医療と介護の「つなぎ目」を長年見てきた立場から、今回は「介護老人保健施設(老健)」について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
結論から言うと、老健は「月額8〜13万円程度で利用できる、在宅復帰をめざすための中間施設」です。
「ずっと住み続ける場所」ではなく、リハビリをして自宅に帰る準備をするための「一時的な滞在先」である点が最大のポイントです。
費用から入居条件、そして在宅復帰を見据えた準備まで、スマホでサクッと読めるようにまとめました。
✅この記事でわかること
- 老健(介護老人保健施設)のリアルな費用相場と内訳
- 特養や有料老人ホームとの決定的な違い
- 費用を安く抑えるための公的な軽減制度
- 退院して自宅に戻るための家族の準備と負担軽減策
1. 老健の費用相場は「月8〜13万円」!特養との比較と内訳
介護老人保健施設(老健)の費用は、月額8〜13万円程度が相場です。
公的な介護保険施設であるため、有料老人ホームのように数十万〜数百万という「入居一時金(初期費用)」は原則不要です。
比較的安価に、充実したリハビリと医療ケアを受けられるのが特徴です。
費用の内訳(何にいくらかかる?)
月額費用の内訳は、大きく分けて以下の4つに分類されます。
💰老健の月額費用内訳(目安)
- 居住費(部屋代):2〜5万円(多床室か個室かで大きく変動します)
- 食費:3〜4万円
- 介護サービス費(自己負担分):2〜3万円(要介護度や施設の体制によって変動)
- 医療費・日用品費など:数千円〜1万円程度
合計すると、多床室(相部屋)なら8〜10万円前後、個室なら12〜13万円前後が目安になります。
特養(特別養護老人ホーム)と比較すると、老健には医師やリハビリ専門職(理学療法士など)が手厚く配置されているため、その分、少しだけ費用が高く設定されています。
2. 老健の費用を安く抑える!知っておくべき公的制度
「月額13万円はちょっと厳しいかも…」という方も安心してください。
老健は公的施設のため、所得に応じた負担軽減制度が用意されています。
これを知らないと損をしてしまうので、必ず確認しましょう。
① 負担限度額認定証(居住費・食費の軽減)
所得が低く、預貯金が一定額以下の方を対象に、居住費(部屋代)と食費の自己負担上限額が引き下げられる制度です。
市区町村の窓口で申請し、「負担限度額認定証」を施設に提示することで、毎月の支払いが数万円単位で安くなる可能性があります。
② 高額介護サービス費制度
1ヶ月間に支払った「介護サービス費の自己負担額(1割〜3割)」が、所得に応じた上限額を超えた場合、超過分が後から払い戻される制度です。
こちらも市区町村への申請が必要です。
これらの制度は「自己申告制」です。病院のソーシャルワーカーや、地域のケアマネジャーに「軽減制度は使えますか?」と必ず相談してください。
3. 【対象者】老健に入居できる条件と期間のルール
特養や有料老人ホームと違い、老健は「医療とリハビリに重点を置く施設」なので、入居条件も少し特殊です。
💡老健の入居条件・ポイント整理
- 要介護1〜5の認定を受けていること(要支援は原則対象外)
- 病院での治療が終わり、病状が安定していること
- 原則65歳以上(特定疾病がある場合は40歳以上も可)
- 長期入居ではなく、「在宅復帰」を目的とした一時利用であること
老健の滞在期間は「原則3〜6ヶ月」
ここが一番の注意点です。
老健は「次の生活に戻るための準備施設(中間施設)」です。
そのため、入居すると3ヶ月ごとに「退所判定会議」が開かれ、リハビリの進捗や在宅復帰の可能性が評価されます。
ずっと住み続けることはできず、数ヶ月で自宅や別の施設(特養や有料老人ホームなど)へ移るのが前提となります。
4. 老健の入居までの流れ
老健を利用する際の流れは以下の通りです。
特養に比べて待機者が少なく、比較的早く入居できるケースが多いですが、「医療的に安定しているか」の審査は厳しめです。
- 1. 情報収集・相談
-
病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)や、担当のケアマネジャーに相談します。
「リハビリをして家に帰りたい」という目的を明確に伝えましょう。 - 2. 施設見学・説明
-
候補となる老健を見学し、リハビリ体制や居室の環境、費用の見積もりを確認します。
- 3. 申込み・必要書類の準備
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申込書に加え、病院の医師が作成する「診療情報提供書」などが必要です。
- 4. 面談・入所判定会議
-
施設のスタッフ(医師・看護師・相談員など)と面談を行い、受け入れが可能かどうかの判定会議が行われます。
- 5. 契約・入居開始
-
判定をクリアし、ベッドが空き次第、契約をして入居となります。
5. 成功する「在宅復帰」!退院後の介護負担を劇的に減らす準備
老健はどんな人に向いているのでしょうか?
- 退院直後で、自宅生活に不安がある人
- 専門的なリハビリを集中して受けたい人
- 家族が自宅受け入れの準備をする(介護ベッドの手配など)期間が欲しい人
老健での数ヶ月間は、ご本人がリハビリを頑張る期間であると同時に、「ご家族が自宅での介護体制を整える準備期間」でもあります。
特に、在宅介護が始まった時にご家族を最も苦しめるのが「毎日の食事の準備」と「水分補給・服薬の管理」です。
老健にいる間に、この負担を外部サービスで自動化する仕組みを作っておくことが、在宅介護を長続きさせる最大の秘訣です。
【準備1】食事の準備は「専門の宅配食」で手放す
高齢者の食事は、塩分制限があったり、柔らかく煮込んだりする必要があり、ご家族の分と分けて作るのは想像以上のストレスになります。
現場の医療者として強くおすすめしているのが、食事制限専門の宅配食に頼ることです。
老健からの退院後、毎日の献立作りに悩まないために。
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レンジで温めるだけで、ご本人は美味しく、ご家族は劇的にラクになります。
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【あわせて読みたい安心の食事準備】
老健から自宅へ戻る際、ご本人の噛む力や持病(高血圧・糖尿病・腎臓病など)に合わせた食事を毎日手作りするのは、ご家族にとって想像以上の負担になります。
医療・介護の現場を知るプロが、病態や噛む力に合わせて失敗しない宅配食を厳選・比較したランキングを公開しています。
退院後の食事づくりに少しでも不安がある方は、ぜひ参考にしてください。
【部位・症状別】がん療養の食事作りに疲れたら。プロが選ぶ宅配食おすすめランキング
【実食比較】噛めない親が完食!冷凍ムース食・やわらか食おすすめランキング|誤嚥を防ぐプロの選び方
【準備2】脱水予防と薬を飲む「水」の準備
高齢者は喉の渇きを感じにくく、脱水になりやすい傾向があります。
また、薬の量も多いため「すぐにお湯や冷水が出る環境」は、介護において必須レベルで役立ちます。
毎回お湯を沸かす手間を省くため、ウォーターサーバーを導入する介護家庭が急増しています。
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【あわせて読みたい時短介護の仕組み】
在宅での介護が始まると、1日に何度も行う「お湯を沸かす」「薬を飲ませる」「冷ます」「水分補給を促す」という細かな作業が、ご家族の体力をじわじわと奪っていきます。
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【時短革命】医療・介護のプロが断言!在宅介護と育児の負担を減らすウォーターサーバー活用術
まとめ:老健は「次へつなぐ」ための大切なステップ
✅本記事のまとめ
- 老健の費用は月8〜13万円。入居一時金は不要。
- 長期入居の施設ではなく、3〜6ヶ月で在宅復帰を目指す中間施設。
- 負担限度額認定証などの制度を使えば費用は安くなる。
- 入居中の数ヶ月間は、家族が在宅介護の準備(宅配食や環境整備)をする貴重な時間。
「老人ホーム」とひとくくりにされがちですが、老健には特養や有料老人ホームとは全く違う「在宅復帰へのステップ」という明確な役割があります。
退院直後の不安な時期を支えるために、医療・介護のプロが揃う老健を上手に活用してください。
そして、ご家族自身が倒れないよう、便利なサービスはどんどん頼っていきましょう。












