「老人ホームや介護施設の費用はどのくらいかかるの?」
「特養と有料老人ホーム、どう違うの?」
こうした疑問を持つ方は少なくありません。
介護施設には公的施設から民間施設まで複数の種類があり、月額費用が8万円台から30万円超まで大きく変動します。
本記事では主要な6種類(特養・老健・有料老人ホーム・グループホーム・サ高住・介護医療院)の費用相場を比較表で整理し、さらに費用を抑えるために利用できる制度も紹介します。
主要6施設の費用相場まとめ

老人ホームや介護施設の費用は、施設の種類によって大きく異なります。
「公的施設」である特養や老健は比較的安価ですが、「民間施設」である有料老人ホームやサ高住は費用が高め。
また、医療体制が整った介護医療院は中間的な水準に位置しています。
以下に、主要6施設の 月額費用相場と入居一時金 を一覧表で整理しました。
老人ホーム・介護施設の費用比較表(2025年版)
| 施設種類 | 月額費用の目安 | 入居一時金 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 12〜15万円 | 不要 | 公的施設で安価、待機者多数 |
| 介護老人保健施設(老健) | 8〜13万円 | 不要 | 医療・リハビリ重視、在宅復帰が目的 |
| 有料老人ホーム | 15〜30万円 | 数十万〜数千万円 | サービス充実、快適性重視 |
| グループホーム | 12〜16万円 | 不要(敷金程度) | 認知症高齢者向け、小規模・家庭的 |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 10〜20万円 | 敷金程度 | 高齢者専用賃貸+生活支援サービス |
| 介護医療院 | 12〜20万円 | 敷金程度 | 医療+介護の長期療養施設 |
この表で 全体の費用感を把握 したうえで、以下では施設ごとに特徴・メリット・デメリットを整理していきます。
👉まずは全体像をつかんだ上で、家族に合う施設タイプの見極め方と、費用を確実に下げる公的制度の使い方を押さえておくと、次の一手が明確になります。



施設別の費用ポイントと特徴

同じ「老人ホーム」といっても、施設の種類によって費用の仕組みや特徴は大きく異なります。
ここでは、主要6施設ごとに費用面のポイントを簡潔にまとめます。
特別養護老人ホーム(特養)
- 費用:月12〜15万円程度
- 入居一時金は不要
- 公的施設のため安価で安定しているが、待機者が非常に多いのが課題
メリット
- 公的施設なので費用が安定して安い
- 終身利用できるため長期入居に向いている
デメリット
- 待機者が非常に多く、すぐに入居できない
- 個室が少なく、生活環境の自由度は低め
向いている人
- 「とにかく安く長く入居したい」方
- 医療依存度が低く、要介護度が高い高齢者
👉特養が向くかどうかは、実際の自己負担と軽減制度の適用、入居までの流れと要件をセットで確認すると判断しやすくなります。


介護老人保健施設(老健)
- 費用:月8〜13万円程度
- 入居一時金は不要
- 費用は安いが「在宅復帰」が目的のため、原則3〜6か月で退所が必要
メリット
- 費用が比較的安価
- 医療やリハビリ体制が整っている
デメリット
- 「在宅復帰」が目的のため、長期入居は不可
- 原則3〜6か月で退所が必要
向いている人
- 退院後のリハビリや一時的な入所先を探している方
- 自宅復帰を前提とした短期利用を考える家庭
老健は在宅復帰が前提。
費用と期間の目安は最新の費用相場と、内訳・軽減制度の具体例で把握して、次の住まい選びに備えましょう。


有料老人ホーム
- 費用:月15〜30万円程度
- 入居一時金が数十万〜数千万円かかる場合あり
- サービス・快適性を重視する分、コストは最も高い施設形態
メリット
- サービスや設備が充実し、快適な生活環境
- 医療対応や介護サービスを選択できる施設も多い
デメリット
- 費用が高額になりやすい
- 施設によって質に大きな差がある
向いている人
- 「安心・快適な暮らし」を重視する方
- 経済的に余裕があり、質の高い介護を希望する家庭
👉有料は高額になる可能性があります。
費用相場と内訳の理解に加えて、減額・払い戻し制度の活用で総負担を抑える方法を知っておきましょう。



グループホーム
- 費用:月12〜16万円程度
- 認知症の方が対象、家庭的で少人数制
- 入居一時金は不要(敷金程度)
メリット
- 少人数制で家庭的な雰囲気
- 認知症ケアに特化している
デメリット
- 原則として認知症の診断が必要
- 医療体制は限定的
向いている人
- 認知症があり、家庭的な環境で生活したい方
- 少人数で落ち着いた暮らしを希望する高齢者
検討時は、月額の実負担と軽減制度の効き方、入居条件・生活イメージを併読してミスマッチを防ぎましょう。



サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- 費用:月10〜20万円程度
- 家賃+生活支援サービス費+介護サービス費で構成
- 入居一時金は不要(敷金のみ)
メリット
- 自宅感覚で暮らしやすい
- 必要に応じて介護サービスを追加できる柔軟さ
デメリット
- 介護サービスは外部事業所に依頼する必要あり
- 介護度が重くなると生活が難しいケースも
向いている人
- 自立度が高い高齢者
- 「自由に暮らしつつ、必要時にサポートを受けたい」方
👉サ高住は家賃+支援費+介護費の設計が肝。
最新の費用相場と安くする制度、仕組み・暮らし方の全体像で検討を具体化できます。


介護医療院
- 費用:月12〜20万円程度
- 医療+介護の長期療養施設
- 医療費が別途発生するため、医療依存度によって費用が変動
メリット
- 医療と介護の両方を長期的に受けられる
- 重度の要介護者や医療依存度が高い人でも対応可能
デメリット
- レクリエーションや生活支援は限定的
- 入所先が少なく、地域によって選択肢が限られる
向いている人
- 医療的ケアが必要な高齢者
- 長期的に安定した療養生活を送りたい方
このように、特養・老健は安価、有料は高額、その他の施設は中間的 という位置づけになります。
👉医療依存度が高い場合は、月額の内訳と想定レンジに加えて、病院・他施設との違いを把握すると選択がぶれません。


費用を抑えるための共通制度

老人ホームや介護施設の費用は、入居する施設の種類によって差がありますが、共通して利用できる公的制度 をうまく活用することで、大幅に自己負担を減らすことができます。
ここでは、どの施設でも活用可能な代表的な制度を紹介します。
- 高額介護サービス費(介護費用の上限設定)
- 高額療養費制度(医療費の上限設定)
- 高額医療・高額介護合算制度(年間の負担を抑制)
- 自治体の独自助成(紙おむつ代・交通費・理美容券など)
👉 これらを組み合わせることで、年間で数十万円の節約も可能 です。
高額介護サービス費
介護保険を利用したサービス費には、自己負担の上限額が定められています。
- 一般世帯:44,400円/月
- 住民税非課税世帯:24,600円/月
👉 要介護度が高い方ほど、負担軽減効果が大きくなります。
高額療養費制度
医療費が高額になった場合に、自己負担額を軽減できる制度です。
- 一般世帯:57,600円/月
- 住民税非課税世帯:24,600円/月
👉 入居施設に関わらず、通院や入院、訪問診療で医療費がかかった場合に適用されます。
高額医療・高額介護合算制度
介護費と医療費を1年間で合算し、一定額を超えた分が払い戻される制度です。
- 一般世帯:約56万円/年
- 住民税非課税世帯:約31万円/年
👉 医療と介護の両方を使う人が多い高齢者世帯にとって、非常に有効です。
自治体の独自助成
自治体によってあったりなかったりしますが、おむつ代の助成は割とメジャーな助成で、「助かっている」という話をよく聞きます。
- 紙おむつ代助成
- 理美容券の配布
- 通院交通費助成
- 食費・居住費軽減
👉 住んでいる地域によって差があるため、役所での確認が必須です。
ポイント整理
- 介護費 → 高額介護サービス費で上限を設定
- 医療費 → 高額療養費制度で月の負担を抑制
- 年間トータル → 合算制度でさらに軽減
- 地域差 → 自治体の独自助成でプラスの軽減策
👉 これらを組み合わせれば、施設費用を年間で数十万円抑えることも可能 です。
費用負担を減らす制度は以下の記事をご参照ください
💡実際の軽減額や申請の流れは、制度別の網羅ガイドと、仕組み別の整理で具体化できます。


まとめ:老人ホーム・介護施設の費用は比較と制度活用がカギ

老人ホームや介護施設の費用は、施設の種類によって大きく異なります。
費用を抑えたい方に人気の特養や老健、快適性やサービスを重視する有料老人ホーム、認知症ケアに特化したグループホーム、自立度に応じて柔軟に暮らせるサ高住、医療体制が充実した介護医療院──それぞれに特徴と費用の違いがあります。
費用相場を整理すると:
- 特養・老健 → 月8〜15万円程度(公的で安価)
- 有料老人ホーム → 月15〜30万円程度(民間で高額)
- グループホーム・サ高住・介護医療院 → 月10〜20万円程度(中間層)
👉 「安さ重視」なら特養や老健、「医療体制重視」なら介護医療院、「自由度重視」ならサ高住、「認知症ケア」ならグループホーム、といった選び方が現実的です。
さらに詳しい制度の解説や各施設の詳細は、以下のリンク先記事で紹介しています。

施設ごとの特徴や費用の仕組みを深掘りしたい方は、ぜひ関連記事もあわせてご覧ください。

