腎臓病でも回転寿司はOK?看護師が教える「塩分2g」に抑えるネタ選びと5つの裏技

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「腎臓が悪くなってから、大好きだったお寿司を諦めている……」
「家族が回転寿司に行こうと言うけれど、自分だけ何を食べていいか分からない」

そんな悩みを抱えていませんか?
確かに、お寿司は醤油や魚介類(生魚)を使うため、塩分やカリウムの制限がある腎臓病の方にとってはハードルが高い食事です。

しかし、結論から言えば、選び方と工夫次第で、腎臓病の方でもお寿司を楽しむことは十分に可能です。

実際に私が担当する患者様でも、数値コントロールをしながら月1回の外食を楽しんでいる方はたくさんいらっしゃいますよ。

この記事では、看護師としての視点と公的なデータに基づき、検査数値を守りながら回転寿司を楽しむための「ネタ選びの正解」「プロの裏技」を徹底解説します。

目次

寿司の塩分は「醤油」だけじゃない!最大の敵は「シャリ」

「醤油を少しだけにすれば大丈夫」と思っていませんか?
実は、お寿司には見落としがちな塩分の罠があります。それが「シャリ(酢飯)」です。

⚠️ 知っておきたい「見えない塩分」
文部科学省の「日本食品標準成分表」によると、酢飯100gあたりの食塩相当量は約1.0g〜1.3gです。
一般的な回転寿司のシャリは1貫あたり約15g〜20g程度。つまり、1貫(シャリのみ)で約0.2g前後の塩分が含まれています。

計算してみましょう。
醤油を一滴もつけなくても、10貫(5皿)食べるだけで、塩分2.0g近くを摂取してしまう可能性があります(ネタに含まれる微量な塩分も含む)。

これを知らずに、醤油を小皿に入れてたっぷりつけてしまうと、たった一食で1日の塩分制限(6g未満)の半分以上を使ってしまうことになるのです。

【成分表あり】腎臓を守る「ネタ選び」ランキング

では、何を注文すれば安心なのでしょうか。
カリウム、リン、そして塩分の観点から、選ぶべきネタをランク付けしました。
お店のタッチパネルを操作する前に、ぜひこの表をチェックしてください。

スクロールできます
判定ネタの種類理由・データ(100gあたり)

推奨
イカ・タコ
蒸しエビ
カリウムが比較的低めです。
・イカ:カリウム約270mg
・タコ:カリウム約290mg
噛みごたえがあり、少量でも満腹感を得やすいのが最大のメリットです。

安心
白身魚
(真鯛・ヒラメ)
赤身魚に比べてリン・カリウムが控えめな傾向があります。
淡白な味わいなので、レモンや少量の塩など、醤油以外でも楽しみやすいネタです。

注意
マグロ(赤身)
アジ・イワシ
・マグロ赤身:カリウム約450mg(高め)
「好きだから」といってマグロばかり5皿食べるのは避けましょう。カリウムが高いネタは1〜2皿に留めるのがコツです。
×
NG
イクラ・魚卵
漬け・煮穴子
サラダ軍艦
【塩分過多ゾーン】
イクラ等の塩蔵品は塩分の塊です。タレたっぷりの穴子や、マヨネーズ和えの軍艦(ツナマヨ等)は、塩分と無機リン(添加物)が高すぎるため避けましょう。

※出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

高級ネタ「ウニ」はどう?
ウニはカリウムが高めですが、寿司1貫に乗っている量は少ないため、1皿程度なら大きな問題はありません。
ただし、型崩れ防止に「ミョウバン(添加物)」が使われている場合があり、これにはリンが含まれるため、食べ過ぎには注意が必要です。

お寿司だけでなく、部位を選べば焼肉も楽しめますし、市販で買える腎臓病向けのお菓子も心の栄養になります。

看護師直伝!回転寿司を安全に楽しむ「5つの裏技」

ネタ選びができたら、次は「食べ方」の工夫です。
私がクリニックで患者様にこっそり教えている、外食時の塩分を2g〜2.5g以内に抑えるテクニックを紹介します。

① 「マイ・スプレー醤油」を持参する

シャリに醤油がつくと、スポンジのように吸い込んでしまい、塩分摂取量は跳ね上がります。

  • 方法:100円ショップなどで売っている「プッシュ式のスプレー容器」に減塩醤油を入れて持参します。
  • 効果:ネタの上に「シュッ」とひと吹きかけるだけで香りが広がります。醤油の使用量を通常(小皿につける)の1/10以下に抑えられます。

「持ち込みは恥ずかしい」という方は、「ガリ」を刷毛(ハケ)代わりにする方法がおすすめです。
ガリ1枚に醤油をちょんとつけ、それをネタに塗って食べます(ガリ自体は食べずに戻します)。

これならお店のマナー違反にもなりません。

② 粉末茶は「お湯」メインで楽しむ

回転寿司の卓上にある粉末緑茶。カテキン豊富ですが、茶葉を丸ごと粉砕しているため、カリウムがお茶(浸出液)よりも多く含まれています。

濃いお茶をガブガブ飲むのは避けましょう。
「白湯(さゆ)」として飲むか、ほんの少し色づく・香りがする程度の薄さで作るのが賢明です。

③ 汁物・茶碗蒸しは「見ないふり」

あさり汁や豚汁、茶碗蒸しは魅力的ですが、腎臓病の方にとっては「塩分のプール」です。

【塩分の目安】
・あさり汁 1杯:約1.5g〜2.0g
・茶碗蒸し 1個:約1.0g〜1.5g

汁物を1杯我慢すれば、その分の塩分でお寿司が3〜4貫食べられます。
「汁物でお腹を満たすより、お寿司を食べたい!」と割り切りましょう。

④ 「5皿(10貫)」を黄金ルールにする

シャリの塩分(約1.5g〜2.0g)+微量の醤油 = 合計2.0g〜2.5g
これが、1食の塩分制限内に収まる安全ラインの目安です。

おすすめの「黄金セット」は以下の通りです。

【満足&低カリウムセット(5皿)】

  1. イカ(2貫):噛みごたえ抜群
  2. タコ(2貫):タウリンも豊富
  3. 真鯛(2貫):白身の王様
  4. 蒸しエビ(2貫):彩りと甘み
  5. マグロ赤身(2貫):最後のご褒美

これなら、カリウム・リンを抑えつつ、お腹もしっかり満たせます。

⑤ ガリは「口直し」に留める

無料のガリ(生姜の甘酢漬け)も、実は保存のために塩分と糖分がしっかり使われています。
「野菜代わり」と大量に食べるのは避け、ネタとネタの間の口直しとして1〜2枚楽しむ程度にしましょう。

もし「食べすぎた!」という時のリカバリー術

そうは言っても、目の前にお寿司が回っていたら、ついつい7皿、8皿と手が伸びてしまうこともあります。
そんな時は、自分を責める必要はありません。

大切なのは「その後の食事」で帳尻を合わせることです。

お昼に塩分を3g〜4g摂ってしまったなら、夜ご飯を「塩分1.0g〜1.5g」に抑えれば、1日のトータルは6g以内に近づきます。
しかし、家庭料理で塩分1g台の美味しいおかずを作るのは至難の業です。

外食を楽しむ日のための「保険」を持とう

私が患者様におすすめしているのは、外食をした日の夜や翌朝用に、「腎臓病対応の冷凍宅配弁当」をストックしておくことです。
これなら、レンジで温めるだけで確実に塩分・カリウム・リンを制限値内に抑えられ、面倒な計算なしで「リセット」が完了します。

「これがあるから、今日はお寿司を楽しめる」という心の余裕が、長い闘病生活には不可欠です。

以下の記事で、塩分2g以下でも出汁が効いていて美味しく、管理栄養士監修の宅配弁当を厳選して紹介しています。
外食を楽しむための「お守り」として、ぜひチェックしてみてください。

外食の翌日は、数値改善に定評がある腎臓病食の宅配弁当を賢く活用して、楽に塩分調整を行いましょう。

腎臓病の方から回転寿司に関するよくある質問

スシローやくら寿司など、お店によって塩分量は違いますか?

基本的な傾向は同じですが、シャリの味付けや大きさによって多少異なります。
多くの大手回転寿司チェーンでは、公式サイトで「栄養成分一覧表」をPDFなどで公開しています。事前にスマホで「(店名) 栄養成分」と検索し、塩分(食塩相当量)やカリウム値を確認しておくとより安心です。最近は「減塩醤油」を卓上に置いているお店も増えているので、着席時にチェックしてみましょう。

サイドメニューで選んでも良いものはありますか?

揚げ物(天ぷらなど)やカットフルーツは比較的選びやすいメニューです。
天ぷらは衣でエネルギー(カロリー)を確保でき、衣自体に塩分は少ないため、塩や天つゆをつけずにそのまま食べれば安心です。
デザートのカットフルーツ(メロンやパイナップル等)はカリウムが含まれますが、お寿司では野菜不足になりがちなため、少量であれば問題ありません。ただし、ケーキ類は膨張剤(リンを含む添加物)が使われていることが多いため、避けるのが無難です。

「わさび」はたくさんつけても大丈夫ですか?

はい、わさびは腎臓病の方にとって強い味方です。
わさびには塩分がほとんど含まれておらず、カリウムも1回分(数グラム)であれば微量です。
わさびのツーンとする辛味は、減塩による「物足りなさ」を補ってくれるアクセントになります。醤油を減らす代わりにわさびを少し多めにつけて食べるのが、美味しく減塩するコツです。

マヨネーズやチーズを使った「炙り系」のネタはどうですか?

できるだけ控えることをおすすめします。
マヨネーズやチーズなどの加工食品には塩分が含まれており、特にチーズはリンも多めです。
また、炙りネタには甘辛いタレがかかっていることが多く、知らず知らずのうちに塩分オーバーになりがちです。たまに1皿だけ楽しむなら、タレなし(塩・タレ抜き)で注文できないか確認してみましょう。

一緒にお酒(ビールや日本酒)を飲んでもいいですか?

主治医の許可範囲内であれば可能ですが、種類と量に注意が必要です。
ビールや日本酒はカリウムや糖質が含まれるため、飲み過ぎは厳禁です。比較的カリウムが少ない焼酎やウイスキーの水割り・炭酸割りの方が腎臓への負担は少ない傾向にあります。
最大の注意点は「お酒を飲むと気が大きくなって、醤油をつけすぎたり食べすぎたりすること」です。お酒を飲む日は、お寿司の皿数をいつもより2皿減らすなどの調整をしましょう。

お寿司を食べた後、喉が渇いたらどうすればいいですか?

水をがぶ飲みせず、氷を舐めるなどで口を潤しましょう。
食後に喉が渇くのは、塩分を摂りすぎたサインです。ここで水分を大量に摂ると、浮腫(むくみ)や血圧上昇の原因になります。
うがいをして口の中をさっぱりさせたり、冷たい氷を1個口に含んでゆっくり溶かしたりすることで、水分の摂りすぎを防ぎながら渇きを癒やすことができます。

食事制限だけでなく、クレアチニンを下げるための保存療法の知識も併せて読むことで、より長く健康な生活を維持できます。

まとめ:知識があれば、お寿司は怖くない

腎臓病だからといって、人生の楽しみである「食」をすべて諦める必要はありません。
以下の3つのポイントを守れば、回転寿司は家族との楽しい時間になります。

ネタ選び 「白身・イカ・タコ・蒸しエビ」を中心に。
魚卵(イクラ)とタレ(穴子)は避ける。 食べ方 醤油はスプレーか刷毛塗りで最小限に。
シャリの塩分を考慮し、5皿(10貫)を目安にする。 調整 食べすぎたら、夜は「制限食(宅配弁当)」で数値をリセットする。

無理なく、賢く、美味しいものを食べて、笑顔で治療を続けていきましょう。

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kawauchi
看護師/訪問診療クリニック事務長/計画相談員
私は、看護師として重症心身障害病棟・救命救急HCUに従事した後、有料老人ホームの管理者・看護部長・福祉事業部統括として、入居者の生活と医療連携の現場に携わってきました。

現在は、訪問診療クリニックの事務長として在宅医療の運営に関わると同時に、計画相談員・医療福祉コンサルタントとして、東海エリアを中心に施設紹介・身元保証・医療介護連携の支援を行っています。

病院・施設・在宅という立場の異なる現場をすべて経験してきたからこそわかる、制度論だけではない「現場のリアル」や「家族が直面する苦悩」を踏まえた発信を大切にしています。

このブログでは、現場経験に基づく実践的な情報を軸に、後悔しない選択のための情報を発信しています。
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