「老健の費用ってどのくらい?」「特養との違いは?」──そんな疑問を持つ方へ。
本記事では介護老人保健施設(老健)の費用相場や内訳、安く利用する方法を初心者にもわかりやすく解説します。
老健は 「在宅復帰をめざすための中間施設」 という位置づけです。
病院での治療が終わり、自宅での生活に戻るにはまだ不安がある高齢者に対して、リハビリ・介護・医療を提供しながら自立支援を行うのが老健の役割。
そのため、長期的に入居する施設ではなく、一時的に利用する施設 である点が大きな特徴です。
老健の基本情報(施設形態・特徴・役割)

介護老人保健施設(老健)は、介護保険制度に基づく「介護保険施設」のひとつです。
医師・看護師・リハビリスタッフ・介護職員が常勤しており、医療とリハビリに重点を置いた介護施設 です。
- 施設形態:公的な介護保険施設
- 特徴:在宅復帰をめざすためのリハビリ、医療支援
- 役割:
・病院での治療後、自宅に戻る前の中間支援
・リハビリを通じて心身機能を回復
・医療的なサポートも継続的に提供
👉 特養(長期入居)や有料老人ホーム(生活の場)とは異なり、「次の生活に戻るための準備施設」 という位置づけです。
老健の入居条件

介護老人保健施設(老健)に入居するためには、いくつかの条件があります。
特養や有料老人ホームと違い、老健は 医療とリハビリに重点を置く施設 なので、要件はやや特徴的です。
要介護認定が必要
- 原則として 要介護1〜5 の認定を受けている方が対象です。
- 要支援1・2の方は基本的に対象外。
👉 自宅生活が難しいが、リハビリによって改善の見込みがある方が想定されています。
医療的に安定していること
- 病院での治療が終了しており、病状が安定している方 が対象。
- 点滴・酸素吸入・胃ろうなど、一定の医療処置を受けながら生活することは可能ですが、急性期医療が必要な方は対象外です。
年齢の目安
- 原則として65歳以上の高齢者。
- ただし、特定疾病(脳血管疾患、若年性認知症など)の場合は40歳以上から利用できる場合があります。
入居期間に制限がある
- 老健は「在宅復帰」を目的としているため、原則3〜6か月の利用が基本。
- ただし、やむを得ない事情がある場合は更新可能ですが、長期利用は想定されていません。
ポイント整理
- 要介護1以上であること
- 病状が安定していること
- 原則65歳以上(特定疾病なら40歳以上も可)
- 長期入居ではなく、在宅復帰を目的とした一時利用
👉 「病院を退院したが、自宅に戻るのはまだ不安」という方が対象になる施設です。
老健の費用の目安

介護老人保健施設(老健)の費用は、月額8〜13万円程度 が相場です。
特養(特別養護老人ホーム)と同様に公的な介護保険施設であり、入居一時金は不要です。
そのため「比較的安価に利用できる施設」として知られています。
費用の内訳
老健の費用は以下のように構成されます。
- 居住費:2〜5万円(多床室か個室かで変動)
- 食費:3〜4万円
- 介護サービス費(自己負担分):2〜3万円(要介護度に応じる)
- 医療費(自己負担分):数千円〜1万円程度
👉 合計すると、多床室なら8〜10万円前後、個室なら12〜13万円前後 が目安になります。
入居一時金
- 基本的に 不要。
- 有料老人ホームと違って、数十万〜数百万円の初期費用が発生することはありません。
費用の特徴
- 公的施設のため料金が安定している
- 長期利用を前提としないため、短期間でも負担が少ない
- 特養に比べるとやや高いが、医療やリハビリが充実している分の費用差 といえる
👉 費用についてさらに詳しく知りたい方は、別記事「老健の費用と制度」記事にて詳しく解説しています。

老健の入居までの流れ

介護老人保健施設(老健)を利用する際には、申込みから入居までにいくつかのステップがあります。
特養に比べると待機期間は短めですが、医療やリハビリの体制が必要なため、入居には審査や調整が行われる のが特徴です。
① 情報収集・相談
- まずは 地域包括支援センターやケアマネジャー に相談
- 病院からの退院時であれば、医療ソーシャルワーカー が窓口になることもあります
👉 老健は「在宅復帰をめざす施設」であるため、相談時に 利用目的(リハビリ・療養など) を明確にしておくことが大切です。
② 施設見学・説明
- 候補となる老健を見学
- 設備やリハビリ体制、居室の環境を確認
- 費用の見積もりをもらい、家族で検討
③ 申込み
- 申込書類を提出(介護保険証・診療情報提供書などが必要)
- 申込み時点で複数の施設に同時申請できる場合もあります
④ 面談・入所判定
- 施設スタッフが本人や家族と面談
- 医師や看護師による健康状態の確認
- 介護度や医療ニーズをもとに、入所判定会議で受け入れ可否を決定
⑤ 契約・入居
- 入所が決定したら契約手続き
- 居室が整い次第、入居開始
入居の流れの特徴
- 特養に比べて 待機者が少なく、比較的入居しやすい
- ただし「医療的に安定していること」が条件となるため、急変リスクが高い人は断られるケースもある
- 入居期間は 3〜6か月程度が基本 で、長期利用は想定されていない
👉 老健は「入居したらずっと生活できる施設」ではなく、在宅や他施設に戻るまでのステップ施設 という点を押さえておきましょう。
老健はどんな人に向いているのか?

介護老人保健施設(老健)は、病院と自宅の中間的な施設として位置づけられています。
そのため、「とりあえず入居して生活を続けたい」という長期利用目的の方には向かず、一時的な利用を前提にした人に適した施設 です。
病院を退院したばかりの人
- 入院で体力が落ちている
- 自宅での生活に戻るのが不安
- 家族の介護体制が整っていない
👉 こうした方がリハビリを受けながら生活する場所として老健は最適です。
リハビリが必要な人
- 脳梗塞の後遺症
- 骨折や手術後の身体機能低下
- 日常生活動作(食事・排泄・歩行)の回復が必要
👉 リハビリスタッフが常勤しているため、自宅復帰を目指すための訓練がしっかり受けられます。
医療的なサポートが必要だが、病院ほどではない人
- 糖尿病や心疾患など慢性疾患の管理が必要
- 点滴や服薬管理を継続する必要がある
- 急性期医療は不要だが、医療の見守りが欠かせない
👉 医師や看護師が常勤しているため、在宅介護では不安な人に安心です。
家族の介護力が不足している人
- 在宅で介護を続けるのが難しい
- 家族が休養したい、介護疲れを軽減したい
👉 老健を「数か月のショートステイ」のように活用するケースもあります。
ポイント整理
- 退院直後の生活に不安がある人
- リハビリを集中して受けたい人
- 慢性疾患の医療管理が必要な人
- 家族の介護負担を一時的に軽減したい人
👉 老健は 「在宅復帰をめざすための一時的な滞在施設」 として考えるのが正解です。
まとめ:老健は「在宅復帰」をめざすための中間施設

介護老人保健施設(老健)は、病院と自宅の「中間」に位置する介護施設です。
医師や看護師が常勤し、リハビリスタッフによる訓練も受けられるため、医療と介護の両方をバランスよく受けられる場所 といえます。
費用の目安は月8〜13万円と、特養よりはやや高めですが有料老人ホームよりは安く、公的施設として安定しています。
ただし、老健は長期入居を前提とした施設ではなく、3〜6か月程度の一時的な利用が基本。
老健の特徴をおさらい
- 在宅復帰をめざす中間的な介護施設
- 要介護1以上、病状が安定している方が対象
- 入居一時金は不要、月額8〜13万円程度
- 入居までの流れは「相談 → 申込 → 面談・判定 → 契約」
- 向いているのは、退院直後の方やリハビリが必要な方
最後に
「老人ホーム」とひとくくりにされがちですが、老健は特養や有料老人ホームとは役割が異なり、在宅復帰を支えるための一時的な施設 です。
親や家族の介護の選択肢を検討する際には、「老健でリハビリ → 自宅や他施設へ」という流れを知っておくと安心です。
👉 さらに詳しい「老健の費用や制度の使い方」については、別記事にて解説しています。
