「老人ホームに入居させたいけれど、費用が心配…」
「特養は待機が長いと聞くけど、老健ならどうなの?」
そんな疑問や不安を抱えるご家族に向けて、本記事では 介護老人保健施設(老健)の費用相場と、自己負担を抑える方法 を徹底解説します。
老健は、医療と介護をバランス良く受けられる公的施設であり、在宅復帰を目指す高齢者にとって重要な選択肢です。
しかし、利用にあたっては 「月にいくらかかるのか」「どんな制度で安くできるのか」 を正しく理解しておかないと、思わぬ出費に悩まされることになります。
この記事では:
- 老健の費用相場と内訳
- 費用を抑えるためのポイント
- 介護保険制度・医療制度・自治体の助成制度の活用法
をわかりやすくまとめています。
👉 読み終えるころには、老健の費用に対する不安が整理され、「自分の家庭ではどれくらいの負担で済むのか」 が具体的にイメージできるはずです。
【老健とは】介護老人保健施設の役割と特徴

老健は病院と自宅の中間に位置づけられる施設で、医師や看護師の管理下で介護とリハビリを受けながら在宅復帰を目指せます。
費用は月8〜13万円程度と比較的安く、特養より待機が短く、有料老人ホームより費用負担を抑えられる点が大きな特徴です。
老健の基本的な役割
厚生労働省の定義によれば、老健は「病状が安定している高齢者に対し、医療管理の下で看護・介護・機能訓練を提供し、在宅復帰を目指す施設」とされています。
具体的には:
- 医師・看護師が常駐し、基礎的な医療ケアを提供
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などによるリハビリを実施
- 介護職員が日常生活全般を支援
- 在宅復帰に向けたケアプランを作成し、家族にも介護方法を指導
👉 老健は、病院と在宅生活の間をつなぐ役割 を担っているのです。
入所条件
- 要介護1以上(要支援は対象外)
- 病状が安定しており、継続的な入院治療が不要
- 在宅復帰を目指すことが前提
👉 医療ケアが必要でありながら、病院での入院を続ける必要がない高齢者が主な対象です。
老健と他の施設との違い
介護老人保健施設(老健)は「在宅復帰を目的とした中間施設」です。
同じ高齢者施設でも、特養や有料老人ホームとは役割や目的が異なります。
施設種別 | 月額費用の相場 | 初期費用 | 滞在期間の目安 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
老健 | 8〜13万円 | 不要 | 原則3〜6か月(更新可) | 医療+リハビリに強い。在宅復帰を目指す中間施設 |
特養 | 12〜15万円 | 不要 | 長期・終身可 | 公的で費用が安い。待機が長い |
有料老人ホーム | 15〜30万円 | 不要〜数千万円 | 長期・終身可 | サービス内容・快適性重視。施設差が大きい |
サ高住 | 10〜20万円 | 敷金程度 | 契約更新型で長期入居可 | 住宅型で自由度が高い。介護は外部サービス利用 |
グループホーム | 12〜16万円 | 不要 | 長期入居可(認知症進行で退去もあり) | 少人数制。認知症ケアに特化 |
介護医療院 | 12〜20万円 | 不要 | 長期入居・看取り可 | 医療依存度が高くても安心。療養型 |
表2:主要高齢者施設の費用・初期費用・滞在期間の比較(2025年版)
老健は費用が安く医療体制も整っていますが、原則3〜6か月の中間施設であり、長期入居はできません。
一方、特養や有料老人ホームは長期入居が可能で「終の住まい」として選ばれることが多いです。
目的と期間に応じて選択することが重要です。
入所の流れ
- 要介護認定を受ける(市区町村の介護保険課に申請)
- ケアマネジャーに相談し、老健入所を検討
- 医師の診断書・介護保険証などを揃えて申込み
- 施設側が判定会議を行い、入所の可否を決定
👉 特養に比べると待機期間は短めですが、地域や人気施設では数か月待ちになることもあります。
【老健の費用相場】月8〜13万円の内訳と自己負担の目安

介護老人保健施設(老健)の費用相場は月8〜13万円が目安です。
厚労省調査による平均自己負担は約10.8万円で、特養(12〜15万円)より安く、有料老人ホーム(15〜30万円)より大幅に低コスト。
介護保険が適用されるため、初期費用も不要です。
老健の費用が安めに抑えられる理由
- 介護保険の適用
→ 介護サービス費の7〜9割は介護保険でカバーされ、自己負担は1〜3割に限定。 - 在宅復帰を目的とした中間施設
→ 長期入居が前提ではないため、特養や有料老人ホームほどの「居住費・サービス費」はかからない。 - 入居一時金が不要
→ 老健は公的施設のため、数百万円〜数千万円に及ぶ「入居一時金」が不要。初期費用が抑えられる。
老健の費用イメージ(月額)
老健の費用は、居住費・食費・介護サービス費・日常生活費を合算して計算されます。
例:要介護3・多床室利用・一般世帯(1割負担)の場合
- 居住費:10,000〜15,000円
- 食費:40,000〜45,000円
- 介護サービス費(1割負担):25,000〜35,000円
- 日常生活費(おむつ・理美容代など):10,000〜15,000円
👉 合計:約9〜11万円
要介護度 | 多床室 | 従来型個室 | ユニット型個室 |
---|---|---|---|
要介護1 | 約8.0〜9.0万円 | 約10.5〜11.5万円 | 約12.5〜13.5万円 |
要介護3 | 約9.5〜10.5万円 | 約11.5〜12.5万円 | 約13.5〜14.5万円 |
要介護5 | 約10.5〜11.5万円 | 約12.5〜13.5万円 | 約14.5〜15.5万円 |
表1:老健の要介護度×居室タイプ別の費用目安(月額/一般世帯・1割負担の場合)
上記は介護サービス費1割負担・一般世帯の目安です。所得区分が2割・3割負担になると費用は倍増する可能性があります。
また、食費・居住費は「補足給付」を使うことで数万円単位で軽減できるため、実際の負担額は制度利用の有無で大きく変わります。
居室タイプによる差
- 多床室(4人部屋など):月8〜10万円程度
- 従来型個室:月11〜13万円程度
- ユニット型個室:月13〜15万円程度
👉 老健は多床室が主流のため、特養や有料老人ホームのように「個室希望で高額化する」リスクは比較的少なめです。
老健と他施設の費用比較
施設種別 | 費用相場(月額) | 入居一時金 |
---|---|---|
老健 | 8〜13万円 | 不要 |
特養 | 12〜15万円 | 不要 |
有料老人ホーム | 15〜30万円 | 数百万円〜数千万円 |
サ高住 | 10〜20万円 | 敷金程度 |
グループホーム | 12〜16万円 | 不要 |
介護医療院 | 12〜20万円 | 不要 |
「費用は抑えたいが、医療も必要」という人にとって、老健は現実的な選択肢です。
- 老健:最も安価。医療体制があり、在宅復帰を支援。
- 特養:費用はやや高いが、長期入居可能で安心感がある。
- 有料老人ホーム:費用は高額だが、サービスや住環境に幅がある。
- サ高住:介護は外部サービス利用。比較的自由で費用も中間的。
- グループホーム:認知症に特化。少人数制で手厚いが費用は特養並み。
- 介護医療院:医療+介護の両立が可能で、医療依存度が高い人向け。
👉 こうして比較すると、老健は 「費用を抑えつつ医療ケアも必要な人」 にもっとも適した選択肢であることがわかります。
【2025年の最新注意点】
老健の「多床室(相部屋)」では、2025年8月以降に室料自己負担(月8,000円程度)が導入予定です。
対象者や具体額は厚生労働省の告示で確定されますが、入所時期によって費用が月1万円前後増える可能性があります。
入所を検討する際は、厚労省の最新資料を必ず確認しましょう。
【老健費用の内訳】居住費・食費・介護費・医療費の詳細

老健の費用は「居住費・食費・介護サービス費・医療費・日常生活費」に分かれます。
介護サービス費は介護保険の対象で1〜3割負担、食費や居住費は補足給付で軽減可能。
医療費は別途かかるため、制度を組み合わせて全体負担を把握することが大切です。
1. 居住費(部屋代)
老健では「部屋のタイプ」によって居住費が変動します。
- 多床室(4人部屋など):月10,000〜15,000円程度
- 従来型個室:月20,000〜30,000円程度
- ユニット型個室:月60,000円前後
👉 老健は多床室が中心で、特養や有料老人ホームのような「高額な個室料」が発生しにくいのが特徴です。
2. 食費
1日あたり1,300〜1,500円程度で、月額にすると 40,000〜45,000円。
介護保険制度の「補足給付」が適用されれば、1日390円(約12,000円/月)まで軽減されることもあります。
3. 介護サービス費(自己負担分)
介護サービス費は国が定める「介護報酬」に基づき算定されます。
利用者はその 1割〜3割 を負担します。
例:要介護度ごとの自己負担(1割負担の場合)
- 要介護1:約20,000円
- 要介護3:約30,000円
- 要介護5:約40,000〜50,000円
👉 所得が高い人は2割または3割負担となり、費用が倍増します。
4. 医療費(自己負担分)
老健は医師・看護師が常駐しているため、定期的な診察・投薬・処置が行われます。
これらは介護サービス費とは別に 医療保険から給付され、自己負担は1〜3割 です。
- 診察料・投薬料:数千円〜1万円程度/月
- 専門的治療(褥瘡治療、点滴など):状況により追加
👉 慢性疾患を抱える高齢者では、医療費の自己負担が数万円になるケースもある ため注意が必要です。
5. 日常生活費
介護サービス・医療費とは別に、次のような費用がかかります。
- おむつ代:5,000〜10,000円/月
- 理美容代:2,000〜3,000円/回
- 嗜好品・日用品:数千円〜
👉 施設によっては「日常生活費」として定額(10,000〜15,000円程度)が請求されることもあります。
老健費用のシミュレーション(要介護3・多床室・一般世帯)
- 居住費:12,000円
- 食費:43,000円
- 介護サービス費:30,000円
- 医療費:10,000円
- 日常生活費:10,000円
👉 合計:約10.5万円/月
特養(約12〜15万円)より安く、有料老人ホーム(15〜30万円)よりはるかに低コストで利用できます。
【老健の費用を安くする方法】制度を活用した節約術

老健の費用は月8〜13万円が目安ですが、「高額介護サービス費」や「補足給付」を利用すれば数万円単位で軽減できます。
さらに「高額療養費制度」や自治体の助成も組み合わせれば、実際の負担は月5〜7万円台にまで下がるケースもあります。
1. 介護保険の「高額介護サービス費」を利用する
介護サービス費の自己負担には上限があり、それを超えた分は払い戻されます。
一般世帯なら 月44,400円まで、住民税非課税世帯なら 月24,600円まで に制限されるため、介護費の膨張を防げます。
2. 「補足給付」で食費・居住費を軽減
住民税非課税世帯で資産要件を満たせば、食費・居住費が大幅に軽減されます。
食費が月43,000円 → 12,000円、居住費が月12,000円 → 8,000円程度に下がることもあり、負担差は数万円単位に。
3. 医療制度と併用して二重負担を防ぐ
老健では介護費に加えて医療費の自己負担も発生します。
そこで「高額療養費制度」や「高額医療・高額介護合算療養費制度」を使えば、医療費と介護費の両方に上限が設けられ、トータル支出を抑制できます。
4. 自治体の助成制度を確認する
一部自治体では、国の制度に加えて独自の助成を実施しています。
- 食費・居住費の追加助成
- おむつ代助成
- 理美容代補助
👉 小さな助成でも積み重ねれば年間数万円の差に。
5. 世帯分離を検討する
子世帯の所得が高いと軽減制度の対象外になる場合があります。
このとき「世帯分離」を行えば、親の所得だけで判定され、制度対象になる可能性が広がります。
👉 ただし税制や扶養控除に影響するため、専門家への相談が必須です。
6. ケアマネジャーに相談する
申請窓口や必要書類は制度ごとに異なるため、ケアマネジャーに相談して整理してもらうのが効率的です。
制度を知らないまま損をしているケースは少なくありません。
ポイントまとめ
- 高額介護サービス費 → 介護費に月額上限
- 補足給付 → 食費・居住費を大幅軽減
- 高額療養費制度・合算制度 → 医療+介護の支出に制限
- 自治体助成・世帯分離・ケアマネ相談 → 追加の軽減・申請漏れ防止
👉 老健の費用は「ただ払う」のではなく、制度を組み合わせて戦略的に抑えることが大切です。
【シミュレーション】老健の費用は制度利用でどこまで安くなる?
条件 | 制度未利用 | 高額介護+補足給付適用 |
---|---|---|
要介護3・多床室・一般世帯 | 約105,000円 | 約75,000円 |
要介護3・多床室・住民税非課税世帯 | 約105,000円 | 約45,000円 |
要介護5・ユニット個室・現役並み所得 | 約155,000円 | 約120,000円 |
【介護保険の制度】高額介護サービス費と補足給付の活用法

老健の費用を抑える鍵は、介護保険制度内の「高額介護サービス費」と「補足給付」です。
前者は介護費の自己負担に上限を設け、後者は食費・居住費を軽減。両方を併用すれば、月額負担を半額以下にできる可能性もあり、利用価値は非常に高い制度です。
高額介護サービス費
介護サービス費の自己負担額が、所得区分ごとの上限を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。
- 上限額(70歳以上・2025年時点)
→住民税非課税世帯:24,600円
→一般世帯:44,400円
→現役並み所得者:140,100円
👉 例えば要介護5の方がサービスを多く利用し、自己負担が8万円に達した場合でも、一般世帯なら 44,400円までに抑えられる 仕組みです。
注意点
- 食費・居住費・日常生活費は対象外
- 自動的に払い戻しされる自治体と、申請が必要な自治体がある
特定入所者介護サービス費(補足給付)
食費・居住費の自己負担を軽減するための制度です。
特養だけでなく、老健でも利用可能です。
- 対象:住民税非課税世帯で、所得・資産要件を満たす人
- 内容:国が定める基準額まで軽減
- 軽減例
食費:1日1,445円 → 390円(約12,000円/月)
居住費(多床室):1日377円 → 0円に近い水準
👉 「月5万円以上の軽減」につながるケースも珍しくありません。
要件のポイント
- 預貯金が単身1,000万円(夫婦2,000万円)以下
- 自宅や土地の評価が一定以下
- 認定証を市区町村から発行してもらう必要あり
【2024年8月改定】
補足給付の基準額が改定され、居住費に+60円/日の見直しが行われました。
資産要件(預貯金1,000万円以下など)や対象条件にも変更があるため、最新の「負担限度額認定証」を確認してください。
厚労省:特定入所者介護サービス費(令和6年改定)
高額介護サービス費と補足給付の組み合わせ
この2つを併用することで、老健の費用はさらに下がります。
例)要介護3・多床室・住民税非課税世帯の場合
- 食費:43,000円 → 補足給付で12,000円
- 居住費:12,000円 → 補足給付で8,000円
- 介護サービス費:30,000円 → 高額介護サービス費で24,600円に制限
ポイント整理
- 高額介護サービス費 → 介護費の天井を設ける
- 補足給付 → 食費・居住費を大幅に軽減
- 両方を併用することで、老健費用は「半額以下」になるケースも
【医療制度との併用】高額療養費・合算制度の仕組み

老健では介護費に加えて医療費もかかるため、「高額療養費制度」や「高額医療・高額介護合算療養費制度」の活用が重要です。
医療と介護の両方に上限が設けられ、二重負担を避けられる仕組みとなっており、慢性疾患のある方ほど恩恵を受けやすいです。
高額療養費制度(高額医療費制度)
高額療養費制度は、1か月の医療費が所得区分ごとの上限を超えた場合に、超過分が払い戻される仕組みです。
- 対象:国民健康保険・社会保険・後期高齢者医療制度加入者
- 上限額(70歳以上・2025年時点)
一般所得者:57,600円(外来は18,000円)
住民税非課税世帯:24,600円
現役並み所得者:80,100円+医療費の1%
👉 例えば入院や処置で医療費が20万円かかっても、一般世帯なら 57,600円まで の負担で済みます。
注意点
- 差額ベッド代や食事代は対象外
- 「限度額適用認定証」を提示すれば、窓口支払いを上限額までに抑えられる
高額医療・高額介護合算療養費制度
老健では「介護費+医療費」の両方を支払うため、年間での負担が大きくなりやすいです。
そこで役立つのが「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。
- 仕組み:1年間(8月〜翌7月)の自己負担を「医療+介護」で合算し、上限を超えた分を払い戻す
- 上限額(世帯単位・2025年時点)
住民税非課税世帯:約31万円
一般世帯:約56万円
現役並み所得世帯:約212万円
👉 例えば介護費で年間40万円、医療費で年間30万円を自己負担した場合、一般世帯なら合計70万円 → 上限56万円となり、14万円が払い戻される 仕組みです。
介護と医療制度の組み合わせ効果
- 高額介護サービス費 → 月ごとの介護費に上限
- 高額療養費制度 → 月ごとの医療費に上限
- 合算療養費制度 → 年間トータルでの上限
👉 この3つを組み合わせることで、「介護と医療の二重負担が青天井になるリスク」を避けられる のが大きなメリットです。
ポイント整理
- 老健は介護費と医療費の両方が発生する施設
- 高額療養費制度で医療費の月額負担を制限
- 合算療養費制度で年間の支出に上限を設ける
- 介護制度と組み合わせることで、安心して利用できる
【自治体の助成制度】老健費用をさらに軽減する方法

老健の費用負担をさらに軽減できるのが自治体の独自制度です。
食費やおむつ代の補助、利用者負担軽減制度、理美容代助成など、地域によって支援内容はさまざま。
国の制度で対象外となった人を救済するケースもあり、事前に必ず確認すべきポイントです。
利用者負担軽減制度(自治体版)
一部の自治体では、低所得者を対象に介護サービス費の自己負担を軽減する制度を設けています。
- 内容:介護サービス費の自己負担を25〜50%軽減
- 対象:住民税非課税世帯などの低所得世帯(資産要件あり)
- 申請窓口:市区町村の介護保険課
- 必要書類:課税証明書、預貯金残高証明、介護保険証など
👉 高額介護サービス費と組み合わせて利用できる場合があり、数万円単位での軽減効果 が期待できます。
社会福祉法人の軽減制度
老健を運営する社会福祉法人が、生活困窮者を対象に独自の軽減制度を用意しているケースもあります。
- 内容:介護サービス費の自己負担割合を軽減(1割→0.5割など)
- 対象:生活困窮世帯
- 申請方法:入所先の施設に直接相談
👉 特養だけでなく、老健でも法人の方針で実施されている場合があり、見逃せません。
食費・居住費への追加助成
国の「補足給付」で対象外となった人に対し、独自に食費や居住費を補助する自治体もあります。
例:
- 横浜市:介護サービス自己負担助成
- 神戸市:「利用者負担軽減確認証」を発行
- 東京都23区の一部:生活困窮高齢者への追加支援
👉 「国の制度で救済されなかった人」をカバーする仕組みとして重要です。
生活支援型の助成制度
老健入所者でも利用できる「生活関連助成」もあります。
- 紙おむつ代助成(毎月数千円)
- 通院交通費助成
- 理美容代助成
- 福祉用具購入補助
👉 小規模な助成でも、年間を通せば大きな節約につながります。
自治体制度を調べる方法
- 市区町村役所の 介護保険課・高齢福祉課 に問い合わせ
- 自治体公式サイトで「介護費用 軽減」「高齢者 福祉制度」などを検索
- 入所予定の老健に確認(施設が把握している場合が多い)
ポイント整理
- 自治体ごとの支援内容は大きく異なる
- 国の制度に加えて利用できる場合がある
- 「国の補足給付の対象外」でも自治体独自の助成で救済されることがある
【老健の費用FAQ】よくある質問と回答まとめ
- 老健の月額費用はいくらかかりますか?
-
多床室が中心で、相場は月8〜13万円です。要介護度や居室タイプ、医療費の有無によって変動します。
- 食費や居住費は軽減できますか?
-
「補足給付」を利用すれば、食費は月4.3万円→1.2万円程度、居住費も数千円レベルまで下がる場合があります。
- 老健と特養はどちらが安いですか?
-
介護費だけなら大差ありませんが、医療費込みで考えると老健の方が安くなるケースが多いです。
- 高額介護サービス費は老健でも使えますか?
-
はい。自己負担は所得区分ごとに上限が決まっており、一般世帯なら月44,400円までに抑えられます。
- 医療費が高額になった場合はどうなりますか?
-
「高額療養費制度」や「高額医療・高額介護合算療養費制度」で医療費+介護費に上限が設けられ、払い戻しが受けられます。
- 入所までの待機期間はどれくらいですか?
-
特養より短く、数週間〜数か月程度が目安です。ただし地域や人気施設では長期化することもあります。
老健の費用を見積もるチェックリスト
実際に老健を利用するときは、次の項目を確認しておくことで「予想外の出費」を防げます。
- 要介護度と負担割合(1割・2割・3割)を確認したか?
- 居室タイプ(多床室・個室・ユニット型)を選定済みか?
- 医療費・薬代・理美容費などの「別途費用」を確認したか?
- 食費・居住費の「補足給付」申請を済ませたか?
- 高額介護サービス費の上限(月額)を把握しているか?
- 医療と介護の合算制度を知っているか?
- 自治体の助成(紙おむつ・理美容など)を確認したか?
- 退所後の在宅復帰費用(住宅改修・訪問介護等)を想定しているか?
【まとめ】老健の費用は制度活用で半額以下も可能

老健の費用は月8〜13万円が相場ですが、介護保険・医療制度・自治体助成を活用すれば実際の自己負担は大幅に下げられます。
特養より安価で、有料老人ホームよりも医療体制が整っているのが特徴。
老健は「費用が安いから安心」と考えがちですが、実際には 医療費や日常生活費が上乗せされ、想定以上の負担になる ケースもあります。
その一方で、制度を使い倒せば 月額5万円台にまで軽減できる可能性 もあり、差は非常に大きいのです。
早めの情報収集と制度利用が、安心の入所につながります。
最期に要チェック
- 老健の費用相場:月8〜13万円(多床室が主流で比較的安価)
- 費用の内訳:居住費・食費・介護サービス費・医療費・日常生活費
- 費用を抑えるためのポイント
→高額介護サービス費で介護費に上限を設定
→補足給付で食費・居住費を軽減
→高額療養費・合算制度で介護+医療費の二重負担を防ぐ
→自治体独自の助成で追加軽減を受ける
→世帯分離や税控除も選択肢 - ケアマネジャーへの相談で申請漏れを防ぐのが必須
💡大切なのは
- 制度を「知っている」だけでなく 必ず申請すること
- 自治体ごとの制度や助成を 確認して取りこぼさないこと
- 家族で情報を共有し、費用見通しを 早めに立てること
です。
老健は「医療が必要で、費用も抑えたい」という家庭にとって有力な選択肢です。
制度を賢く使い、安心して利用できる環境を整えていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査(令和5年度)」
- 厚生労働省「高額介護サービス費制度について(令和5年度)」
- 厚生労働省「特定入所者介護サービス費(補足給付)令和6年度改定」
- 厚生労働省「高額療養費制度(令和7年度版)」
- 各自治体公式サイト(横浜市/神戸市/東京都 生活支援制度)