「仕事中に親が転んでいないか心配で、スマホばかり見てしまう」
「週末は溜まった実家の掃除と洗濯で潰れ、自分の休む時間なんて1秒もない」
今、この記事を読んでいるあなたは、責任感が強く、本当に親想いの方なのだと思います。
しかし、現役の在宅医療クリニック事務長として、心を鬼にして申し上げます。
日本の公的介護保険制度(ヘルパーやデイサービス)だけで、家族の生活と仕事を維持するのは「構造的に不可能」です。
私は看護師として救急や施設責任者を経て、現在は在宅医療の事務長という立場にいます。
「自費サービスはお金がかかるから」と無理を重ね、結果として介護者であるご家族がうつ病や腰痛で倒れ、親御さんが望まない施設入所になるケースを数え切れないほど見てきました。
この記事では、「親のため」ではなく「あなたの人生を守るため」に、プロが現場で推奨している5つの「神」自費サービスを厳選して紹介します。
罪悪感を捨て、賢くサービスを使うための「費用対効果」の考え方も解説します。
なぜ「介護保険だけ」では在宅介護が崩壊するのか?
「税金を払っているのだから、介護保険でなんとかしてほしい」と思うのは当然です。
しかし、制度には明確な「壁」が存在します。
【制度の壁】ヘルパーには「やってはいけないこと」がある
訪問介護(ホームヘルパー)は、あくまで「利用者の自立支援」が目的であり、家政婦ではありません。
厚生労働省の通知等に基づき、以下の行為は介護保険の適用外とされています。
⚠️介護保険で「できない」ことの代表例
- 家族共有スペースの家事(リビングの掃除、家族分の食事作り、洗濯)
- 大掃除・庭の手入れ(窓拭き、床のワックスがけ、草むしり)
- 長時間の見守り(話し相手になるだけ、留守番)
- 嗜好品の買い物(お酒、タバコ、来客用のお菓子など)
つまり、あなたが同居している場合、「親の部屋」は掃除してもらえても、「親も使うリビングやお風呂場」の掃除は家族であるあなたの仕事として残ります。
これが、同居家族が疲弊する最大の要因です。
「月3万円」の自費は、施設費用の1/5以下
ここで少し、お金の話をしましょう。
もし、限界がきて有料老人ホームに入居する場合、地域にもよりますが月額20万円〜30万円の費用がかかります。
一方、今から紹介する自費サービスをフル活用して月3〜5万円を使ったとしても、施設のコストに比べれば圧倒的に安く済みます。
「自費サービス=贅沢」ではありません。「在宅生活を維持するための必要経費(ランニングコスト)」と捉え直してください。
今の負担が「当たり前」だと思っていませんか?倒れてしまうその前に、在宅介護の限界サイン10選で客観的な危険度をチェックし、施設入所やサービス増強の判断基準を知っておいてください。

在宅介護を劇的にラクにする「自費サービス」神5選
ここからは、私の担当する患者様のご家族が実際に導入し、「本当に楽になった」「もっと早く使えばよかった」と評価が高かったサービスを5つ紹介します。
1. 【食事】「配食サービス(冷凍弁当)」で栄養と時間を買う
毎日3食、高齢者に合わせた「柔らかさ」「塩分控えめ」の食事を作るのは、プロの調理師でも大変です。
おすすめの活用法は
「夜だけ」または「週3日」など、ルールを決めて導入する。
現在は「冷凍のケアフード」が進化しており、管理栄養士監修のメニューが1食700円前後で手に入ります。
電子レンジで温めるだけで、準備から片付けまで含めて1日1時間の時短になります。
「手作りじゃないと可哀想」と思う必要はありません。
栄養バランスの整った食事を提供することこそ、最大の親孝行です。
「まずい弁当は親が食べてくれない…」と心配な方へ。
看護師が実際に試食して選んだ高齢者向け宅配食おすすめランキングを参考に、失敗しないサービスを選んでください。
2. 【安全】「見守りテック」で仕事中の不安をゼロにする
離れて暮らす親、あるいは日中独居になる親への「見えない不安」は、あなたの精神を確実に削ります。
- ポットや冷蔵庫の開閉センサー:「今日もいつも通り起きている」ことがスマホで分かります。
- カメラ付きデバイス:Amazon Echo Showなどで、様子が見たい時にすぐビデオ通話が可能。
- ベッドセンサー:心拍・呼吸を検知し、異変があれば即通知。
警備会社(SECOMやALSOK)の駆けつけサービスと併用すれば、仕事中に「何かあったらどうしよう」と焦燥感に駆られることはなくなります。
3. 【清潔】水回りの掃除は「家事代行」に丸投げする
先述の通り、ヘルパーさんはお風呂場やトイレの「念入りな掃除」はできません。
しかし、清潔保持は感染症予防の観点からも重要です。
シルバー人材センターなら格安
民間の家事代行(ダスキンやベアーズなど)は高品質ですが費用もそれなりです。
コストを抑えたい場合は、自治体の「シルバー人材センター」に依頼するのが裏技です。1時間1,000円〜1,500円程度で、掃除や草むしりを丁寧にやってくれます。
4. 【環境】スマートホーム化で「転倒リスク」を排除
高齢者の転倒事故の多くは、「照明のスイッチを押しに行く」「カーテンを閉めに行く」といった、ちょっとした移動の最中に起きます。
スマートスピーカー(アレクサなど)とSwitchBot(スイッチボット)を導入し、「アレクサ、電気を消して」「カーテンを閉めて」と声で操作できるようにするだけで、転倒リスクは激減します。
これは数千円で導入できる、最強のバリアフリーリフォームです。
5. 【通院】「介護タクシー(自費)」で有給休暇を守る
親の通院付き添いのために、半休や有給を使っていませんか?
待ち時間の長い病院への付き添いは、現役世代にとって大きな負担です。
介護保険外の「自費移送サービス」や、病院内での付き添いを代行してくれるサービス(ケアタクシー等)を活用しましょう。プロが対応してくれるため、移動中の介助も安心です。
「通院は家族がするもの」という固定観念を外すだけで、働きやすさは大きく変わります。
通院の待ち時間が限界なら、「通院しない」選択肢もあります。
医師が自宅に来てくれる訪問診療の費用・仕組み・対象者を確認し、通院負担をゼロにする方法も検討してみましょう。

在宅介護の自費サービスに関するよくある質問
- 介護保険と自費サービスは併用できますか?
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はい、問題なく併用できます。むしろ、ケアマネジャー(介護支援専門員)も、介護保険の限度額を超える場合や、保険適用外のニーズがある場合には、積極的に自費サービスの活用を提案することが増えています。ケアプランに影響しない範囲で自由に契約可能です。
- 自費サービスを使うことに罪悪感があります。
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そのお気持ちは分かりますが、決して悪いことではありません。家族が疲弊して共倒れになってしまうのが最悪の事態です。サービスを使って余裕ができた時間で、親御さんとゆっくりお茶を飲んだり会話をしたりする方が、お互いにとって精神的な満足度は高くなります。
- 費用を抑えるコツはありますか?
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自治体によっては、独自の「配食サービス補助」や「おむつ支給事業」などの高齢者福祉サービスを行っている場合があります。これらは介護保険とは別の制度です。まずはお住まいの地域の「地域包括支援センター」や役所の高齢福祉課に問い合わせてみることをおすすめします。
- 見守りカメラはプライバシーの侵害になりませんか?
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トイレや脱衣所などは避け、リビングや廊下など共有スペースに設置するのが一般的です。また、映像が常時映るタイプではなく、人感センサーで「動き」だけを確認できるタイプ(ポットの使用履歴など)を選ぶことで、プライバシーに配慮しながら安否確認が可能です。
まとめ:自分を守ることが、親を守ることに繋がる
今回紹介したサービスは、すべて「お金」がかかります。しかし、それによって得られるものは、単なる時間だけではありません。「介護者であるあなたの心の余裕」です。
✅今日からできるアクション
- まず「一番ストレスを感じている家事」を1つ書き出す。
- その家事を代行できるサービス(配食や家事代行)のお試しセットを申し込んでみる。
- 地域包括支援センターに「自費サービスの情報が欲しい」と相談してみる。
あなたが笑顔でいられなければ、良い在宅介護は絶対に続きません。
便利なサービスは賢く使い倒し、チーム戦で介護を乗り切っていきましょう。









