さらに高額介護サービス費・補足給付・高額療養費/合算療養費を併用すれば、月数万円〜年間十数万円の軽減が現実的。
医療費は別建て(外部医療連携が基本)なので、制度を使った上限管理がカギです。
本記事の流れ:①費用の内訳 → ②使える制度 → ③具体シミュレーションで、支払い総額を無理なく下げる手順を解説します。
これからグループホームに入居する方も、既に入居されている方も、適切な手続きをしてお金の負担を減らしていきましょう。
グループホームの費用相場

グループホームの費用は、月額12〜16万円程度 が全国的な相場です。
特養や老健に比べるとやや高額ですが、有料老人ホームほどではありません。
認知症ケアに特化した少人数制の施設であることから、費用は一定の水準で安定しており、入居一時金が不要なケースが多いのも特徴です。
地域 | 相場(月額) | 内訳イメージ |
---|---|---|
三大都市圏 | 14〜20万円 | 家賃高め・管理費やや高い |
地方都市 | 12〜20万円 | 家賃・食費が控えめ |
郊外/地方 | 12〜18万円 | 総額が抑えやすい |
ここでは、グループホームの費用相場を詳しく見ていきます。
入居一時金
- 基本的に 不要
- ごく一部の施設で敷金や保証金(10〜50万円程度)が必要になる場合あり
→有料老人ホームと違い、まとまった初期費用がかからないため、入居のハードルは比較的低いです。
月額費用
グループホームの月額費用は、12〜16万円程度が一般的です。
内訳の目安:
- 家賃(居室料):3〜7万円
- 食費:3〜5万円
- 水道光熱費:1〜2万円
- 管理費・共益費:1〜2万円
- 介護サービス費(自己負担分):2〜4万円
医療費は別でかかる
日中:利用者3人に介護職1人(常勤換算)/夜間:ユニットごとに1人が配置基準の目安。
病院受診や訪問診療・訪問看護などの医療は外部連携中心なので、ご本人様の状態に応じて医療費が別途必要となります。
介護サービス費(自己負担)
介護サービス費は介護保険が適用され、1〜3割負担 となります。
例:要介護3(1割負担)の場合
- サービス費総額:約22万円
- 自己負担:約22,000円
要介護度が高いほど費用は増えますが、高額介護サービス費制度により月額上限が設けられるため、極端に高額になることはありません。
他施設との比較(費用面)
グループホームは「特養よりやや高いが、有料老人ホームよりは安い」という位置づけで、費用と安心感のバランスが良い施設 といえます。
施設種別 | 費用相場(月額) | 入居一時金 | 特徴 |
---|---|---|---|
グループホーム | 12〜16万円 | 原則不要(敷金あり) | 認知症ケア特化、小規模共同生活 |
特養 | 12〜15万円 | 不要 | 公的で安価、待機者が多い |
老健 | 8〜13万円 | 不要 | 医療+リハビリ重視、中間施設 |
有料老人ホーム | 15〜30万円 | 数百万円〜数千万円 | サービス・快適性重視 |
サ高住 | 10〜20万円 | 敷金程度 | 賃貸住宅型、自由度が高い |
介護医療院 | 12〜20万円 | 不要 | 医療依存度が高い人も可 |
グループホームの費用の内訳

グループホームの費用は、家賃・食費・光熱費・介護サービス費 などから構成されます。
有料老人ホームと違って「入居一時金」が不要な場合が多いため、毎月のランニングコストをどう捻出するかがポイントです。
ここでは、主要な費用項目を詳しく解説します。
家賃(居室料)
- 1人部屋の個室が基本
- 月3〜7万円程度
- 地域や施設の新しさによって差がある
→大都市圏や新設の施設は高額になりやすいですが、地方では低めに抑えられています。
食費
- 1日3食+おやつを提供
- 月3〜5万円程度
- 介護食やきざみ食など特別対応が必要な場合は追加費用あり
→家庭的な食事を提供する施設も多く、「食の安心感」が利用者の満足度につながります。
水道光熱費
- 月1〜2万円程度
- 冷暖房費が夏季・冬季に上乗せされるケースあり
→個室の電気代を実費請求する施設もあります。
管理費・共益費
- 月1〜2万円程度
- 共用スペースの維持、清掃、スタッフ人件費などを含む
介護サービス費(自己負担分)
介護サービスは介護保険が適用され、自己負担は1〜3割です。
目安(1割負担の場合):
- 要介護1:約20,000円/月
- 要介護3:約22,000円/月
- 要介護5:約27,000円/月
高額介護サービス費制度により、一般世帯で月44,400円までに上限 が設けられているため、負担が膨らみすぎる心配はありません。
医療費(自己負担分)
- 定期的な通院・投薬:数千円〜1万円程度
- 往診・訪問診療:1回数千円
- 処置(点滴・褥瘡治療など):数千円〜数万円
グループホームは医療体制が外部連携中心のため、別途医療費がかかる点に注意 が必要です。
月額費用のシミュレーション(要介護3・1割負担)
- 家賃:50,000円
- 食費:45,000円
- 水道光熱費:12,000円
- 管理費:15,000円
- 介護サービス費:22,000円
- 医療費:8,000円
合計:約15.2万円
特養よりはやや高いですが、有料老人ホームよりは安価で、認知症ケアを受けながら安心できる生活 が可能です。
グループホームの費用を抑えるためのポイント

グループホームの費用は月12〜16万円が相場ですが、制度や工夫を活用すれば 年間数十万円の節約 も可能です。
特に介護保険の活用や自治体助成を組み合わせることで、経済的負担を大きく軽減できます。
ここでは、グループホームで利用できる費用軽減のポイントを整理します。
高額介護サービス費を活用する
介護サービス費には自己負担の上限が設けられています。
- 一般世帯:44,400円/月
- 住民税非課税世帯:24,600円/月
- 現役並み所得者:140,100円/月
要介護度が高い人ほど効果的で、「介護サービス費が思った以上に膨らむ」リスクを防ぎます。
補足給付で食費・居住費を軽減
住民税非課税世帯で資産要件を満たす場合、補足給付(特定入所者介護サービス費) を利用できます。
- 食費:月45,000円 → 約12,000円
- 居住費:月50,000円 → 数千円〜1万円程度
条件を満たせば、月数万円の軽減効果 が期待できます。
医療制度を組み合わせる
グループホームは医療体制が外部連携中心のため、通院や訪問診療による医療費が発生します。
そこで 高額療養費制度 や 高額医療・高額介護合算制度 を活用すれば、医療費と介護費の二重負担を防げます。
慢性疾患や持病のある方ほど重要です。
自治体独自の助成制度を調べる
自治体によっては以下のような助成が用意されています。
- おむつ代助成
- 理美容代助成
- 交通費助成
- 食費・居住費への追加補助
見落とされがちですが、年間で数万円〜十数万円の節約 につながります。
入居プランを見直す
- 居室のタイプを工夫(大都市圏では地方施設を検討)
- 食費込みプランか実費精算かを比較
- 医療費が高い人は「往診対応が整った施設」を選んだ方がトータル安価になる場合も
専門家に相談する
ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談することで、申請漏れや制度利用の見逃しを防止 できます。
💡ポイントまとめ
- 高額介護サービス費 → 介護費に上限
- 補足給付 → 食費・居住費の軽減
- 医療制度 → 医療費との二重負担を防ぐ
- 自治体助成 → 生活費全般の負担軽減
- 専門家相談 → 制度を漏れなく活用
グループホームの費用は「高い」と思われがちですが、制度を組み合わせれば現実的な範囲に抑えられます。
介護保険で使える制度

グループホームは「認知症対応型共同生活介護」という介護保険サービスに位置づけられています。
そのため、介護保険を利用してサービスを受けることができ、自己負担は1〜3割に抑えられます。
さらに、条件を満たせば 高額介護サービス費や補足給付 などの制度も適用されます。
高額介護サービス費
介護保険サービス費の自己負担には月額上限が設けられています。
- 一般世帯:44,400円/月
- 住民税非課税世帯:24,600円/月
- 現役並み所得者:140,100円/月
認知症の方は介護度が進みやすく、要介護3以上で入居するケースも多いため、この制度の恩恵を受けやすいのが特徴です。
補足給付(特定入所者介護サービス費)
グループホームでは、食費と居住費を軽減する補足給付を利用できる場合があります。
- 対象:住民税非課税世帯+資産要件を満たす人
- 軽減例
・食費:月45,000円 → 約12,000円
・居住費:月50,000円 → 数千円〜1万円
条件を満たすことで、毎月5万円前後の節約 になるケースもあります。
要支援2から利用可能
他の施設が「要介護1以上」や「要介護3以上」を条件とするのに対し、グループホームは 要支援2から入居可能 です。
まだ軽度の段階から介護保険を活用できる点で、早期入居を検討する家族にとって安心材料となります。
制度を利用した場合の試算
例:要介護3・住民税非課税世帯(1割負担)の場合
- 食費:45,000円 → 12,000円(補足給付)
- 居住費:50,000円 → 10,000円(補足給付)
- 介護サービス費:35,000円 → 24,600円(高額介護サービス費)
合計:月約15万円 → 約6.6万円まで軽減可能
ポイント整理
- グループホームは「認知症対応型共同生活介護」として介護保険が適用
- 高額介護サービス費で介護費に上限
- 補足給付で食費・居住費を大幅軽減
- 要支援2から利用可能で、早期入居がしやすい
制度を活用すれば、グループホームの費用負担は大幅に抑えられ、認知症の方が安心して暮らせる環境を現実的なコストで実現できます。
医療制度との関係(高額療養費・合算制度)

グループホームは「認知症ケアに特化した生活の場」であり、医師や看護師が常駐する施設ではありません。
そのため、日常の通院・訪問診療・薬代といった 医療費が別途発生 します。
この医療費負担を抑えるために活用できるのが、高額療養費制度 と 高額医療・高額介護合算療養費制度 です。
高額療養費制度(高額医療費制度)
医療費が高額になった場合、自己負担額を一定の上限に制限する制度です。
- 一般所得者:57,600円/月(外来18,000円)
- 住民税非課税世帯:24,600円/月
- 現役並み所得者:80,100円+医療費の1%
例:通院や訪問診療で月10万円の医療費がかかっても、一般世帯なら57,600円までに軽減されます。
注意点
- 差額ベッド代・食費は対象外
- 「限度額適用認定証」を事前に取得すれば、窓口負担を軽減可能
高額医療・高額介護合算療養費制度
介護と医療の両方を利用している世帯に適用され、年間の自己負担に上限を設ける制度 です。
- 一般世帯:年間56万円まで
- 住民税非課税世帯:約31万円
- 現役並み所得者:約212万円
例:
- 介護費:40万円/年
- 医療費:30万円/年
合計70万円 → 一般世帯の上限56万円を超えるため、14万円が払い戻し されます。
制度の使い分けと効果
- 高額療養費制度 → 月単位 で医療費に上限
- 高額介護サービス費 → 月単位 で介護費に上限
- 合算療養費制度 → 年間単位 で介護+医療費を合算して上限
この3つを組み合わせれば、認知症で医療依存度が高い方でも、安心してグループホームを利用できます。
ポイント整理
- グループホームは医療費が別途発生するため、制度活用が必須
- 高額療養費制度 → 1か月の医療費に上限
- 高額介護サービス費 → 介護費に上限
- 合算療養費制度 → 1年間の医療+介護の合計に上限
- 制度を知らないと「払い過ぎ」になる可能性がある
制度を正しく利用することで、医療と介護の二重負担を最小限に抑えられる のが大きなメリットです。
自治体の独自助成制度

グループホームの費用は介護保険や医療制度である程度軽減できますが、さらに 自治体独自の助成制度 を利用できる場合があります。
国の制度でカバーしきれない部分を補う仕組みとして、家計の負担を下げるうえで大切なポイントです。
利用者負担軽減制度
一部の自治体では、低所得者を対象に 介護サービス費の自己負担を軽減 する制度を設けています。
- 内容:自己負担を25〜50%軽減
- 対象:住民税非課税世帯や生活困窮世帯(資産要件あり)
- 申請先:市区町村の介護保険課
高額介護サービス費と併用できる場合もあり、月数万円の軽減効果 が期待できます。
食費・居住費への追加助成
国の「補足給付」で対象外となった人を救済する目的で、独自に補助を行う自治体があります。
例:
- 東京都23区の一部:食費・居住費の助成制度
- 横浜市:介護サービス利用者負担助成
- 神戸市:「利用者負担軽減確認証」を発行
グループホーム利用者も対象になることが多く、申請する価値があります。
生活関連の助成
介護費そのものではなく、日常生活に関わる費用を支援 する制度もあります。
- 紙おむつ代助成(毎月数千円)
- 理美容代助成
- 通院交通費助成
- 福祉用具購入補助
少額でも積み重ねると年間数万円の節約になります。
社会福祉法人による軽減制度
社会福祉法人が運営するグループホームでは、独自の費用軽減制度を設けている場合があります。
- 介護サービス費の自己負担を軽減(例:1割 → 0.5割)
- 生活支援サービスの一部を無償提供
入居希望の施設が社会福祉法人かどうかを確認することが重要です。
制度を調べる方法
- 市区町村役所の介護保険課・高齢福祉課に問い合わせ
- 自治体の公式ホームページで「介護 費用 軽減」「高齢者 福祉制度」を検索
- 入居予定のグループホームに直接確認
制度は自治体によって大きく異なるため、必ず地域ごとに調べることが大切 です。
ポイント整理
- 自治体の独自助成は「国の制度で救われない部分」を補う役割
- 食費・居住費・日常生活費を支援
- 社会福祉法人の独自軽減制度も見逃せない
- 役所+公式サイト+施設への確認で情報を取りこぼさない
自治体助成を活用すれば、月1〜2万円、年間数十万円の節約 につながる可能性があります。
よくある質問
- 入居一時金は必要ですか?
-
原則不要です。例外として敷金・保証金が10〜50万円程度かかる施設がありますが、有料老人ホームのような高額一時金は一般的ではありません。
- 医療費は別にかかりますか?
-
グループホームは外部医療連携が基本のため別建てです。高額療養費制度(2025年8月以降は区分見直しあり)を使えば自己負担の上限管理ができます。
- どのくらい費用を安くできますか?
-
高額介護サービス費で介護費の上限管理、補足給付で食費・居住費を軽減、医療は高額療養費+合算療養費で調整し、月数万円〜年十数万円の軽減が現実的です。
- 誰が入居できますか?条件は?
-
認知症の診断があり、要支援2以上が目安。加えて地域密着型のため、原則その市区町村の住民であることが求められます(共同生活に支障がないこと)。
- 高額医療・高額介護の合算療養費はいつ計算しますか?
-
計算期間は毎年8/1〜翌7/31です。期間内の医療+介護自己負担の合計が上限を超えた分は申請で払い戻し。領収書・自己負担額の控えを保管しておきましょう。
- 空室待ちはありますか?早く入るコツは?
-
地域や人気度で待ちが発生します。候補施設を複数確保し、見学や書類を先に整える、入居時期を幅広に提示、ケアマネと連携して情報更新をこまめに行うのが近道です。
まとめ:グループホームの費用は制度を活用して抑えられる

グループホームは、認知症ケアに特化した少人数制の介護施設です。
家庭的な雰囲気の中で安心して暮らせる一方、月額12〜16万円 と特養や老健に比べるとやや高額になります。
しかし、有料老人ホームほどの費用負担ではなく、認知症ケアを重視したい家庭にとって現実的な選択肢となります。
さらに、介護保険・医療制度・自治体助成を組み合わせることで、自己負担を大幅に軽減することが可能 です。
本記事のポイントまとめ
- 費用相場:月12〜16万円(入居一時金は不要のケースが多い)
- 費用の内訳:家賃・食費・光熱費・介護サービス費・医療費
- 費用を抑える方法:
・高額介護サービス費 → 介護費に上限
・補足給付 → 食費・居住費を軽減
・高額療養費・合算制度 → 医療+介護の二重負担を抑える
・自治体助成・法人独自制度 → 追加のサポート - 対象者:認知症と診断され、要支援2以上の方から利用可能
読者へのアドバイス
グループホームの費用は「少し高い」と感じられるかもしれません。
しかし、制度を活用すれば特養と大きな差がない水準まで抑えることも可能です。
大切なのは:
- 入居前に 複数施設を比較して費用シミュレーションを行うこと
- 制度を もれなく申請し、軽減策を最大限に利用すること
- 家族で介護の方針を話し合い、安心して生活を続けられる環境 を選ぶこと
まとめの一言
グループホームは、認知症の方にとって 「第二の我が家」 となる施設です。
費用の不安を制度でカバーしながら、本人と家族にとって最適な介護の形を見つけていきましょう。