「親の退院が決まったけれど、訪問診療と訪問看護、どっちを頼めばいいの?」
「両方頼むと費用が高くなりそうで不安…」
在宅介護の準備を始めると、必ずこの「役割の違い」と「費用の壁」にぶつかります。
言葉は似ていますが、実はこの2つ、「野球のバッテリー(ピッチャーとキャッチャー)」のような関係で、切っても切り離せないものなのです。
この記事では、訪問診療クリニック事務長の視点から、「訪問診療と訪問看護」2つのサービスの違い・費用比較・賢い使い分けを、専門用語を使わずに分かりやすく解説します。
読み終える頃には、「我が家には何が必要か」が明確になっているはずです。
【結論】訪問診療は「司令塔」、訪問看護は「実働部隊」
細かい制度の話をする前に、まずはイメージを掴みましょう。
在宅医療の現場では、以下のように役割分担をしています。
- 訪問診療(医師)= 司令塔
治療方針を決め、薬を処方し、看護師に指示を出す。訪問は月2回が基本。 - 訪問看護(看護師)= 実働部隊
医師の指示のもと、週に何度も訪問して実際のケア(点滴、処置、保清)を行う。
つまり、「医師が監督して、看護師が日常を守る」というタッグチームです。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
訪問診療の特徴:医療の責任者
通院が困難な方に対し、医師が計画的に自宅を訪問します。
- 主な役割:診察、薬の処方、死亡診断、訪問看護指示書の発行
- 訪問頻度:通常は月2回(隔週)
- 緊急時:24時間365日の連絡体制(必要に応じて往診)
訪問看護の特徴:生活のサポーター
看護師や理学療法士が訪問し、医師の指示に基づいたケアを行います。
- 主な役割:健康観察、入浴介助、床ずれ処置、点滴管理、家族への指導
- 訪問頻度:週1回〜3回(状態により毎日も可)
- 利用保険:介護保険または医療保険(病気の種類による)
【比較表】費用・役割・利用条件の違い
ご家族が一番気になる「違い」を表にまとめました。
特に「費用の決まり方」に注目してください。
| 項目 | 訪問診療(医師) | 訪問看護(看護師) |
|---|---|---|
| 誰が来る? | 医師(+ドライバー、看護師等) | 看護師、理学療法士など |
| できること | 診断、処方箋発行、注射、 死亡診断、入院決定 | 医療処置(点滴交換等)、 清拭、リハビリ、家族相談 |
| 使う保険 | 医療保険+介護保険 | 介護保険が優先 ※末期がん等は医療保険 |
| 費用の目安 (1割負担) | 月額 6,000円〜8,000円 (月2回訪問の場合) | 月額 3,000円〜8,000円 (週1〜2回利用の場合) |
| 開始条件 | 通院が困難であること | 医師の指示書があること |
※費用はあくまで目安です。緊急対応の有無や加算により変動します。
訪問診療の費用が高くなる仕組みや、負担を抑える具体的な方法はこちらの記事を参考にしてください。

「訪問看護だけ」頼むことはできる?
費用のことを考えて「医師(訪問診療)は頼まず、訪問看護だけ来てほしい」と考えるご家族は少なくありません。
結論から言うと、「制度上は可能だが、実際は難しいケースが多い」です。
なぜ難しいのか?
訪問看護を利用するには、必ず「訪問看護指示書」という書類が必要です。
これは医師しか書けません。
- パターンA:外来のかかりつけ医が書いてくれる場合
-
今まで通っていた病院の先生が「指示書だけ書きますよ」と言ってくれれば、訪問看護のみの利用が可能です。
ただし、先生が在宅医療に詳しくない場合、トラブル時の連携が難しくなるリスクがあります。 - パターンB:訪問診療医にお願いする場合
-
訪問看護を利用するなら、その指示を出す責任者として「訪問診療」もセットで契約するのが一般的です。
医師が定期的に診察していない患者に対して、無責任に指示書を書くことはできないからです。
安全に在宅生活を続けたいなら、「訪問診療+訪問看護」のセット利用を強くおすすめします。
何かあった時に医師と看護師が直通で連絡を取り合える体制が、ご家族の最大の安心材料になるからです。
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【実践編】導入から連携までの流れ
訪問診療→診察後に訪問看護に来てもらうための「指示書」を発行する流れになります。
まずはケアマネジャーか、入院中の病院の相談員(MSW)に「自宅で医療を受けたい」と相談します。
紹介されたクリニックと面談し、契約します。この時点で、医師が「訪問看護も入れたほうがいいね」と判断すれば、提携のステーションを紹介してくれます。
訪問診療医が、訪問看護ステーション宛に「指示書」を発行します。これで看護師が動けるようになります。
医師は月2回、看護師は週1〜3回など、それぞれのスケジュールで訪問を開始します。
医療体制が整ったら、次は「自宅の環境」を見直しましょう。
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訪問診療と訪問看護に関するよくある質問
- 訪問診療と訪問看護、どちらか一方だけを利用できますか?
-
原則として「訪問診療」と「訪問看護」は連携して利用することが多いです。訪問看護は医師の指示書が必要になるため、訪問診療やかかりつけ医の関与が不可欠です。
- 費用はどのくらいかかりますか?
-
訪問診療は医療保険を利用でき、1割負担なら月2回で5,000〜7,000円前後が目安です(診療内容や加算により変動)。訪問看護は医療保険・介護保険のどちらも使えますが、週数回利用すると1割負担で数千円〜1万円程度かかることが多いです。
- 緊急時はどちらが対応してくれますか?
-
訪問診療は24時間連絡体制が整っており、主治医が必要時に往診します。訪問看護は夜間オンコール対応を行うステーションもありますが、医師の診断・処方が必要な場合は訪問診療につなぎます。
- どちらを優先的に導入すればよいですか?
-
まずは「訪問診療(医師)」を導入し、医師が訪問看護の必要性を判断して指示書を発行する流れが一般的です。
- 退院直後は訪問診療と訪問看護どちらが必要ですか?
-
多くの場合、両方必要です。医師が治療方針を立て、訪問看護が日常的なケアを担うことで、在宅生活が安定します。
- 訪問看護は医師が来てくれないと受けられないのですか?
-
はい。訪問看護は必ず医師の指示書が必要です。訪問診療やかかりつけ医の関与なしには始められません。
「本当に家で看られるか不安…」という方は、費用や家族負担から考える在宅医療と施設入居の比較ガイドもご覧ください。


まとめ:迷ったら「セット」で考えるのが正解
訪問診療と訪問看護の違いを比較してきましたが、最終的には「両方が連携して一つのチーム」になることがほとんどです。
- 医師(訪問診療)は、全体の方針決定と薬の管理、緊急時の砦。
- 看護師(訪問看護)は、日々のケアと家族の精神的な支え。
費用についても、医療保険の高額療養費制度などを使えば、両方利用しても上限額(一般所得者で月18,000円など)に収まるケースが多々あります。
「費用が高くなるから片方にしよう」と自己判断せず、まずはケアマネジャーやクリニックに「セットで利用した場合のシミュレーション」を依頼してみてください。
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