「介護医療院ってどんな施設?老人ホームや病院とどう違うの?」
2018年に新しく創設された介護医療院は、まだ一般的な認知度が低く、仕組みが分かりにくい施設のひとつです。
介護医療院は、長期的な医療ケアと介護を一体的に提供する施設で、かつての「介護療養病床」に代わる存在です。
医療ニーズが高く、自宅や一般的な介護施設での生活が難しい高齢者が、安心して長期療養できる場所として整備されています。
この記事では、介護医療院の基本情報・入居条件・費用の目安・入居までの流れ・どんな人に向いているかを、初心者向けに分かりやすく解説します。
読み終えれば、老人ホームや病院との違いを理解し、自分や家族に適しているか判断できるようになります。
まずは全体像を把握したいという方は:老人ホームの種類まとめ
種類の違いは:老人ホームの種類と違い(比較)で確認できます。


介護医療院とは?どんな施設かをわかりやすく解説

介護医療院は、2018年に創設された新しい介護保険施設で、医療ケアと介護サービスを一体的に提供する長期療養型の施設です。
従来の「介護療養病床」が廃止される流れを受けて整備されました。
基本情報(施設形態・特徴・役割)
- 施設形態:介護保険施設(公的な指定を受けた医療系施設)
- 特徴:医師・看護師が常勤し、日常的に医療ケアが受けられる
- 役割:重度の介護や医療ニーズを抱える高齢者が、長期的に安心して生活できる場を提供
2つのタイプ
介護医療院は、入居者の状態に応じて2つの類型があります。
- Ⅰ型:重度の要介護者や医療依存度が高い人向け。医療提供を重視
- Ⅱ型:比較的安定した状態の人向け。生活の場としての機能を重視
ポイント
介護医療院は「病院と老人ホームの中間」に位置づけられる施設です。
医療依存度が高く、かつ在宅や一般的な老人ホームでは生活が難しい人の受け皿として重要な役割を担っています。
介護医療院の入居条件|対象者・介護度・医療依存度を解説

介護医療院は、医療と介護の両方を必要とする高齢者が対象となります。
誰でも入居できるわけではなく、介護度や医療ニーズに応じた基準があります。
主な入居条件
- 要介護度
・原則として 要介護1以上
・多くは 要介護3〜5の重度の方が対象 - 医療依存度
・褥瘡(床ずれ)、経管栄養、酸素吸入、頻回の医療管理が必要な方など
・ただし急性期治療が必要な場合は病院が優先される - 年齢
・原則65歳以上(特定疾病があれば40歳以上も対象) - 生活環境
・在宅や一般施設での介護が困難な人
ポイント
介護医療院は、「医療ケアを日常的に必要とする高齢者」が対象です。
自立度が高い人や軽度介護の人には適さず、あくまで「重度の医療・介護ニーズを抱える方」の住まいとして利用されます。

介護医療院の費用相場はいくら?他施設との比較も紹介

介護医療院の費用は、特養や老健よりやや高めで、月額12〜20万円程度が一般的です。
医療ケアを含む分、有料老人ホームよりは抑えられる場合もあります。
月額費用の相場
- 居住費:2〜6万円
- 食費:3〜4万円
- 介護サービス費(自己負担分):2〜5万円(介護保険の1〜3割負担)
- 医療費の自己負担分:数千円〜数万円(高額療養費制度の対象)
- その他(おむつ代・日用品):数千円〜1万円
👉 合計で 12〜20万円程度
入居一時金
- 不要
- 初期費用は敷金などの数万円程度に限られる
ポイント
介護医療院は、医療ニーズの高い人が長期的に生活できる割には費用が抑えられているのが特徴です。
高額介護サービス費や高額療養費制度を活用すれば、さらに負担を軽減できる場合があります。
他施設との費用比較表
おおまかにですが、比較表は以下の通りになります。
| 施設種別 | 費用相場(月額) | 入居一時金 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| グループホーム | 12〜16万円 | 不要(敷金程度) | 認知症ケア特化、小規模共同生活 |
| 特養 | 12〜15万円 | 不要 | 公的で安価、待機者が多い |
| 老健 | 8〜13万円 | 不要 | 医療+リハビリ重視、中間施設 |
| 有料老人ホーム | 15〜30万円 | 数百万円〜数千万円 | サービス・快適性重視 |
| サ高住 | 10〜20万円 | 敷金程度 | 賃貸住宅型、自由度が高い |
| 介護医療院 | 12〜20万円 | 不要 | 医療依存度が高い人も可 |
費用の内訳や制度の活用法は介護医療院の費用相場で詳しく解説しています。
費用を比較したい方は老人ホーム・介護施設の費用相場を徹底比較や、費用を抑える制度ガイドも参考にどうぞ。
介護医療院の入居までの流れ|申し込みから契約までの手順

介護医療院の入居は、病院からの紹介やケアマネジャーを通じて進めるのが一般的です。
特養や老健より医療色が強いため、医師の診断書や医療情報が必須となります。
一般的な流れ
- 相談・情報収集
・ケアマネジャー、病院の医療ソーシャルワーカーに相
・候補施設の空き状況を確認 - 見学・面談
・施設を見学し、医療体制やスタッフ配置を確認
・本人や家族との面談で、医療依存度や介護の必要度を確認 - 申込・書類提出
・介護保険証、健康診断書、主治医の診療情報提供書を提出 - 入居判定会議
・医師・看護師・介護職員らが、医療ニーズと生活状況を総合的に審査 - 契約・入居
・判定を通過すれば契約を結び、入居開始
ポイント
介護医療院は医療と介護の両面で受け入れが可能かどうかを丁寧に審査するため、申込から入居までに一定の時間がかかることがあります。
病院からの退院調整の一環として利用されるケースが多いため、早めの相談が大切です。

介護医療院はどんな人に向いている?利用の目安をチェック

介護医療院は、医療ニーズが高く、かつ長期的に介護が必要な高齢者に適した施設です。
病院ほどの急性期医療は受けられませんが、日常的な医療管理と介護を一体的に受けられるのが強みです。
利用に向いているケース
- 医療ケアが日常的に必要な人
→経管栄養、酸素吸入、褥瘡処置などを継続している方 - 要介護度が重い人
→要介護3〜5で、在宅や一般の施設では介護が難しい方 - 長期療養が必要な人
→慢性疾患や身体機能の低下で、病院退院後も生活の場を必要とする方 - 在宅介護が困難な人
→家族が高齢、同居者がいないなどで24時間の介護ができない場合
ポイント
介護医療院は「病院では長期療養できないが、自宅や特養でも対応できない」という方に向いた施設です。
医療と介護の両方を日常的に必要とする人の“最後の住まい”として選ばれることが多いです。

介護医療院のメリット・デメリットを比較|注意点も解説

介護医療院は、医療と介護を両立できる点で心強い施設ですが、すべての人に適しているわけではありません。
メリットとデメリットを整理して理解しておきましょう。
メリット
- 医療と介護を一体的に受けられる
・医師、看護師が常勤しており、日常的な医療管理が可能 - 長期療養が可能
・病院のように退院を迫られることがなく、終の住まいとして利用できる - 費用が比較的抑えられる
・有料老人ホームより安価で、医療ケアを含めて月額12〜20万円程度 - 家族の負担軽減
・医療依存度が高い方でも安心して任せられるため、家族の介護負担が大幅に軽減
デメリット
- 生活の自由度が低い
・医療-介護中心の環境のため、趣味活動や外出の自由は制限されやすい - 入居対象が限定的
・医療依存度が低い方や自立度が高い方には適さない - 施設数が少ない
・2018年に創設されたばかりで、地域によっては選択肢が限られる - 家庭的な雰囲気に欠ける場合もある
・医療色が強く、生活施設というより療養施設に近い印象になることもある
ポイント
介護医療院は「医療と介護を必要とする重度の高齢者」にとって安心できる施設ですが、生活の自由度や施設数の少なさといった課題もあります。
入居前には必ず見学して、生活環境が本人に合うか確認することが大切です。
施設ごとの違いを横並びで見たい方は、老人ホームの種類と違い(比較)で確認できます。
費用比較や制度を詳しく知りたい方は、介護医療院の費用相場や、老人ホーム費用を軽減する制度ガイドもおすすめです。



まとめ

介護医療院は、医療と介護を一体的に受けられる長期療養型の施設です。
2018年に誕生した比較的新しい制度で、従来の介護療養病床に代わる役割を担っています。
- 入居条件:要介護1以上、特に要介護3〜5で医療依存度が高い人
- 費用の目安:月額12〜20万円程度、入居一時金は不要
- 特徴:医師・看護師が常勤し、日常的な医療管理と介護を受けられる
- 向いている人:在宅や一般施設での生活が難しい人、慢性疾患や医療ケアが必要な人
👉 介護医療院を検討するときの次のステップ
- 主治医やケアマネに相談して、入居の適性があるか確認
- 候補となる施設を見学し、医療体制・スタッフ配置を比較
- 入居待機が発生する可能性も考え、早めに申し込みを進める
介護医療院は「病院でも自宅でもない、医療と介護の両立した住まい」です。
医療依存度が高くても安心して生活できる環境を求めている方にとって、重要な選択肢の一つとなるでしょう。


