「特養に申し込みはしたけれど、100人待ちと言われた」
「いつ順番が回ってくるのか分からず、今の生活がいつまで続くのか不安」
在宅で介護を続けながら特別養護老人ホーム(特養)の空きを待つ期間は、ご家族にとって出口の見えないトンネルのようなものです。
もう体力的にも精神的にも限界……。
施設に入れるまで、どうやって持ちこたえればいいの?
待機期間という「長期戦」を生き抜くための唯一の正解は、徹底的な外部サービスの活用(外注)です。
今回は制度論ではなく、今まさに限界を迎えているご家族が特養入居までを生き抜くための「具体的な生存戦略」を解説していきます。
なぜ特養の待機期間はこんなにも長いのか【現実を知る】
対策を立てる前に、敵を知る必要があります。なぜ特養はすぐに入れないのでしょうか。
まずは客観的な数字と仕組みを理解しましょう。
待機者数は全国で約25.3万人
厚生労働省の調査(令和4年度)によると、特養の入所申込者数(要介護3以上)は全国で約25.3万人にのぼります。
制度改正により、原則として要介護3以上でなければ入居できなくなったため総数は減少傾向にありますが、それでもこれだけの人数が「順番待ち」をしているのが現実です。
特養は「先着順」ではなく「優先度順」
ここが最大の誤解ポイントですが、特養の入居は申し込み順ではありません。
が最大の誤解ポイントですが、特養の入居は申し込み順ではありません。
「介護の必要性が高く、在宅での生活が困難な人」から優先的に案内されます。
優先順位が決まる主な要素(入所判定基準)
- 要介護度が高い(4〜5)
- 介護者(家族)が病気、高齢、不在(独居)である
- 認知症による問題行動(BPSD)が著しく、在宅維持が困難
入所判定委員会ではこれらの要素が点数化され、順位が常に入れ替わります。
つまり、「何もしないでただ待っている」だけでは、いつまで経っても順番が来ない可能性があるのです。
在宅介護の「限界」を回避する3つの外部サービス活用法
特養入居までの期間は、数ヶ月かもしれませんし、数年かかるかもしれません。
この不確定な期間を乗り切るために、家族がやるべきは「愛情を注ぐこと」だけにして、「作業」は徹底的にプロや機械に任せる(外注する)べきです。
特に負担が大きい「食事」「見守り」「排泄」の3つについて、具体的な切り出し方を紹介します。
1. 「食事」の準備・片付けを捨てる【宅配食の活用】
介護において意外とボディブローのように効いてくるのが「食事の支度」です。
- 高齢者向けの柔らかいメニューを考える
- 買い物に行く
- 調理し、細かく刻む
- 食べこぼしを片付け、食器を洗う
これを1日3回、365日続けるのは不可能です。
ここは割り切って、高齢者向けの「冷凍宅配弁当(宅配食)」を活用してください。
✅宅配食を導入するメリット
- 時間の確保:買い物・調理・片付けの時間が「ゼロ」になり、自分の休息時間に充てられます。
- 栄養管理:管理栄養士監修のため、素人が作るより栄養バランスが整います。
- 介護食対応:ムース食や柔らか食など、噛む力が弱った方向けの食事が豊富です。
「でも、どれを選べばいいか分からない」という方は、親御さんの状態に合わせて以下の2社から選ぶのが間違いありません。
- 噛む力が弱くなってきた方(ムース食など)
→ 『メディカルフードサービス』
※「ちょっと柔らかめ」から「ムース状」まで、やわらかさを3段階から選べるのが最大の特徴です。 - 糖尿病や腎臓病などの持病がある方
→ 『Dr.つるかめキッチン』
※専門医と管理栄養士のダブル監修で、制限食でも「味が美味しい」と評判です。
「手料理じゃないと可哀想」という罪悪感は不要です。倒れてしまっては元も子もありません。
より詳しい料金比較や、他のおすすめサービス(まごころケア食など)については、以下の記事で徹底比較しています。まずは「お試しセット」があるサービスから試してみてください。

2. 「見守り」の不安を捨てる【セキュリティ・センサー】
「トイレに行こうとして転ばないか」「夜中に一人で外に出てしまわないか」。
在宅介護で最も精神を削られるのが、この「いつ何が起きるか分からない」という緊張感です。
同居していても、24時間ずっと目を見張っていることはできません。
ここでは、テクノロジーとプロの目を借りましょう。
見守りカメラ・センサー
スマホで室内の様子を確認できるカメラや、ベッドから起き上がったことを知らせるセンサーを導入します。
Amazon等で数千円から購入可能です。
ホームセキュリティ(SECOM・ALSOK等)
「高齢者見守りプラン」などを活用すれば、万が一の時にガードマンが駆けつけてくれます。
トイレや浴室での急病時にボタン一つで通報できるシステムは、日中独居(家族が仕事に出ている時間)の強い味方です。
「監視しているようで気が引ける」と思われるかもしれませんが、転倒して骨折し、そのまま寝たきりになるリスクを考えれば、安全策をとることは優しさです。
3. 「入浴・排泄」をプロに振る【訪問介護・デイサービス】
身体的な負担が最も大きい「入浴」と「排泄」は、家族だけで抱え込まず、介護保険サービスを上限まで使いましょう。
- デイサービス:入浴はデイサービスで済ませてきてもらうのが鉄則です。自宅のお風呂での介助は、滑る危険もあり重労働です。
- 訪問介護(ヘルパー):おむつ交換や清拭など、プロの手技に任せることで、皮膚トラブル(褥瘡)も防げます。
ケアマネジャーに「もう限界です」と伝え、区分支給限度基準額いっぱいまでサービスを組み込んでもらうよう交渉してください。

それでも限界なら「ショートステイ」を使い倒す
宅配食やヘルパーを使っても在宅生活が回らない場合は、ショートステイ(短期入所生活介護)を活用します。
これは数日から数週間、施設に宿泊できるサービスです。
特養入居への「近道」になる場合も
親御さんが施設環境に慣れるための練習になりますし、ご家族にとっては「介護のない夜」を取り戻す貴重な時間になります。
「連続30日まで」という利用制限はありますが、一度帰宅して(あるいは自費利用を挟んで)リセットすれば、長期的な利用も制度上は可能です。
特養の順番を少しでも早めるための「賢い立ち回り」
最後に、ただ待つだけでなく、入居の順番を少しでも早めるためのポイントをお伝えします。
1. 申し込みは「1箇所」に絞らない
特養の申し込みに数制限はありません。
通える範囲の特養には全て申し込み書を提出してください(併願)。
施設によって待機者数や、男女部屋の空き状況は全く異なります。「A施設は50人待ちだが、隣町のB施設は男性部屋が空いていた」というケースは多々あります。
2. 状況が変わったら即連絡する
申し込み時の情報のまま更新されていない方が多くいます。
以下のような変化があった場合は、すぐに施設の相談員へ連絡し、情報を更新してもらいましょう。
優先順位が上がる可能性があります。
- 要介護度が上がった(例:要介護3→4へ)
- 主たる介護者(あなた)の体調が悪化した、仕事が変わった
- 認知症の症状(徘徊・暴言など)が悪化した
よくある質問
- 特養の待機期間は平均どれくらいですか?
-
地域や施設のタイプ(ユニット型・多床室)によりますが、一般的に数ヶ月〜数年単位です。ただし先着順ではなく「優先度順」のため、認知症の進行具合や家族の状況(介護者の病気など)によって点数が高くなれば、数週間〜数ヶ月で順番が回ってくるケースもあります。
- 要介護1や2ですが、特養に申し込むことはできますか?
-
原則は要介護3以上ですが、「特例入所」として認められる場合があります。「認知症による行動障害が著しい」「虐待の恐れがある」「単身で生活維持が困難」などの要件に該当すれば申し込み可能です。まずは担当ケアマネジャーか自治体の窓口へご相談ください。
- 複数の特養に同時に申し込んでもいいのですか?
-
はい、問題ありません。申し込み数に制限はないため、通える範囲の施設には可能な限り多く申し込むことをおすすめします(併願)。施設によって待機者の男女比や空き状況が異なるため、選択肢を広げることが早期入居への近道です。
- 今、自分が何番目なのか確認する方法はありますか?
-
申し込んだ施設の「生活相談員」に電話で問い合わせれば、おおよその順位を教えてもらえます。定期的に連絡を入れることで、こちらの困窮状況をアピールでき、情報の更新漏れも防げるため、数ヶ月に一度は状況確認することをおすすめします。
- 特養が空くまでショートステイをずっと使い続けられますか?
-
ショートステイは原則「連続30日まで」という決まりがありますが、31日目に1日だけ自宅に戻る、または1日分を全額自費利用にするなどの対応を挟むことで、実質的な長期滞在(ロングショート)が可能になる場合があります。施設側の受け入れ体制によるため相談が必要です。
- もし入居の順番が来た時に断ると、不利になりますか?
-
「今回は見送る」と断った場合、その施設での順位は下がりますが、申し込み自体が取り消されるわけではありません。また、入院中など正当な理由があれば考慮されます。ただし、一度断ると次の案内まで年単位で時間が空くこともあるため、慎重な判断が必要です。
まとめ:特養入居までは「親のため」ではなく「自分のため」に時間を使おう
特養の待機期間を乗り切るためのポイントを整理します。
- 特養は「順番待ち」ではなく「優先度順」。長期戦を覚悟する。
- 食事(宅配食)と見守り(セキュリティ)を外注して、物理的・精神的負担を減らす。
- 入浴・排泄は介護保険サービスをフル活用する。
- ショートステイでレスパイト(休息)を確保しつつ、施設の空きを待つ。
冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが、介護者が倒れてしまえば、親御さんも共倒れです。
「楽をすること」は「悪」ではありません。長く続く介護生活を継続させるための「必要な技術」です。
まずは、今日から始められる「食事の手抜き」から試してみませんか?
電子レンジで温めるだけの栄養バランスの整った食事を用意するだけで、夕方の忙しさが劇的に変わるはずです。


