訪問診療で働く看護師の仕事は、患者さんの生活に寄り添い、医師とともに医療を届けるやりがいのある仕事です。
しかし同時に、訪問診療看護師特有の悩みやストレスが積み重なり、心身に負担を感じる人も少なくありません。
今回は、現役や元訪問診療看護師の声をもとに代表的な悩み8選と、その具体的な解決法をまとめました。
転職やキャリアアップを考えている方にも役立つ情報です。
訪問診療看護師の主な悩み8選

1. 医師との関係・指示の受け方
訪問診療は医師とペアで動くため、人間関係の影響が大きい職場です。
医師によってはコミュニケーションが一方的になり、質問しづらい雰囲気になることもあります。
指示があいまいな場合や急な予定変更も珍しくありません。
- 訪問前に必要な情報を簡潔にまとめて共有する
- 医師の得意分野や診療スタイルを把握し、先読み行動を意識する
医師のルーティーンを把握しそれに合わせるとスムーズに事が進んだりします。慣れないと大変ですが…
2. 多職種連携の難しさ
ケアマネジャー、訪問看護、薬剤師、福祉事業者などとの情報共有が必須ですが、連絡のタイミングや方法で行き違いが発生することも。
多職種との価値観の違いから摩擦が生じる場合もあります。
- ICTツールや共有アプリ(例:LINE WORKS、医療用クラウド)を活用
- 週1回の定例ミーティングを設け、疑問や課題を早期共有
自分1人で決められることや出来ることは少ないので、組織全体を巻き込んで連携が取りやすい環境を作りましょう。
3. 患者・家族対応のストレス
患者や家族が抱える不安や苛立ちが、看護師へのクレームや感情的な言葉として現れることもあります。
在宅ならではの「生活空間での医療」だからこそ、距離感の取り方が難しい場面も。
- 初回訪問時に関係づくりの時間をしっかり確保
- 感情的対応は受け止めすぎず、必要に応じて上司や医師に共有
患者や家族の不安や負担が現れることがありますが、その時期を対応し乗り切ると信頼関係が生まれ、病院時代では考えられないほど感謝されることもあります。
4. 運転・移動時間の負担
訪問診療では、運転時間が1日の半分を占めるケースもあります。
交通渋滞や駐車場所探しもストレスの一因です。
- 訪問ルートの最適化(Googleマップ+施設住所登録)
- 車内で使えるリラックスグッズ(アロマディフューザー、腰サポートクッション)
事故の原因になるので、スケジュールが切迫しているからと急いで運転するのはやめましょう。
私がクリニックで全体に伝えているのは、「スケジュールが切迫しているのは帯同者の責任では無いので全く気にすることは無い。急いでも数分程度しか変わらないので、いつでも安全運転第一で落ち着いて行動しよう」です。
5. 記録・帳票業務の煩雑さ
訪問後の記録入力、診療報酬請求用の書類など、医療行為以外の業務が多いのも特徴です。
- 音声入力アプリやテンプレートの活用
- 事務スタッフとの分業体制を整備
上記に挙げましたが、クリニック全体の業務内容の問題なので1人のスタッフにはどうしようもないかもしれません。
自分で導入できることや工夫できる内容があれば試してみたり、他の職員と業務内容について話し合ってみたりしても、体制的な問題でストレスを感じるのであれば転職を考えても良いと思います。
6. 急変・緊急対応のプレッシャー
在宅診療中の急変は、病院とは違う制約下での対応が求められます。
救急搬送判断や家族への説明が看護師に委ねられる場面もあります。
- BLS/ACLS研修を定期的に受講
- シミュレーション訓練で判断力を強化
7. 求人の少なさ・キャリア不安
訪問診療看護師は求人数が限られ、条件の良い職場は競争率が高めです。
また、キャリアアップの道筋が見えにくく、将来への不安を抱く人もいます。
- 複数の転職サイトに登録して非公開求人もチェック
→ 年間44万人が利用する看護師転職サイト『ナースJJ』/ 転職活動を全面サポート!【レバウェル看護】
/ 看護師さんの転職なら全国10万人が利用するナースパワー
- 認定看護師やNP(診療看護師)資格取得を視野に入れる
8. プライベートとの両立困難
日中は訪問、夕方以降は記録整理や翌日の準備…と、帰宅後も仕事が続くケースがあります。
- 業務効率化ツール導入
- 就業規則でオンコール回数を調整
悩みを和らげる具体的対策

スキル研修・資格取得
キャリアアップや収入アップのためには、資格取得やスキル研修が有効です。
オンラインで学べる訪問看護スキル講座もあります。
→ アステッキ|医療系資格試験教材の購入
コミュニケーション改善法
- 事前共有の徹底
- 「Iメッセージ」で感情的摩擦を減らす
- チーム全体の信頼関係を築くための小さな雑談
リラックスグッズ・健康管理
長時間運転や精神的ストレスには、自宅や車内で使えるリラックスアイテムが効果的です。
例:首肩マッサージャー、アロマディフューザー、腰サポートクッション
→お風呂で温まってゆっくり寝て、自律神経を整えていきましょう。お風呂人生が変わった入浴剤を貼っておきます。
転職を考えるべきタイミングと成功のポイント

転職を検討すべきサイン
- 慢性的な体調不良や精神的疲労
- 職場改善の見込みがない
- キャリア停滞を感じる
成功のポイント
- 自分の希望条件を明確にする
- 複数の求人サイトで比較する
- 面接時に訪問同行を依頼し、現場の雰囲気を確認
まとめ

訪問診療看護師の仕事はやりがいが大きい一方で、現場特有の悩みがつきものです。
しかし、ツール活用・スキルアップ・転職など、選択肢は豊富にあります。
今の職場で改善を目指すか、新しい環境でリスタートするかはあなた次第です。
まずは情報収集から一歩を踏み出してみてください。