「健診でLDLコレステロールが高いと言われた。もう焼肉は一生我慢しなきゃいけないの?」
「血管が詰まるのが怖くて、外食を楽しめない……」
看護師として生活習慣病の指導をしていると、このような悲痛な声をよく耳にします。
確かに、脂たっぷりの肉を無防備に食べ続ければ、血液中のLDL(悪玉)コレステロールは急上昇し、動脈硬化のリスクを高めます。
むしろ、選び方さえ間違えなければ、牛肉の赤身は脂肪燃焼を助ける心強い味方にもなり得るのです。
この記事では、現役看護師の視点から、数値を悪化させずに焼肉を楽しむ「医学的に正しい部位選び」と「リスク回避のテクニック」を解説します。
この記事の結論
- 脂質異常症でも焼肉は「部位」と「食べ方」次第でOK
- 敵は肉ではなく「白い脂身(飽和脂肪酸)」である
- カルビは卒業し、L-カルニチン豊富な「赤身(ロース・ハラミ)」を選ぶ
- 翌日からの2日間で脂質を控えた「リセット食」を徹底する
なぜ「肉」ではなく「白い脂」が敵なのか
まず、医学的な根拠から「避けるべき正体」を明確にしましょう。
牛肉に含まれるタンパク質は、血管や筋肉を作るために不可欠です。
問題なのは、肉そのものではなく、そこに付着している「白い脂身」です。
LDLを増やす「飽和脂肪酸」の恐怖
肉の脂身やバターなど、常温で白く固まる脂には「飽和脂肪酸」が多く含まれます。
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2025年版)』では、飽和脂肪酸の摂取量を総エネルギーの7%以下に抑えることを目標としています。
飽和脂肪酸の過剰摂取リスク
飽和脂肪酸を摂りすぎると、肝臓でのコレステロール合成が促進され、血中のLDLコレステロール濃度が上昇します。
これが血管壁に入り込み、プラーク(コブ)を作ることで、心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。
つまり、焼肉で守るべき鉄則は「いかに白い脂(飽和脂肪酸)を口に入れないか」、この一点に尽きます。
実は、焼肉のような目に見える脂だけでなく、日常の食事に潜む「隠れ脂質」も数値悪化の大きな原因です。
我慢せずに数値を改善する食事術はこちらを参考にしてください。

看護師が選ぶ「血管を守る」焼肉部位ランキング
では、具体的にどの部位を選べばよいのでしょうか。
ポイントは、脂肪燃焼を助ける成分「L-カルニチン」が豊富な赤身肉を選ぶことです。
| 判定 | 部位 | 脂質量の目安 (100gあたり) | 解説・選び方 |
|---|---|---|---|
| ◎ 推奨 | ヒレ ロース(並) ハラミ | 約15〜20g | 代謝アップの味方。 ヒレは最も低脂質。ロースは「上」や「特上」だとサシ(脂)が増えるため、あえて「並」を選ぶのが賢い選択です。ハラミは赤身に見えますが内臓肉なので、食べ過ぎには注意しましょう。 |
| △ 注意 | タン(塩) レバー | 約20〜30g | タンはヘルシーなイメージがありますが、実は脂肪分が多めです。 レバーは鉄分豊富ですがコレステロール自体が高い食品なので、2〜3切れに留めましょう。 |
| × NG | カルビ ホルモン(小腸) 豚トロ | 約35〜50g (危険水域) | 「白い脂」の塊です。 カルビの白い部分は全て飽和脂肪酸です。 プルプルのホルモン(シマチョウなど)もほぼ100%脂質なので、脂質異常症の方は避けるのが無難です。 |
※脂質量は文部科学省「食品成分データベース」を基に、一般的な焼肉部位の目安として記載。
数値を悪化させない「食べ方の技術」4選
部位選びができたら、次は「食べ方」でリスクを最小限に抑えましょう。
少しの工夫で、体内への脂質の吸収率は変わります。
① タレではなく「塩・レモン・わさび」で
焼肉の甘辛いタレには、多量の糖分と塩分が含まれています。
糖質は中性脂肪の原料になり、塩分は高血圧(動脈硬化の加速因子)を招きます。
肉の旨味をダイレクトに味わえる塩、レモン、わさび、おろしポン酢を活用しましょう。
② 「よく焼き」で脂を落とす
網焼きの最大のメリットは、加熱によって脂を物理的に落とせることです。
レアではなくしっかり焼く(ウェルダン寄り)ことで、網の下へ脂を滴らせ、摂取カロリーと飽和脂肪酸をカットしてください。
③ 「サンチュ泥棒」になる
食物繊維には、腸内で余分なコレステロールを吸着し、便として排出する働きがあります。
「肉1枚につき、サンチュ1枚」が鉄則です。肉を食べる前に、ナムル、キムチ、サラダ、わかめスープでお腹を満たしておく「ベジファースト」も有効です。
④ シメの炭水化物は控えめに
ビビンバや冷麺は美味しいですが、糖質と脂質のセットになりがちです。
ご飯を食べるなら「小ライス」にし、肉と一緒に食べることで血糖値の急上昇を抑えましょう。
アルコールを飲む場合は、糖質の多いビールや日本酒よりも、ハイボールやウーロンハイがおすすめです。
もし食べ過ぎたら…翌日は「血液リセット」の日
「気をつけていたけれど、つい食べ過ぎてしまった……」
そんな時も、自己嫌悪に陥る必要はありません。大切なのは、翌日からの48時間で調整することです。
焼肉で摂取した過剰な脂質が完全に体脂肪として定着したり、血液データに反映されたりするまでにはタイムラグがあります。
翌日〜2日間は、以下のような食事で「血液のクレンジング」を行いましょう。
- 主食:玄米や雑穀米(食物繊維で排出促進)
- 主菜:青魚(EPA/DHAで血液サラサラ)や大豆製品
- 調理法:蒸す、煮る(油を使わない)
自分で毎食「低脂質メニュー」を作るのが難しい場合は、管理栄養士が監修した制限食(宅配弁当)を利用するのも賢い手です。
「昨日は焼肉だったから、今日はこのお弁当でリセット」と決めておけば、精神的にも楽に数値を管理できますよ。
以下の記事で、脂質異常症の方でも安心して食べられる「低脂質で美味しい宅配食」をランキング形式で紹介しています。
外食を楽しむための「保険」として、ぜひストックを検討してみてください。

まとめ:賢い選択で、焼肉は健康食になる
脂質異常症だからといって、人生の楽しみである外食をすべて諦める必要はありません。
正しい知識があれば、焼肉はタンパク質とL-カルニチンを補給する健康的な食事になります。
- 敵は「白い脂」。カルビを避けて「赤身・ロース」を選ぶ。
- 網焼きで「よく焼き」にし、物理的に脂を落とす。
- タレではなく「塩・レモン」で、サンチュを大量に巻く。
- 食べ過ぎた翌日は「低脂質食」で数値をリセットする。
血管を守るのは、あなたの毎日の選択です。
「禁止」するのではなく「コントロール」する意識で、美味しく健康的な焼肉を楽しんでください。

