HbA1cが下がらないのはなぜ?看護師が教える「努力を無駄にしない」3つの食事戦略

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「毎日野菜ばかり食べて、ご飯も半分に減らしている。それなのに、どうして検査数値が良くならないんだろう……」

診察室で医師からHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値を見せられ、言葉を失って帰宅する。そんな経験はありませんか?

真面目な方ほど、「私の努力が足りないからだ」「もっと我慢しなきゃ」と自分を追い込んでしまいがちです。
しかし、現役のクリニック事務長として多くの患者様を見てきた私から言わせてください。

あなたが悪いのではありません。「戦い方」が少しズレているだけなのです。

この記事の結論
糖尿病治療の鉄則は、「空腹を我慢すること」ではなく「血糖値の急上昇(スパイク)を防ぐこと」です。
正しい戦略を知れば、お腹いっぱい食べてもHbA1cは下がります。

この記事では、頑張るあなたが見落としがちな「食事療法の落とし穴」と、薬だけに頼らず数値を改善するための具体的な戦略を、医学的な根拠に基づいて解説します。

目次

HbA1cが下がらない最大の敵「血糖値スパイク」

そもそも、HbA1cとは何でしょうか。
これは過去1〜2ヶ月の血糖値の「平均点」です。

空腹時の採血で血糖値が正常範囲内であっても、HbA1cが高い人がいます。
これは、食後にだけ血糖値が急激に跳ね上がる「血糖値スパイク(食後高血糖)」を起こしている典型的なパターンです。

「極端な空腹」がスパイクの引き金に

「数値を下げたいから、朝と昼はサラダだけにしよう」
一見、素晴らしい心がけに見えますが、実はこれが一番危険です。

極度の空腹状態で夕食を迎えると、脳は生命維持のために「飢餓状態だ!」と判断します。
すると体は、入ってきた栄養を一気に吸収しようと待ち構えるモードに入ります。

  • 飢餓状態の腸が、糖分を爆発的なスピードで吸収する
  • すい臓がパニックを起こし、インスリンを過剰に分泌する
  • 余ったインスリンが糖を「内臓脂肪」として蓄えさせる

結果として、総摂取カロリーは減っているのに、血管へのダメージは倍増し、さらに太りやすくなるという悪循環に陥ります。

「隠れ間食」というマイルドドラッグ

「食事を減らした分、小腹が空いたからお煎餅を1枚だけ……」

この「1枚」が、すい臓にとっては重労働です。
糖質は脳にとって「マイルドドラッグ」のような依存性があります。一度口にすると、血糖値の乱高下により、さらに強い空腹感が襲ってくるのです。

意志が弱いのではありません。
「我慢するだけの食事制限」という方法自体が、脳の仕組みに逆らっているのです。

放置すると怖い「しめじ」と「えのき」

少し厳しいお話をさせてください。
私が以前勤務していた病院の救急外来や病棟では、糖尿病を放置した結果、取り返しのつかない状態になった患者様を数多く見てきました。

糖尿病は「サイレントキラー」と呼ばれ、自覚症状がないまま血管をボロボロにします。
医療現場で使われる合併症の覚え方「し・め・じ」はご存知でしょうか。

糖尿病の3大合併症(しめじ)
し:神経障害(しんけいしょうがい) 手足のしびれから始まり、進行すると感覚がなくなります。
画鋲を踏んでも気づかず、そこから細菌感染して足が腐る(壊死する)ケースも珍しくありません。
め:網膜症(もうまくしょう) 眼底出血による視力低下。日本における中途失明原因の上位です。「ある日突然、視界が真っ赤になった」という患者様もいます。
じ:腎症(じんしょう) 腎臓のフィルター機能が壊れます。最終的には週3回、4〜5時間の人工透析が必要となり、生活が一変します。

さらに最近では、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを示す「え・の・き」(壊疽・脳卒中・虚血性心疾患)も重要視されています。

厚生労働省のデータでも、糖尿病患者の健康寿命は平均より短い傾向にあることが示唆されています。
※出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病の合併症」

これは脅しではありません。HbA1cが高い状態を数年放置すれば、誰にでも起こりうる現実なのです。

看護師も実践!数値を改善する「3つの食事戦略」

では、どうすればHbA1cを下げられるのでしょうか。
「一生、美味しいものを諦めろ」ということではありません。

医学的に理にかなった「すい臓を休ませる食べ方」を実践すれば良いのです。

戦略1:ベジファーストで「防波堤」を作る

これは基本ですが、最も効果的です。
ご飯(糖質)を食べる前に、必ず野菜・海藻・きのこ(食物繊維)を5分以上かけて食べてください。

食物繊維が腸の壁に「防波堤」を作り、後から入ってくる糖の吸収スピードを緩やかにします。
これにより、食後の急激な血糖上昇(スパイク)を物理的に抑えることができます。

戦略2:タンパク質・脂質は「敵」ではない

「カロリーを減らさなきゃ」と、お肉や魚まで極端に避けていませんか?
実は、タンパク質や良質な脂質は、血糖値を直接的には上げません。

むしろ、おかずをしっかり食べて満腹感を得ることで、白米やパンの「ドカ食い」を防ぐことができます。
「主食(糖質)は最後に、少しだけ」。この順番を守れば、おかずはしっかり食べても大丈夫です。

戦略3:プロの「計算された食事」に頼る

とはいえ、毎食栄養計算をして、野菜を山盛り用意するのは現実的に困難です。
仕事や家事で忙しい中、自分だけで完璧な管理を行おうとすると、ストレスで続きません。

そこで、私が患者様によく提案するのが、「1日1食だけ、医療用レベルの宅配食に置き換える」という方法です。

最近は本当に素晴らしい宅配食が各社から提供されています。
以下の記事で厳選された宅配食をランキング5位にまとめたので、本気で数値を改善したい・合併症を引き起こす前になんとかしたいという方は参考にしてみてください。

糖尿病の食事に関するよくある質問

カロリー制限と糖質制限、HbA1cを下げるにはどちらが重要ですか?

どちらも大切ですが、血糖値スパイクを防ぐためには「糖質」の管理がより重要です。
カロリーが低くても、うどんやおにぎりだけで食事を済ませると、糖質が急激に吸収されて血糖値が跳ね上がります。カロリーオーバーにならない範囲で、タンパク質や脂質もしっかり摂り、炭水化物(糖質)の比率をコントロールするのが近道です。

忙しい朝は、サラダの代わりに「野菜ジュース」を飲んでもいいですか?

血糖値管理の観点からは、あまりおすすめできません。
市販の野菜ジュースは飲みやすくするために食物繊維が取り除かれていたり、果汁(果糖)が加えられていたりすることがあります。液体は固形物よりも吸収スピードが速く、逆に血糖値を急上昇させるリスクがあるため、可能な限り「噛んで食べる野菜」を選びましょう。

果物は体に良いと聞きますが、好きなだけ食べても大丈夫ですか?

残念ながら、食べ過ぎは禁物です。
果物に含まれる「果糖」も糖質の一種であり、中性脂肪に変わりやすい性質を持っています。バナナや柿など糖度が高いものは避け、リンゴやキウイ、ベリー類などを「1日80kcal(握り拳1つ分程度)」を目安にしましょう。食べるなら活動量の多い朝食時がおすすめです。

運動は「食前」と「食後」、どちらにするのが効果的ですか?

血糖値を下げる目的なら、断然「食後」がおすすめです。
食後30分〜1時間頃から血糖値がピークに向かって上がり始めます。このタイミングでウォーキングや軽いスクワットを行うと、血液中の糖が筋肉のエネルギーとして消費され、食後高血糖(スパイク)を強力に抑えることができます。

晩酌が楽しみなのですが、お酒は一滴も飲んではいけませんか?

必ずしも禁酒が必要とは限りませんが、種類と量には注意が必要です。
ビールや日本酒などの醸造酒は糖質が高いため避け、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒(糖質ゼロ)を選ぶのが無難です。ただし、アルコールは食欲を増進させ、おつまみの食べ過ぎを招きやすいため、必ず主治医に相談の上、休肝日を設けて楽しみましょう。

仕事柄、外食やコンビニが多いのですが、選び方のコツはありますか?

「単品」ではなく「定食スタイル」を選びましょう。
丼ものや麺類だけの食事は、糖質の塊です。コンビニなら「おにぎり+サラダチキン+海藻サラダ」、外食なら「焼き魚定食(ご飯少なめ)」のように、主食・主菜・副菜が揃ったものを選んでください。そして必ず「野菜から先に食べる」を徹底しましょう。

まとめ:食事は「修行」ではありません

食事は、一生続くものです。
だからこそ、苦しい「修行」にしてはいけません。続きもしない無理な我慢は、リバウンドという最悪の結果を招くだけです。

まずは「食べる順番」を変えること。
そして、自分ひとりで頑張りすぎず、便利なサービスを賢く利用すること。

最近の「制限食(宅配弁当)」は、昔の病院食とは全く違います。
管理栄養士が監修し、以下のような工夫が凝らされています。

  • こんにゃくやキノコなど、食物繊維豊富な食材での「かさまし」技術
  • 出汁(だし)や香辛料を使い、塩分控えめでも濃厚な味付け
  • 噛みごたえを残して満腹中枢を刺激する調理法

これらを駆使することで、「しっかり食べたのに300kcal以下・糖質15g以下」という、家庭では再現不可能な食事が実現します。

実際に、夕食をこれに置き換えただけで、「空腹のストレスなくHbA1cが1%以上下がった」という方は数多くいらっしゃいます。
満腹になれば間食は不要になり、好循環が生まれるからです。

>> プロおすすめの制限食ランキングを見る

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kawauchi
看護師/訪問診療クリニック事務長/計画相談員
私は、看護師として重症心身障害病棟・救命救急HCUに従事した後、有料老人ホームの管理者・看護部長・福祉事業部統括として、入居者の生活と医療連携の現場に携わってきました。

現在は、訪問診療クリニックの事務長として在宅医療の運営に関わると同時に、計画相談員・医療福祉コンサルタントとして、東海エリアを中心に施設紹介・身元保証・医療介護連携の支援を行っています。

病院・施設・在宅という立場の異なる現場をすべて経験してきたからこそわかる、制度論だけではない「現場のリアル」や「家族が直面する苦悩」を踏まえた発信を大切にしています。

このブログでは、現場経験に基づく実践的な情報を軸に、後悔しない選択のための情報を発信しています。
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