「痛っ…!!」
夜中、ふくらはぎを襲う突然の激痛。あまりの痛さに声も出ず、身動きが取れなくなるあの恐怖。
妊娠中期から後期にかけて、多くの妊婦さんを悩ませる「こむら返り(有痛性筋痙攣)」。
この記事では、今夜から実践できる「即効性のある治し方」と、翌日まで痛みが残る場合のケア、そして「そもそもつらない体にするための医学的根拠に基づいた予防策」を解説します。
✅この記事でわかること
- 激痛が走った瞬間の正しい対処法(動画解説イメージ付き)
- 妊娠中になぜ足がつるのか?3つの医学的メカニズム
- 食事だけでは限界?効率的なミネラル摂取の正解
- 見逃してはいけない「血栓症」の危険サイン
なぜ妊娠中は足がつる?「こむら返り」の3大原因
「運動不足かな?」と自分を責める必要はありません。
妊娠中のこむら返りは、赤ちゃんを育てるための母体の変化によって引き起こされる生理的な現象です。
主に以下の3つの原因が複合的に絡み合っています。
1. 電解質(ミネラル)バランスの乱れ
これが最大の要因です。筋肉の収縮や弛緩を調整しているのは、カルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)などの電解質(ミネラル)です。
妊娠中は、赤ちゃんの骨格形成のために、母体の血液中のカルシウムが優先的に胎盤を通じて送られます。
特に胎児の成長スピードが上がる妊娠中期以降、母体は慢性的な「ミネラル枯渇状態」に陥りやすくなります。
妊娠中は、胎児の骨や歯の形成のために多量のカルシウムが必要となり、母体の血中カルシウム濃度が低下しやすくなります。
この電解質バランスの崩れが、神経や筋肉の興奮性を高め、痙攣(こむら返り)を引き起こす要因となります。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「妊娠中の食事」等の一般的医学知見より
2. 子宮増大による骨盤内うっ血
子宮が大きくなると、お腹の奥にある太い血管(下大静脈)や骨盤内の神経を物理的に圧迫します。
これにより下半身の血液が心臓に戻りにくくなり(還流障害)、ふくらはぎに疲労物質が滞留することで、筋肉が異常収縮を起こしやすくなります。
3. 重心変化と「腓腹筋」への過負荷
お腹が大きくなると重心が前方に移動します。
転倒しないよう無意識にバランスを取るため、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)には常に過度な負担がかかっています。
日中の筋肉疲労が限界に達し、就寝中のリラックスした瞬間に痙攣として現れるのです。
看護師足がつる悩みと同時に、「足のむくみ」も気になっていませんか?
同じ血流不足が原因でも、むくみには別のケアが必要です。
象のような足になる前に、看護師が教える解消法をチェックしておきましょう。
妊娠中、足がパンパンで象みたい…看護師が教える「危険なむくみ」の見分け方と減塩の裏技
痛い!その瞬間に試して。看護師直伝の「即効レスキュー」
「あ、つる!」と思った時や、激痛で目が覚めた時。パニックになって筋肉を叩いたり揉んだりするのは逆効果です。
以下の手順を冷静に行ってください。
慌てて立ち上がると転倒の危険があります。まずはベッドの上で安全な体勢を確保してください。
手で足の指先(つま先)を持ち、ゆっくりと自分の顔の方へ反らせます。
かかとを突き出すようなイメージで、ふくらはぎとアキレス腱が伸びるのを意識してください。
痙攣がおさまるまで、そのままの姿勢を数十秒保ちます。呼吸を止めず、ゆっくり吐くようにしましょう。
⚠️注意:急激に伸ばさない!
勢いよく反動をつけて伸ばすと、筋肉繊維を痛めてしまい、翌日まで痛みが残る「肉離れ」のような状態になることがあります。あくまで「じわーっと」伸ばしてください。
お腹が大きくて手が届かない時は?
お腹がつかえて足先に手が届かない場合は、以下の方法を試してください。
- タオルを使う:足の裏にフェイスタオルを引っ掛け、手綱のように手前に引っ張る。
- 壁を使う:壁に足の裏を押し当て、かかとを突き出すように力を入れる。
- パートナーに頼む:膝が曲がらないよう押さえてもらい、足の裏(特につま先側)をゆっくり押してもらう。
「もうつりたくない」ママへ。寝る前の予防ルーティン
毎晩の恐怖から解放されるために、寝る前の5分間でできる予防策を取り入れましょう。
- レッグウォーマーで保温:
-
冷えは血管を収縮させます。夏場でもエアコンで冷えるため、足首・ふくらはぎは温めましょう。
- 寝る前にコップ1杯の水分補給:
-
就寝中の発汗による脱水を防ぎます。水よりも、ミネラルを含む麦茶がおすすめです。
- シムスの体位で寝る:
-
体の「左側」を下にして横向きで寝ると、下大静脈の圧迫が緩和され、血流が良くなります。
抱き枕を足に挟むとより効果的です。
牛乳だけじゃダメ?栄養不足を根本解決する方法
ストレッチなどの対症療法も大切ですが、繰り返す場合は根本的な原因である「ミネラル不足」を解消する必要があります。
妊婦に必要な量は食事だけで摂れる?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、妊婦には非妊娠時よりも多くの栄養摂取が推奨されています。
しかし、これを毎日の食事だけで完璧に満たすのは、つわりや体調変化のある妊婦さんにとって非常にハードルが高いのが現実です。
| カルシウム源 | 課題点 |
|---|---|
| 牛乳・乳製品 | 吸収率は良いが、脂質やカロリーが高め。飲みすぎるとお腹が緩くなる体質の人も。 |
| 小魚・煮干し | カルシウム豊富だが、毎日大量に食べるのは塩分過多の懸念あり。 |
| 海藻・ナッツ | マグネシウムは摂れるが、消化に時間がかかる場合がある。 |
重要なのは「マグネシウムとの黄金比」
さらに重要なのがバランスです。
カルシウム(筋肉を縮める働き)だけを大量に摂っても、マグネシウム(筋肉を緩める働き)が不足していると、筋肉の調整機能はうまく働きません。
理想は「カルシウム2:マグネシウム1」のバランスと言われています。
「毎日小魚とナッツを計量して食べる」のが難しい場合は、サプリメントに頼るのも賢い選択です。
もし今、ビタミンだけの葉酸サプリを飲んでいるなら、「カルシウム」や「マグネシウム」もしっかり配合されたオールインワンタイプに切り替えることを検討してみてください。
「食事だけでマグネシウムとカルシウムのバランスを整える」のは、栄養士でも難しいのが現実です。
つらいこむら返りを防ぐには、必要なミネラルが黄金比で配合された葉酸サプリに頼るのが近道です。
【看護師厳選】葉酸サプリおすすめ3選!成分・コスパで選ぶならこれ一択
【重要】危険な「足のつり」を見分けるサイン
最後に、看護師としてどうしてもお伝えしたいことがあります。
ただの「こむら返り」だと思っていたら、実は治療が必要な病気、「深部静脈血栓症(DVT)」が隠れていることがあります。
妊娠中は出血に備えて血液が固まりやすくなっているため、血栓(血の塊)ができやすい状態です。
以下の症状がある場合は、ストレッチやマッサージをせず、直ちにかかりつけ医へ連絡してください。
【緊急】受診が必要なサイン
- 片足だけが急激にパンパンに腫れている
- ふくらはぎが赤黒く変色している
- 触ると明らかに熱を持っている
- 安静にしていてもズキズキと痛み続ける
- 歩くのが困難なほどの激痛がある
妊娠中のこむら返りに関するよくある質問
- 妊娠中に市販の湿布を貼っても大丈夫ですか?
-
自己判断での使用は避けてください。湿布の種類によっては、胎児の動脈管に影響を与える成分(インドメタシン等のNSAIDs)が含まれている場合があります。必ず産婦人科で処方されたものか、薬剤師に「妊娠中でも使えるもの」を確認して購入しましょう。
- 足がつった翌日もふくらはぎが痛いです。どうすればいいですか?
-
筋肉の繊維が傷ついている可能性があります。無理にストレッチをすると悪化するため、蒸しタオルやお風呂で優しく温めて血行を良くしましょう。歩けないほどの激痛や腫れがある場合は、整形外科や産婦人科を受診してください。
- 漢方薬の「芍薬甘草湯」は妊娠中も飲めますか?
-
こむら返りの特効薬として有名ですが、妊娠中の服用には慎重な判断が必要です。「甘草」の成分が子宮収縮などに影響する可能性もゼロではないため、自己判断で市販薬を飲まず、必ずかかりつけ医に処方してもらった用量を守って服用してください。
- つった瞬間にマッサージをしてもいいですか?
-
つっている最中(筋肉が強く収縮している時)に強く揉むのは逆効果です。筋肉を傷つける恐れがあります。まずはストレッチで痙攣をおさめ、痛みが引いてから優しくさするようにマッサージするのが正解です。
- バナナを食べると予防になると聞きましたが本当ですか?
-
はい、有効です。バナナには筋肉の調整に必要な「カリウム」が豊富に含まれています。ただし、妊娠中は体重管理も重要ですので、1日1本程度を目安にし、カロリーの摂りすぎには注意しましょう。
- 出産したらこの症状は治りますか?
-
基本的には産後すぐに解消します。赤ちゃんへの栄養移行や、子宮による血管圧迫という原因がなくなるためです。もし産後も頻繁につる場合や、足のむくみが取れない場合は、別の原因が考えられるため医師に相談してください。
「栄養バランスには気をつけたいけど、毎日の食事作りがしんどい…」
そんな時は、無添加で栄養計算された「妊婦さん向け宅配弁当」をストックしておくと安心です。
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まとめ:栄養とケアで、朝までぐっすり眠ろう
妊娠中のこむら返りは、お腹の赤ちゃんがすくすく育ち、ママの体も頑張っている証拠でもありますが、痛みは我慢しなくて大丈夫です。
- つったら慌てず「つま先を自分の方へ」ゆっくり引く。
- 寝る前の水分補給と、レッグウォーマーでの保温を習慣にする。
- 食事で不足する分は、ミネラル豊富なサプリで効率よく補う。
- 異様な腫れや赤みがある場合は、血栓症を疑いすぐに受診する。
適切なケアと栄養補給で、痛みに邪魔されず朝までぐっすり眠れる日を取り戻しましょう。
残りのマタニティライフが、穏やかで笑顔あふれる時間になりますように。














