「会社の付き合いで、どうしても居酒屋に行かなければならない」
「無性にラーメンが食べたいけど、あの激痛が再発するのが怖い……」
痛風発作の、あの足を切り落としたくなるような激痛を知っている方にとって、外食はまさに「地雷原」を歩くような緊張感があるかもしれません。
しかし、救急や在宅医療の現場で多くの患者さんを見てきた看護師として、はっきりお伝えします。
重要なのは「プリン体を一ミリも入れないこと(制限)」ではなく、「入ってきたプリン体をどう処理し、尿酸をいかに体の外へ出すか(排出)」です。
実は、食事から摂取されるプリン体は体内の尿酸全体の約2〜3割に過ぎません(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット)。
残りの7〜8割は、日々の新陳代謝やエネルギー消費によって体内で作られているのです。
この記事では、尿酸の排出メカニズムを考慮した、「尿酸値を上げない外食の鉄則」を看護師視点で解説します。
鉄則① ビールは「種類」より「量」と「水」で制する
「プリン体0の発泡酒なら、いくら飲んでも大丈夫」と思っていませんか?
残念ながら、それは大きな誤解です。
痛風の大敵は、プリン体だけでなく「アルコールそのもの」にも潜んでいます。
アルコールの二重の罠
- 尿酸を作らせる:アルコールが肝臓で分解される際、ATP(エネルギー源)が消費され、その副産物として尿酸が大量に作られます。
- 尿酸を出させない:アルコール分解で生じる「乳酸」が腎臓での尿酸排泄をブロックし、体内に溜め込んでしまいます。
賢いお酒の選び方と「魔法の水」
それでもお酒を楽しみたい時は、以下の基準で選びましょう。ただし、種類に関わらず「飲みすぎ」はNGです。
| 判定 | 種類 | 理由・対策 |
|---|---|---|
| 推奨 | 焼酎 ウイスキー ワイン | 蒸留酒やワインはプリン体が極めて少ないです。 特にワインは尿酸値を上げにくい傾向があります。 ※甘い割り材(ジュース等)は糖質過多になるので注意。 |
| 注意 | 日本酒 ビール(プリン体0) | 日本酒は1合程度まで。 プリン体0ビールもアルコール作用で尿酸値は上がるため、飲み放題は危険です。 |
| NG | 通常のビール 紹興酒 | 通常のビールはプリン体の王様です。 「とりあえず生」の最初の1杯だけにして、2杯目からはハイボールへ切り替えましょう。 |
そして、最も重要なのがチェイサー(水)です。
アルコールの利尿作用で脱水になると、血液中の尿酸濃度が濃縮されてしまいます。
看護師の助言:
「お酒1杯につき、同量の水を飲む」
これを徹底するだけで、翌日の尿酸値と体調が劇的に変わります。
トイレの回数が増えることは、尿酸を排出している証拠なので喜んで行きましょう。
外食時のお酒対策とあわせて、薬に頼らず尿酸値を下げる「5つの生活習慣」も押さえておくと、より安心して食事を楽しめます。

鉄則② ラーメンのスープは「飲む」ではなく「残す」勇気を
飲んだ後の締めのラーメン。
最高ですが、痛風持ちにとっては「ロシアンルーレット」に近い行為です。
特に危険なのは麺ではなく、スープです。
豚骨、鶏ガラ、魚介、干し椎茸……。これらから長時間煮出されたスープは、食材の細胞から溶け出したプリン体の超濃縮エキスです。
ラーメンを食べる時の3つの掟
- スープは「一口も飲まない」覚悟で
「完飲」は「発作予約」です。レンゲは使わず、麺だけをすくい上げて食べましょう。
スープを残すことは、フードロスではなく「健康防衛」です。
- 野菜トッピングを追加する
もやし、ネギ、キャベツなどの野菜をトッピングしましょう。
野菜に含まれるカリウムや水分が、塩分と尿酸の排出を助けます。
- お酢を入れる
味変でお酢を入れるのもおすすめです。尿をアルカリ性に傾ける効果が期待でき、さっぱりと食べられます。
鉄則③ おつまみ選びで「尿をアルカリ化」する
尿酸は、尿が酸性(酸性尿)に傾くと溶けにくくなり、結晶化して石(結石)になりやすくなります。
逆に、尿をアルカリ性に傾ければ、尿酸は溶けてスムーズに排出されます。
居酒屋では、尿をアルカリ化してくれる「野菜・海藻・大豆製品」を、お酒よりも先に(ベジファーストで)注文しましょう。
- わかめサラダ(海藻は最強のアルカリ性食品)
- 枝豆、冷奴(大豆製品はプリン体が少なく良質なたんぱく源)
- ほうれん草のお浸し
- 野菜炒め・お漬物
⚠️ 絶対に避けるべき「痛風セット」
以下のメニューはプリン体の塊です。これらをビールで流し込むのは、火に油を注ぐ行為です。
白子ポン酢 / あん肝 / レバー串 / 干物(水分が抜けてプリン体が濃縮) / カツオやイワシの刺身
鉄則④ 翌日は「尿酸排出・宅配弁当」でリセットする
外食でハメを外した翌日。体は酸性に傾き、尿酸値が上がりやすい状態になっています。
このタイミングで重要なのが、「リカバリー食」です。
理想は、野菜中心で低カロリー、かつプリン体の少ない食事を摂り、尿酸の排出を促すこと。
しかし、二日酔いや疲れが残る中で、緻密な計算が必要なバランス食を自炊するのは至難の業です。
そこで私が推奨しているのが、尿酸値や塩分が気になる方向けに調整された「制限食の宅配弁当」を冷凍庫にストックしておくことです。
- 管理栄養士監修でプリン体・塩分をコントロール
- レンジで温めるだけで、野菜たっぷりの食事が完成
- 「昨日は遊んだから、今日はこれで体を労る」というメリハリ
「制限食」といっても、最近のものは出汁が効いていて驚くほど美味しいです。
以下の記事で、痛風や数値が気になる方に特におすすめの「美味しくてヘルシーな宅配食」をランキング形式で紹介しています。いざという時の「お守り」として持っておくと安心です。

まとめ:我慢より「排出」を意識しよう
痛風は「美味しいものを食べてはいけない病気」ではありません。
「出し方」と「リカバリー方法」さえ知っていれば、外食も怖くありません。
- ビールは最初の1杯。2杯目からは焼酎・ワインへ。
- 「お酒と同量の水」を必ず飲む。
- ラーメンのスープは毒だと思って残す。
- 海藻・野菜を食べて尿をアルカリ化する。
- 翌日は「専用の宅配弁当」で完璧にリセットする。
この5つの鉄則を守り、ストレスなく尿酸値と付き合っていきましょう。
あなたの健康的な食生活を応援しています。

