「医師から『麺類は控えて』と言われているけれど、どうしてもラーメンが食べたい」
「スープさえ残せば、血糖値は上がらないんじゃないの?」
その葛藤、痛いほど分かります。私も看護師として長年、生活習慣病の患者さんと接してきましたが、食事制限の中で最も我慢が難しく、隠れて食べてしまいがちなのが「ラーメン」です。
ただし、何も考えずに食べれば血糖値は爆上がりします。
重要なのは、「注文の仕方」と「食後の行動」を戦略的に変え、血糖値へのダメージを最小限に抑えることです。
この記事では、現役の医療従事者が実践している、HbA1cを守りながらラーメンを楽しむための「プロの防衛術」を伝授します。
なぜラーメンは「糖尿病の天敵」なのか?
対策を知る前に、敵を知りましょう。
ラーメンが糖尿病コントロールにおいて「最難関」とされる理由は、以下の3重苦が揃っているからです。
- 糖質(麺):血糖値を急上昇させる。
- 脂質(背脂・油):高血糖をダラダラと長引かせる。
- 塩分(スープ):高血圧や腎臓への負担を増やす。
「脂質」がインスリンの邪魔をする
「カロリー」ばかり気にしがちですが、実はもっと怖いのが「脂質」です。
豚骨や背脂たっぷりのラーメンは、大量の脂質を含んでいます。
糖質と一緒に脂質を摂ると、消化吸収が遅くなり、食後数時間にわたって血糖値が下がりにくくなる(持続性高血糖)現象が起きます。
「食後2〜3時間経ったのに、まだ血糖値が高い」という経験はありませんか?
これは脂質がインスリンの効き目を悪くしている(インスリン抵抗性を高めている)証拠なのです。
スープ1杯で「1日の塩分」オーバー
糖尿病の方は、合併症(高血圧・糖尿病性腎症)予防のために塩分制限が必要です。
厚生労働省の推奨目標量は以下の通りです。
- 男性:7.5g未満/日
- 女性:6.5g未満/日
- 高血圧・腎臓病がある場合:6.0g未満/日
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
対して、ラーメン1杯の塩分量は平均して5g〜8g。
スープを飲み干せば、たった1食で1日の許容量を簡単に超えてしまいます。
【実践編】血糖値を守る「鉄壁の食べ方」5ステップ
では、具体的にどうすれば良いのでしょうか。
お店に入ってから出るまでの行動を、以下の5ステップで徹底してください。
これを守れるなら、たまのラーメンは許容範囲です。
メニューを見る前にオーダーを決めます。
「麺少なめ(または半分)」と「野菜トッピング(野菜マシ)」を必ず注文してください。
麺(糖質)を減らし、食物繊維(野菜)を増やすことで、物理的に血糖値の上昇幅を抑えます。
「健康を買っている」と考えましょう。
どんぶりが届いても、すぐに麺をすすってはいけません。
まずはトッピングの野菜、チャーシュー(タンパク質)、味玉を先に食べきります(ベジファースト)。
これらが胃の中でクッションとなり、後から入ってくる糖質の吸収スピードを緩やかにしてくれます。
麺を一口食べるごとにレンゲでスープを飲む習慣、ありませんか?
スープ表面に浮いているラードや背脂は、まさに「血糖値を乱すオイル」です。
レンゲは使わず、麺に絡んできたスープだけで味わってください。
これだけで塩分・脂質を大幅にカットできます。
具材を食べ終わってから、ようやく麺へ。
この時点で少しお腹が満たされているため、早食い防止にもなり、満腹中枢が働きやすくなります。
これが最も重要です。
食べてすぐ車に乗ったり、家に帰ってゴロゴロするのは自殺行為です。
食後の15分〜30分後に血糖値は上昇し始めます。このタイミングでウォーキングをすると、筋肉が血中のブドウ糖をエネルギーとして消費してくれます。
遠回りして帰る、ウィンドウショッピングをするなど、とにかく体を動かしてください。
【種類別】食べていいラーメン・危険なラーメン判定表
「どのラーメンを選ぶか」で、リスクは天と地ほど変わります。お店選びの参考にしてください。
| 種類 | 判定 | 理由・対策 |
|---|---|---|
| タンメン ちゃんぽん | 推奨 | 野菜が豊富で、食物繊維を自然に摂れるのが最大のメリット。 ただし麺量が多い傾向にあるので「麺少なめ」は必須です。 |
| あっさり醤油 塩ラーメン | 注意 | 脂質は少なめですが、具材がネギとメンマ程度しかないことが多く、麺の糖質がダイレクトに吸収されます。 トッピングでワカメ、ほうれん草、煮卵を追加しましょう。 |
| 二郎系 家系(豚骨醤油) | 危険 | 「糖質×脂質」の塊です。 脂質過多により、翌朝まで高血糖が続くリスクがあります。 どうしても食べるなら「脂少なめ・野菜マシマシ・麺半分」で。 |
| つけ麺 | NG | 最大の落とし穴です。 つけ麺は通常のラーメンの1.5倍〜2倍(300g〜400g)の麺量が標準です。 スープを残しても糖質摂取量が許容範囲を大きく超えるため、おすすめしません。 |
食べてしまった後の「緊急リカバリー術」
どんなに対策をしても、ラーメンを食べれば糖質・塩分オーバーは避けられません。
大切なのは、「食べたこと」を後悔するのではなく、その後の行動で帳尻を合わせることです。
翌日は「カリウム」と「低糖質」を意識する
塩分を排泄するために、カリウムを含む食品(野菜、海藻、きのこ)を積極的に摂りましょう。
そして、翌日の食事は徹底的に糖質を絞ります。
しかし、翌日に「ご飯抜き・サラダだけ」のような極端な食事をすると、満足感がなくストレスが溜まり、リバウンドのドカ食いにつながります。
管理栄養士が監修したお弁当なら、糖質を抑えつつも、肉や魚のメイン料理でしっかり満足感を得られます。
「昨日はラーメンを楽しんだから、今日はプロの管理食で体を労ろう」。このメリハリが、長く治療を続けるコツです。
以下の記事では、糖尿病の患者さんにも選ばれている「味もボリュームも妥協しない低糖質宅配食」を厳選して紹介しています。
「食事の我慢」を減らしたい方は、ぜひチェックしてみてください。

まとめ:知識があればラーメンは怖くない
糖尿病だからといって、ラーメンを一生食べてはいけないわけではありません。
重要なのは、自分の体と相談しながら「賢く食べる技術」を身につけることです。
- 「麺少なめ・野菜マシ」で注文する。
- 野菜・具材から先に食べる(ベジファースト)。
- スープは飲まず、麺に絡む分だけ楽しむ。
- 食後すぐに15分以上歩く。
- 翌日は「低糖質弁当」で数値をリセットする。
このルールを守り、ストレスを溜めすぎないように食事療法を続けていきましょう。

