脂質異常症は「隠れ脂質」が原因?看護師が教える我慢しない食事術

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「揚げ物は控えてください。お肉の脂身も残してくださいね」

健康診断の結果説明で医師や保健師からそう言われて、「大好きな食事の楽しみを奪われた…」と肩を落としていませんか?
あるいは、「そんなに脂っこいものは食べていないつもりなのに、なぜ数値が下がらないの?」と不思議に思っているかもしれません。

実は、私が看護師として多くの患者さんの生活指導をしてきた中で、最も多い誤解がこれです。

目に見える「揚げ物」だけを避けても、数値が改善しないケースは多々あります。

🩺看護師からのアドバイス

敵は「唐揚げ」や「天ぷら」だけではありません。
普段何気なく食べているカレーやドレッシング、お菓子に含まれる「見えない油(隠れ脂質)」こそが、あなたの血管を静かに、しかし確実にドロドロにしている真犯人である可能性が高いのです。

この記事では、元・救急看護師であり、現在は在宅医療の現場で高齢者の食生活を管理している私が、「我慢ばかりせずに血管をキレイに保つ、賢い脂質コントロール術」について解説します。

目次

1. 血管の「ヘドロ」が招く命の危険性

「脂質異常症(高脂血症)」という言葉は聞き慣れているかもしれませんが、体の中で何が起きているか具体的にイメージできていますか?

簡単に言えば、「血液がドロドロの油まみれになっている状態」です。

血液中の余分なコレステロールは、血管の壁にペタペタと張り付き、プラーク(コブ)を作ります。これが長年蓄積すると、血管がゴムホースのように柔軟性を失い、硬く狭くなります(動脈硬化)。

「沈黙の殺人者」と呼ばれる理由

厚生労働省の「患者調査」によると、脂質異常症の患者数は年々増加傾向にありますが、恐ろしいのはその「静けさ」です。

自覚症状ゼロの恐怖
「痛くも痒くもない」のが一番の問題です。
救急の現場にいた頃、私は何度も見てきました。「今まで元気だったのに」という方が、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞で運ばれてくる姿を。症状が出た時には、すでに命に関わる状態なのです。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」

2. 実は油だらけ?「隠れ脂質」の罠

「揚げ物は週に1回にしている」という方でも、数値が下がらない場合、以下の「隠れ脂質」を無意識に摂取している可能性が高いです。

食品名脂質の正体とリスク
カレー・シチュー市販のルーは固形を保つために大量の油脂(脂質30〜40%)が含まれています。「飲む油」に近い状態です。
ドレッシング「野菜だからヘルシー」は大間違い。ノンオイル以外は、成分の半分以上が油であることも珍しくありません。
洋菓子・スナッククッキーやパイ、ポテトチップスに使われるショートニングは、血管へのダメージが大きいトランス脂肪酸を含みます。
バラ肉・ひき肉赤身に見えても、繊維の中に多くの脂を含んでいます。ハンバーグは「脂を食べている」ようなものです。

これらを「食事」として認識せず、あるいは「野菜と一緒だから大丈夫」と無意識に食べている限り、いくらトンカツを我慢しても、体内に入ってくる脂質の総量は減りません。

3. 女性は「閉経後」が運命の分岐点

特に40代・50代の女性には、知っておいていただきたい生理学的な事実があります。

⚠️エストロゲンの守りが消える時
女性ホルモン「エストロゲン」には、実は悪玉コレステロールの上昇を抑える強力な働きがあります。
しかし、更年期を迎えて閉経すると、このエストロゲンの分泌が急激に減少します。

「若い頃と同じ食事をしているのに、急に健康診断の数値が悪化した」
「運動しているのにコレステロールが下がらない」

これらは決して怠慢のせいではなく、体の防波堤がなくなったことによる自然な変化なのです。だからこそ、若い頃以上にシビアな「脂質の質と量」の管理が必要になります。

4. 「油を抜く」のではなく「技術で落とす」

では、これらを全て禁止して、一生「ササミと温野菜」だけの生活を続けますか?
元有料老人ホーム管理者としての経験から申し上げますが、「食の楽しみ」を奪う制限は、ストレスとなり、免疫力を下げ、何より長続きしません。

正解は、我慢することではなく、調理の技術で余分な脂を物理的にカットすることです。

プロが実践する3つの脂質カット術

網焼き・スチーム調理 高温の蒸気や網焼きで、肉の内部にある脂を溶かし落とします。フライパン調理と比べ、脂質を大幅にカットできます。

衣(ころも)の工夫 パン粉を細かくする、あるいは吸油率の低い衣を使うことで、揚げ物特有の「油の吸い込み」を最小限に抑えます。

出汁(だし)の活用 油のコク(脂肪味)に頼らず、カツオや昆布の旨味成分を効かせることで、薄味や低脂質でも脳に満足感を与えます。

これらを家庭のキッチンで毎日行うのは、手間も時間もかかり、非常にハードルが高いのが現実です。
しかし、最近では「管理栄養士が監修した医療・介護用の技術」を家庭で手軽に取り入れる方法もあります。

脂質異常症の食事に関するよくある質問

卵はコレステロールが高いと聞きますが、1日何個まで食べていいですか?

以前は「1日1個まで」と言われていましたが、現在は厚生労働省の基準でも明確な上限値は撤廃されています。食事から摂るコレステロールがそのまま血液中の値になるわけではないからです。

ただし、既に数値が高い方(LDL140mg/dL以上など)は、念のため1日1個程度に留め、卵そのものより「卵料理に使う油やバター」を控えることを意識してみてください。

コレステロールを下げるには、どんな油を使えばいいですか?

バターやラード、肉の脂などの「飽和脂肪酸(常温で固まる油)」を避け、オリーブオイルや青魚に含まれるEPA・DHA、アマニ油などの「不飽和脂肪酸」を積極的に摂ることをおすすめします。

これらは血液をサラサラにする効果が期待できますが、あくまで「油」でありカロリーは高いので、健康に良いからといって大量に使うのは避けましょう。

脂質異常症と言われましたが、お酒は飲んでもいいですか?

適量であれば可能ですが、注意が必要です。アルコール自体は脂質ではありませんが、飲みすぎると肝臓での中性脂肪の合成を促進してしまいます。

また、ビールや日本酒などの糖質が多いお酒や、一緒に食べるおつまみ(唐揚げやポテトなど)に「隠れ脂質」が多いことが問題になりがちです。お酒を飲む際は、枝豆や冷奴、刺身などを選ぶ工夫をしましょう。

甘いものが好きです。脂質が少ない和菓子や果物なら大丈夫ですか?

洋菓子(ケーキやクッキー)よりは脂質が低い和菓子の方がマシですが、油断は禁物です。

実は、過剰な「糖質(砂糖や果糖)」は体内で中性脂肪に変換されます。特に果物の糖分は吸収が早く中性脂肪になりやすいため、健康に良いイメージがあっても「朝に握りこぶし1個分」程度に抑えるのが理想です。

食事制限は辛いので、運動だけで数値を下げられませんか?

運動は中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やす効果が高いですが、悪玉コレステロール(LDL)を直接下げる効果は食事療法に比べると限定的です。

「たくさん動いたから揚げ物を食べても大丈夫」と考えると、かえって数値が悪化することもあります。食事(脂質の摂取制限)をベースに、運動(代謝の向上)を組み合わせるのが最も効率的な改善策です。

病院で薬をもらって飲んでいれば、好きなものを食べても平気ですか?

それは非常に危険な誤解です。薬はあくまで「数値を下げる手助け」をするものであり、暴飲暴食の帳消しをするものではありません。

乱れた食生活を続けると、薬の効果が追いつかなくなったり、薬の量を増やさなければならなくなったりします。薬を飲んでいるからこそ、食事療法を並行して行い、血管への負担を最小限にすることが大切です。

まとめ:10年後の自分のために

血管のケアは、10年後、20年後の自分へのプレゼントです。
動脈硬化が進んでからでは、取り返しがつかないこともあります。

「禁止」ばかりの苦しい生活ではなく、隠れ脂質を知り、調理法を工夫するという「賢い選択」で、美味しく健康を守りましょう。

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kawauchi
看護師/訪問診療クリニック事務長/計画相談員
私は、看護師として重症心身障害病棟・救命救急HCUに従事した後、有料老人ホームの管理者・看護部長・福祉事業部統括として、入居者の生活と医療連携の現場に携わってきました。

現在は、訪問診療クリニックの事務長として在宅医療の運営に関わると同時に、計画相談員・医療福祉コンサルタントとして、東海エリアを中心に施設紹介・身元保証・医療介護連携の支援を行っています。

病院・施設・在宅という立場の異なる現場をすべて経験してきたからこそわかる、制度論だけではない「現場のリアル」や「家族が直面する苦悩」を踏まえた発信を大切にしています。

このブログでは、現場経験に基づく実践的な情報を軸に、後悔しない選択のための情報を発信しています。
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