実家の相続、親族で揉めない唯一の方法。「共有名義」の悲劇と換価分割の手順【2024年法改正対応】

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「うちの親族は仲が良いから、相続で揉めるなんてありえない」
「とりあえず、実家は兄弟や姉妹の共有名義にしておこう」

もし、そう考えているなら赤信号です。

その「とりあえず」が、数年後に修復不可能な骨肉の争いを招き、実家が「負動産」化する典型的なパターンだからです。

長年、多くの家族を見てきましたが、相続トラブルの原因のほとんどは「分けられない不動産」にあります。
現金と違って「1円単位」できれいに分けることができないからです。

この記事では、医療・介護の現場で多くの家族の悩みを聞いてきた私が、実家の相続で絶対に避けるべき「共有名義」のリスクと、親族全員が納得できる解決策「換価分割(かんかぶんかつ)」について、最新の法改正(相続登記義務化)も踏まえて解説します。

結論:困る前に対処しておきましょう。

目次

なぜ「とりあえず共有名義」は悲劇を生むのか

遺産分割協議で話がまとまらない時、思考停止して「とりあえず法定相続分(兄1/2、弟1/2など)で登記しておこう」という結論になりがちです。
しかし、これは問題を先送りしただけでなく、将来のトラブルの種を蒔いているのと同じです。

不動産は「1つのトイレ」を分け合えない

想像してみてください。一つの家を兄弟で共有している状態です。

民法では、共有物の変更(売却や大規模修繕など)には「共有者全員の同意」が必要とされています。

  • 兄(所有権50%):「子供の学費が必要だから売りたい」
  • 弟(所有権50%):「将来住むかもしれないから残したい」

このように意見が食い違った瞬間、その不動産は「塩漬け(売ることも貸すこともできない)」になります。
たった一人が「NO」と言えば、何も動かせなくなるのです。

2024年「相続登記の義務化」で放置リスクが激増

さらに追い打ちをかけるのが、2024年(令和6年)4月からスタートした「相続登記の義務化」です。

正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料の適用対象となります。法務省:相続登記の申請義務化について

「共有名義のまま放置して、なんとなくうやむやにしておく」という逃げ道は、もはや国によって塞がれました。
放置すれば罰則があり、さらに固定資産税というコストも発生し続けます。

さらに恐ろしい「数次相続(すうじそうぞく)」
塩漬けのまま兄が亡くなると、兄の持ち分はその子供や妻に相続されます。
こうして権利者がネズミ算式に増え、顔も知らない親戚同士でハンコを貰い歩かなければ売却すらできない……これが空き家問題の正体です。

解決策:公平に分けるなら「換価分割」一択

では、どうすれば兄弟仲を壊さずに済むのでしょうか?
答えはシンプルです。分けにくい不動産を、分けやすい「現金」に変えてしまえばいいのです。

換価分割(かんかぶんかつ)とは?

不動産を売却し、仲介手数料や譲渡所得税などの諸経費を引いて、手元に残った現金を相続分に応じて分配する方法です。

スクロールできます
項目共有名義(現物分割)換価分割(現金化)
公平性△(立地や状態で不公平感)◎(1円単位で配分)
将来のリスク×(売却不可・管理トラブル)◎(後腐れなし)
維持費×(税金・修繕費が継続)◎(売却後はゼロ)

✅換価分割のメリット

  • 完全な公平性:金額で分けるため、「兄貴だけいい思いをして」といった不満が出ない。
  • 関係の清算:不動産という「共有の鎖」を断ち切ることで、将来のトラブルを予防できる。
  • 節税効果:空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除(※要件あり)を使える可能性がある。

「家」という形あるものに固執すると感情論になりますが、「お金」という数字に変換すれば、遺産分割協議は驚くほどスムーズに進みます。

【実践】いくらで分けられる?まずは査定から

換価分割をするにしても、「この家がいくらになるのか」が分からなければ、机上の空論です。
遺産分割協議の席で、「売れば〇〇万円くらいになりそうだ」という客観的な数字(査定書)があるだけで、議論は建設的になります。

ここで重要なのは、物件の状況に合わせて「適切な依頼先」を選ぶことです。

もしくは多方面から評価(2社相見積もり)で、今後の対応を考えるのもありです。
評価額に差があり、「こんなに高く売れるんだったら自分で片付ける」となった事例もあります。

ルートA:資産価値を最大化する

「家が比較的きれい」「少しでも多く現金を残して分けたい」
実績No.1の信頼性の三井のリハウス

都市部や住宅街にある実家なら、迷わず大手仲介業者に依頼しましょう。

「適正価格」を知ることで、兄弟間での「安く買い叩かれたのでは?」という疑心を防げます。
業界最大手の豊富な取引データに基づく査定は、親族間での話し合いにおいて強力な「証拠」になります。
3ヶ月以内の売却成約率が高いのも特徴です。

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ルートB:トラブルの元を即消滅させる

「ボロボロで売れそうにない」「片付けを誰がやるかで揉めている」
→不動産買取「ワケガイ」 揉める前に現金化、鍵を渡すだけで楽に売却可能

築古、雨漏り、ゴミ屋敷化している場合。修繕や遺品整理の押し付け合いになる前に、現状のまま手放すのが賢明です。
残置物(荷物)がそのままでも買い取ってくれます。
「面倒な実家」を即座に現金に変え、スパッと分けて解散できます。再建築不可物件なども対応。

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実家の相続に関する質問

兄弟のうち一人だけが「売りたくない」と反対しています。どうすればいいですか?

共有名義にしてしまうと、反対者がいる限り売却できません。まずは「換価分割」で得られる現金のメリットを提示しましょう。それでも住み続けたいと主張する場合は、その兄弟に他の兄弟の持分を現金で買い取ってもらう(代償分割)よう交渉するのが現実的です。

実家の名義変更(相続登記)をしてからでないと、査定や売却はできませんか?

査定は未登記でも可能です。ただし、最終的な「売却契約」や「引き渡し」には相続登記が必須です。現在は、司法書士と連携して登記手続きと売却活動を同時進行でサポートしてくれる不動産会社も多いため、まずは査定の段階で担当者に相談することをお勧めします。

換価分割をした場合、税金はどうなりますか?

売却して利益が出た場合、「譲渡所得税」がかかります。この税金も「必要経費」として売却代金から差し引き、残った手取り現金を兄弟で分配するのが一般的です。また、条件を満たせば「空き家の3,000万円特別控除」等の特例が使える場合があるため、確定申告が必要です。

売却にかかる諸費用(仲介手数料や片付け代)は誰が先に払うのですか?

基本的には、相続人の代表者が一時的に立て替えるケースが多いです。その後、売却代金が入金されたタイミングで、立て替えた分を精算(回収)し、残金を山分けします。トラブルを防ぐため、領収書は必ず全て保管し、精算時に全員に開示できるようにしておきましょう。

査定を依頼したら、必ず売らないといけませんか?

いいえ、その必要はありません。「査定額を見てから売るかどうか決める」のが一般的です。金額に納得がいかなければ断っても問題ありませんし、費用もかかりません。まずは「いくらで売れるか」という判断材料を手に入れる目的で利用して大丈夫です。

実家が遠方で、何度も通うのが難しいのですが対応できますか?

大手仲介業者や買取業者は全国対応していることが多く、郵送やオンラインでのやり取りで完結できるケースが増えています。鍵の預かり対応なども含め、何度も現地に行かずに売却を進められるか、最初の問い合わせ時に確認しておくとスムーズです。

まとめ:円満相続の秘訣は「家を残さない」決断

親御さんが大切にしてきた家だからこそ、その家が原因で兄弟仲が悪くなり、絶縁状態になることだけは避けなければなりません。
私がこれまで見てきた中で、最も後腐れがなく、全員が納得したケースは例外なく「換価分割」でした。

STEP
共有名義は絶対に避ける

「とりあえず」は禁物。リスクを共有し、売却の方向で合意形成を図ります。

STEP
査定書を取得する

「売ったらいくらになるか」という現実的な数字をテーブルに乗せます。これが全ての出発点です。

STEP
現金化してきれいに分ける

経費を引いた現金を1円単位で分割。これで相続手続きは完了です。

まだ話し合いが始まっていない段階でも、「査定書」という客観的な資料が手元にあるだけで、あなたが主導権を持ってスムーズに、そして冷静に話を進められるようになります。

まずは一歩、現状の価値を知ることから始めてみてください。

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kawauchi
看護師/訪問診療クリニック事務長/計画相談員
私は、看護師として重症心身障害病棟・救命救急HCUに従事した後、有料老人ホームの管理者・看護部長・福祉事業部統括として、入居者の生活と医療連携の現場に携わってきました。

現在は、訪問診療クリニックの事務長として在宅医療の運営に関わると同時に、計画相談員・医療福祉コンサルタントとして、東海エリアを中心に施設紹介・身元保証・医療介護連携の支援を行っています。

病院・施設・在宅という立場の異なる現場をすべて経験してきたからこそわかる、制度論だけではない「現場のリアル」や「家族が直面する苦悩」を踏まえた発信を大切にしています。

このブログでは、現場経験に基づく実践的な情報を軸に、後悔しない選択のための情報を発信しています。
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