「田舎で一人暮らしの親が心配だから、こちらに呼び寄せて同居することにした」
「実家の近くには病院がないから、私の家の近くのマンションに引っ越しさせる」
遠距離介護の負担を減らすために、親御さんを呼び寄せる決断をしたあなた。本当にお疲れ様です。
親御さんの安全は確保できそうですが、一つだけ「絶対に放置してはいけない問題」が残されています。
それは、無人になった「実家」です。
「とりあえず荷物はそのまま」「落ち着いたら片付けに行く」と考えていませんか?
現役のクリニック事務長として断言しますが、同居を機に実家を「なんとなく放置」してしまい、数年後に「固定資産税の激増」や「親の認知症進行による資産凍結」で詰んでしまうケースが後を絶ちません。
この記事では、呼び寄せ後の生活を守るために、遠方の実家を「お荷物」ではなく「将来の資金(最強の保険)」に変えるための正しい手順と、絶対に知っておくべき税制の期限について解説します。
結論:損しないようになるべく早く、適正価格で売りましょう。
呼び寄せ後の「実家放置」が危険すぎる3つの理由
物理的に距離がある場合、管理のために帰省することは困難です。
国交省のデータでも、空き家は適切な管理がされないと急速に老朽化することが示されています。
具体的にどのようなリスクがあるのか見ていきましょう。
1. 維持費だけで年間数十万円が消える
親御さんの生活費があなたの家計に乗っかってくる状態で、誰も住んでいない家の維持費を払い続けられますか?
一般的な戸建て住宅の場合、ただ所有しているだけで以下のコストがかかります。
| 費目 | 年間費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 10万〜30万円 | 場所や評価額による |
| 火災保険料 | 3万〜10万円 | 空き家は一般住宅より割高になる傾向 |
| 光熱費(基本料) | 2万〜5万円 | 凍結防止や換気のために契約維持が必要 |
| 庭木剪定・草刈り | 5万〜10万円 | 業者に依頼した場合(年1〜2回) |
| 合計 | 約20万〜55万円 | 10年で200〜500万円の損失 |
※一般的な地方都市の戸建てを想定した概算
実家を売却すれば、これらの「負債」がゼロになるだけでなく、まとまった「現金」が手に入ります。
2. 「特定空家」認定で税金6倍のペナルティ
「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、倒壊の恐れや衛生上有害と判断された空き家は「特定空家」に指定されます。
特定空家のペナルティ
自治体からの勧告を受けると、固定資産税の「住宅用地の特例(1/6に減額)」が解除されます。
つまり、翌年から固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。
遠方に住んでいると、台風で瓦が飛んだり、庭木が隣家に侵入したりしても気づけません。
近隣住民からの通報で行政代執行(強制解体)となり、数百万円の解体費用を請求されるリスクもあります。
3. 【最重要】「同居解消」の時の命綱がない
看護師としてシビアな現実をお伝えします。
「親孝行したい」という気持ちで始めた同居でも、生活リズムの違いや認知機能の低下により、限界を迎えるご家族をたくさん見てきました。
「もう無理、施設に入ってもらいたい」と思った時、現金はありますか?
実家が売れていれば、その売却益を入居一時金に充てられます。
しかし、実家が売れずに維持費だけを払い続けている状態では、資金不足で施設を選べず、「共倒れ覚悟で同居を続ける」という地獄に陥りかねません。
知らないと損する「2つのタイムリミット」
「もう少し落ち着いてから考えよう」という先送りが、致命的な損失を生む可能性があります。
不動産売却には明確な「期限」があるのです。
期限①:3,000万円特別控除(住まなくなってから3年目の年末)
実家を売って利益が出た場合、通常は約20%の税金がかかります。
しかし、一定の条件を満たせば「譲渡所得の3,000万円特別控除」が使え、税金をゼロにできる可能性があります。
この特例を使うための条件の一つが、「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」です。
住民票を移して長期間放置すると、この特例が使えず、数百万円単位で損をする可能性があります。
期限②:親の意思能力(認知症リスク)
不動産の売却には、所有者(親御さん)本人の明確な意思表示が必要です。
もし親御さんの認知症が進行し、「意思能力がない」と判断されると、実家は事実上の「資産凍結」状態になります。
こうなると、成年後見人を立てて家庭裁判所の許可を得ない限り、売却は不可能です。
親御さんがしっかり会話できる今のうちに行動を起こすことが、将来のトラブルを防ぐ唯一の方法です。
【診断】遠方の実家、どう処分するのが正解?
「わざわざ現地に戻って不動産屋を探す時間がない」という方がほとんどでしょう。
物件の状態に合わせて、無駄足を踏まない最適な売却ルートを選んでください。
実際に無料査定してみると「意外と高く売れる」こともあるので、本当におすすめなのは両方で無料査定して、違う視点で評価してもらうことです。
ルートA:資産価値重視(普通に住める家)
「まだ築浅で綺麗」「荷物は片付いている」「高く売りたい」
同居のリフォーム費用や、将来の施設費用をしっかり確保したいなら、業界最大手の販売力に頼るのが鉄則です。
三井のリハウス 37年連続売買仲介取扱件数No.1
全国に広がる店舗ネットワークがあるため、あなたが今住んでいる場所の最寄り店舗で、遠方の実家の売却相談が可能です。「まずはいくらで売れるか知りたい」という段階でも丁寧に対応してくれます。
ルートB:処分・スピード重視(訳あり)
「片付けに行く時間がない」「ゴミ屋敷状態」「築40年超え」
「遠すぎて片付けに行けない」「親が溜め込んだ荷物が山積み」という場合は、普通の仲介会社では断られるか、売れるまでに数年かかります。
訳あり不動産買取「ワケガイ」は 残置物そのままで売却OK
家具も服もゴミも、全てそのままで買い取ってくれます。不用品回収業者に数十万円払う必要もありません。
「鍵を渡して終わり」にできるため、遠距離介護の事後処理としては最も負担が少ない方法です。
自宅売却に関するよくある質問
- まだ売ると決めたわけではないですが、査定しても大丈夫ですか?
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はい、全く問題ありません。むしろ「いくらで売れるか」を知らないと、将来の資金計画が立てられません。「今の価値を知っておく」ことは、親御さんの資産を守るための重要な第一歩です。多くの人が情報収集の段階で無料査定を利用しています。
- 親が「家を売るのは寂しい」と反対します。どう説得すればいいですか?
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無理に説得するのではなく、リスクを具体的に共有しましょう。「空き家になって放火されたら近所に迷惑がかかる」「維持費で〇〇万円かかるから、その分を孫のために使ったり、美味しいものを食べるお金に回さない?」といった、「家を手放すメリット」を伝えると、納得してもらいやすくなります。
- 実家の荷物が山積みでゴミ屋敷状態です。片付けてから査定に出すべき?
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いいえ、無理に片付ける必要はありません。自分で業者を手配すると数十万円かかる上に、労力も膨大です。「買取(ワケガイなど)」を利用すれば、家具や不用品がそのままでも現状引き渡しで買い取ってくれます。まずはそのままの状態で相談してください。
- 古い家なので、解体して「更地」にした方が高く売れますか?
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自己判断での解体はおすすめしません。解体費用(100〜200万円程度)が売却益を上回るリスクがあるほか、更地にした瞬間に「住宅用地の特例」が外れ、固定資産税が最大6倍になるからです。まずは「古家付き土地」として査定に出し、不動産会社の判断を仰ぐのが鉄則です。
- 遠方の実家を売る場合、何度も現地に行かないとダメですか?
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最近は、契約や決済を郵送やオンラインで行えるケースが増えています。大手仲介会社や買取業者であれば、遠隔地での取引ノウハウが豊富です。また、司法書士に代理を依頼することも可能ですので、最初の相談時に「遠方に住んでいて頻繁には行けない」と伝えておきましょう。
- 親が施設に入った後、空き家の火災保険はどうすればいい?
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必ず保険会社に連絡し、用途を「一般物件(専用住宅)」から「空き家(一般物件)」に変更してください。人が住んでいない空き家は放火リスクが高いため、通知義務を怠ると、万が一火災が起きても保険金が支払われない可能性があります。契約内容の確認は必須です。
まとめ:実家の整理は「親がこちらに来た時」がラストチャンス
親御さんが実家を離れたタイミングこそ、売却の絶好の機会です。
人が住まなくなった家は、半年もすれば湿気がこもり、カビが発生し、資産価値がガクンと落ちます。
まずは机上査定(ネットで完結) 現地に行かなくても、スマホから概算価格を知ることができます。
「売却益 + 親の年金」で、将来もし施設に入ることになっても賄えるか計算します。
これが心の安定剤になります。
「いざとなったら実家のお金がある」という安心感が、優しく介護するための秘訣です。
親御さんの意思能力がはっきりしている今のうちに、家族で話し合ってみてください。
同居や近居の準備で忙しい時期かと思いますが、査定依頼だけ済ませておけば、後々の面倒ごとは劇的に減ります。
「あの時やっておけばよかった」と後悔しないために、今すぐ一歩を踏み出しましょう。

