目次
はじめに:親の在宅療養で迷ったとき、まず知っておくべきこと
「訪問診療」と「訪問看護」は、どちらも自宅で医療を受ける際に利用される重要なサービスですが、それぞれの役割や提供内容には明確な違いがあります。親の在宅療養を検討している家族にとって、この違いを理解しておくことはとても大切です。
本記事では、制度や費用、対象者の違いなどを専門的かつわかりやすく解説し、「どちらを利用すべきか」「両方必要なのか」といった疑問に答えていきます。
訪問診療とは?|医師が行う在宅医療の中心的サービス
訪問診療とは、医師が計画的に定期訪問し、診察や薬の処方、必要な医療処置を行うサービスです。高齢や障害、疾病などで通院が困難な方に対して提供されます。
- 対象者:通院困難な方(要介護者・がん末期・難病など)
- 頻度:月1〜2回程度(医師の判断による)
- 対応内容:診察、処方、点滴、終末期医療、在宅酸素療法など
- 緊急時対応:24時間連絡体制(加算算定が必要)
訪問看護とは?|看護師などが提供する医療的ケアとサポート
訪問看護は、看護師(または理学療法士など)が自宅を訪問し、医師の指示に基づいて医療ケアや日常的な看護支援を行うサービスです。医療保険または介護保険のどちらかを使って利用されます。
- 対象者:退院後の療養者、慢性疾患、精神疾患、終末期など
- 頻度:週1〜複数回(状態による)
- 対応内容:バイタルチェック、服薬管理、創傷処置、点滴管理、排泄支援など
- 役割:医師との連携、家族支援、生活の質の向上
訪問診療と訪問看護の違い|費用・役割・利用条件を比較表で整理
項目 | 訪問診療 | 訪問看護 |
---|---|---|
主な提供者 | 医師 | 看護師・療法士 |
提供目的 | 診察・医療処置・薬の処方 | 看護ケア・日常的な健康管理 |
利用保険 | 医療保険 | 医療保険または介護保険 |
訪問頻度 | 月1〜2回 | 週1〜複数回 |
緊急対応 | 24時間対応(体制加算あり) | 医師の指示に基づき連携 |
よくある勘違いと注意点|「どちらか一方だけでOK」は危険?
訪問診療と訪問看護は一方のみで完結するサービスではありません。訪問診療がないと、訪問看護は医療的ケアを提供できないケースがあります。
よくある勘違い:
- 「訪問看護だけお願いすれば医師も来てくれる」→ ✕
- 「訪問診療を入れていれば全部やってもらえる」→ ✕
- 「ケアマネに頼んだから医療サービスも入るはず」→ ✕
サービスの選定は、医師の指示・訪問看護ステーションの判断・ケアマネの支援を通して調整される必要があります。
実際の在宅医療はどう進む?|訪問診療と訪問看護の連携の流れ
実際には、以下のような流れで在宅医療が始まり、連携して進行していきます。
- かかりつけ医や病院からの紹介
- 訪問診療の初回診察(訪看指示書の作成)
- 訪問看護ステーションの契約・開始
- 月1回の訪問診療・週1回以上の訪問看護
- 必要時の緊急対応や入院の判断
よくある質問(FAQ)
Q1. 訪問看護と訪問診療、どちらから始めればいい?
まずは訪問診療(医師)の初回診察が入口となることが多いです。医師の指示書があって初めて訪問看護が動ける仕組みになっています。
まずは訪問診療(医師)の初回診察が入口となることが多いです。医師の指示書があって初めて訪問看護が動ける仕組みになっています。
Q2. どちらも同時に使うと費用が高くなりませんか?
費用はかかりますが、公的保険内で提供されるため、自己負担額は限定的です。高額療養費制度や訪問看護の介護保険利用などで軽減されるケースもあります。
費用はかかりますが、公的保険内で提供されるため、自己負担額は限定的です。高額療養費制度や訪問看護の介護保険利用などで軽減されるケースもあります。
Q3. 土日や夜間でも対応してくれる?
訪問診療の医師が24時間対応体制をとっていれば、土日夜間も緊急対応可能です。訪問看護も体制加算により緊急訪問看護を行う事業所もあります。
訪問診療の医師が24時間対応体制をとっていれば、土日夜間も緊急対応可能です。訪問看護も体制加算により緊急訪問看護を行う事業所もあります。
まとめ:我が家に必要な在宅医療の見極め方
訪問診療と訪問看護は、どちらも在宅療養を支える大切なサービスです。片方だけで成り立つものではなく、両者が連携してはじめて機能します。
在宅医療を始める際は、「どちらを使うか」ではなく「どう組み合わせて支援してもらうか」が重要です。判断に迷ったら、主治医やケアマネージャー、地域包括支援センターに相談してみましょう。
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