パーキンソン病の薬物治療は高額?【薬の作用・副作用と負担を減らす方法】

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パーキンソン病の薬を飲んでいるor管理している人で、こんな悩みがある人いませんか?

パーキンソン病の薬を飲み始めたけど、薬の数が増えて薬代が高額になってしまわないか心配。
薬の種類が多くて、薬の種類やどんな作用・副作用があるのかわからない。


私の施設には悩んでいる人がたくさんいたので、以下の項目にわけて解説していきます。

  • パーキンソン病の薬物治療は高額?
  • 薬の特徴と作用
  • 薬の副作用と注意点

お金の心配、効き目・副作用の心配が解決できるように解説していきます。

パーキンソン病の薬物治療は高額?

結論、高額になりやすいですが、心配ありません
パーキンソン病の薬は、高価なものが多く、長期的に内服することになるため金銭面での負担になります。
しかし、難病医療費助成制度という制度を利用することで、自己負担額が医療費の2割(もしくは自己負担額上限額)までとなり、オーバーした分の費用負担はなくなります

難病医療費助成制度については、武田薬品工業株式会社さんのHPにわかりやすく載っていました。
自己負担額の上限額などがいくらかわからなかったり、どのくらいが自己負担になるのか心配な方は、介護保険料って誰がいくらもらえる?【介護保険料の限度額と自己負担額】を参考にしてみてください。
また、札幌パーキンソンMS神経内科クリニックの院長先生のように、金銭面の相談もできる先生がいるので、かかりつけ医に相談してみましょう。

薬の特徴と作用

パーキンソン病の薬物療法のメインは、ドパミン系+非ドパミン系の併用です。
パーキンソン病によって不足しているドパミンをどうやって補充するか、どうやって脳内でドパミンを長持ちさせるかが重要になってきます。

ドパミン系であるL-ドパ(エルドパ・レボドパ)とドパミンアルゴニストというお薬と、非ドパミン系の薬剤を組み合わせて内服することで、ドパミン系薬剤の効果を高めることができます。
非ドパミン系の薬剤には、MAO-B阻害薬やCOMT(カテコール-O-メチル転移酵素)阻害薬、アマンタジン(ドパミン遊離促進薬)、抗コリン薬、ドロキシドパ(ノルアドレナリン補充薬)、ザニサミド(ドパミン賦活薬)、アデノシン受容体拮抗薬があります。

難しい言葉ばかりなので、以下で1つ1つ解説していきます。

L-ドパ(ドパミン系)

L-ドパは、パーキンソン病のドパミンが不足しているのを補うための薬で、ドパミンの原材料のようなイメージで捉えてください。
ドパミンは直接飲んでも脳内に入れないので、原材料を飲んで脳内でドパミンが作られるようになります。

商品名/配合薬品名
ネオドパストン、メネシット/レボドパ+カルビドパ
イーシー、ドパール、ネオドパゾール、マドパー/レボドパ+ベンセラジド

ドパミンを補えるため、多くの方に効果がありますが、長期間使用するとウェアリングオフやジスキネジアなどの副作用が出現しやすくなります。

ドパミンアゴニスト(ドパミン系)

ドパミンアゴニストは、ドパミンの代わりになってくれる物質なので、ドパミンが出ているのと同じような状態になります。

L-ドパと比較すると効果が長く続くため、ウェアリングオフ(薬の効果が薄くなったり濃くなったりする状態)やジスキネジアなどが出現しにくいメリットがありますが、導入時(服用開始時)に副作用が出やすいのがデメリットです。

ドパミンアゴニストの主な副作用としては、消化器症状・肺胸膜線維症・心臓弁膜症・眠気や突発的睡眠・幻覚妄想などがあります。
麦角系と非麦角系にわけられ、副作用の内容や特徴がことなります。

麦角系

麦角系の副作用のメインは消化器症状で、吐き気止めを一緒に内服しても吐き気が治らず、内服できない症例もありました。
また、稀ではありますが肺胸膜線維症や心臓弁膜症の報告もあります。
麦角系を内服するメリットとしては、眠気や突発的睡眠・幻覚妄想の副作用が、非麦角系より少ない傾向にあります。
麦角系には以下の種類があります。

  • カバサール(カベルゴリン)
  • パーロデル(ブロモクリプチンメシル酸塩)
  • ペルマックス(ペルゴリドメシル酸塩)

カバサールは1日1回の内服で効果が期待できますが、不安を増強させることがあります。
ペルマックスは基本的にL-ドパとセットで内服することになります。

非麦角系

非麦角系の副作用のメインは眠気や突発的睡眠で、かなり強い眠気が出たり眠気を感じていない状態で突然寝てしまうこともあります。
メリットとしては、麦角系に比べ肺胸膜線維症や心臓弁膜症の報告が極めて少ないので、人体にとっての安全性が高いと考えられます。
非麦角系には以下の種類があります。

  • ドミン(タリペキソール塩酸塩)
  • ビ・シフロール(プラミペキソール塩酸塩水和物)
  • レキップ(ロピニロール塩酸塩)

ドミンの特徴としては、眠気や突発的睡眠のが出やすいため、寝る前に内服することが推奨されています。
ビ・シフロールは抗不安効果がある代わりに、睡眠や突発的睡眠・幻覚妄想の出現率が高く、物忘れや病的賭博などの副作用も出る可能性があります。
個人的にはレキップが1番自然な作用をしている感じがあり、他の薬と比べると副作用が少ないです。ですが、合う合わないがあったり、人によって作用・副作用が強く出てしまうこともあるので注意は必要です。

MAO-B阻害薬(非ドパミン系)

サフィナミドメシル酸塩/商品名:エクフィナ

マオビー阻害薬と呼ばれていて、脳内でドパミンを分解する酵素(マオビー)の働きを弱める(阻害する)ことで、脳内にあるドパミンを長持ちさせることができます。

COMT(カテコール-O-メチル転移酵素)阻害薬

エンタカポン/商品名:コムタン、スタレボ、オンジェンティス

コムト阻害薬と呼ばれていて、血液中のCOMT(L-ドパを分解する酵素)の働きを弱める(阻害する)ことで、内服したドパミンを効率よく脳に届けることができます。

アマンタジン(ドパミン遊離・放出促進薬)

アマンタジン塩酸塩/商品名:シンメトレル

ドパミンを出す細胞を刺激することでドパミンの分泌を促進したり、使われなかったドパミンを再利用するように働きます。
ジスキネジアを抑える効果があることもメリットですが、幻覚・妄想の発生率が高いのと腎機能が低下している場合には低容量でしか使えないのがデメリットです。

アデノシン受容体拮抗薬

イストラデフィリン/商品名:ノウリアスト

ドパミンとアデノシンという神経伝達物質のバランスを整え、ウェアリングオフを改善する効果があります。
ドパミンが減ることでアデノシンの割合が多くなり神経のバランスが悪くなります。神経のバランスが悪くなることは様々な症状の原因になるため、L-ドパでドパミンを補充しつつ、アデノシン受容体拮抗薬でアデノシンを減らすイメージです。

抗コリン薬

トリヘキシフェニジール/商品名:アーテン

抗コリン薬は、ドパミンとアセチルコリンという神経伝達物質のバランスを整えるための薬です。
アデノシン受容体拮抗薬と同様、神経伝達物質のバランスが悪くならないようにするための薬です。

ドロキシドパ(ノルアドレナリン補充薬)

ドロキシドパ/商品名:ドプス

ドパミンの減少に伴い減少するノルアドレナリンを補充することで、パーキンソン病の症状を改善させます。
立ちくらみや足のすくみなどの症状改善に効果的で、意識低下・失神などの症状が改善する場合もあります。

ゾニサミド(ドパミン賦活薬)

ゾニサミド/商品名:トレリーフ、エクセグラン

L-ドパと併用で使用する薬で、ウェアリングオフや振戦に有効です。
エクセグランはてんかんに使用され1錠100mgですが、パーキンソン病に使用されるのはトレリーフという商品名で、1錠25mgで2錠まで使用します。

薬の副作用と注意点

副作用を、以下の順番で解説していきます。

  • 薬の飲み始めの時期に気をつけたい副作用3つ
  • 薬を飲んでいる期間中に気をつけたい症状3つ
  • 薬を長期間飲んでいる時に気をつけたい副作用3つ

出現している症状がパーキンソン病による症状である可能性もありますが、パーキンソン病の症状であれ副作用であれ、気になる症状がある場合には医師に相談し薬を調整してもらいましょう
代表的な副作用は、パーキンソン病の薬を飲んでいたら出現する可能性が高いので要チェックです。
また、特定の薬で出現しやすい副作用もあるので、気になる症状がある方は医師に相談してみましょう。

薬の飲み始めの時期に気をつけたい副作用3つ

薬の飲み始めの時期に気をつけたい副作用は以下の3つです。

  • 胃腸の症状
  • 眠気・突発的睡眠
  • 立ちくらみ

胃腸の症状

胃腸の症状は特に、胃の不快感・胸焼けなどの症状、吐き気や嘔吐の症状が強く出ることがあり、食事や薬を食べたり飲んだりすることが大変になります。また、便秘の症状も出やすいため、パーキンソン病の薬と一緒に吐き気止めや便秘薬を処方されることがあります。

眠気・突発的睡眠

眠気は他の薬でも出やすい副作用の1つですが、パーキンソン病の薬では突発的睡眠という「眠くなくても突然眠ってしまう」副作用があります。この副作用が運転中などに出てしまうと事故を起こす可能性もあるので注意が必要です。

立ちくらみ

立ちくらみはパーキンソン病による自律神経症状でも出現する可能性が高く、立ち上がることによる血圧低下が原因で立ちくらみだけでなく失神することもあるので注意が必要です。

薬の副作用だけではなく、パーキンソン病の自律神経症状による血圧低下の場合には、起立性だけではなく食後や運動後・排尿排便後にも血圧が低下し、失神やめまいなどの症状が現れます。

自律神経症状は他にもいろんな症状があり、体調不良の原因となることがあります。症状や原因については、自律神経の乱れるによる症状と原因【自律神経を整えて体調不良を改善】で解説しているので参考にしてみてください。

薬を飲んでいる期間中に気をつけたい症状3つ

副作用ではありませんが、薬を飲んでいる期間中に気をつけたい症状は以下の3つです。

  • ウェアリングオフ現象
  • オンオフ現象
  • ジスキネジア

ウェアリングオフ現象

L-ドパの効果が短くなることで、パーキンソン病の症状を安定して抑えることができなくなり、調子が良かったり悪かったりと調子の波ができるようになります
もし、ウェアリングオフ現象が気になる場合は医師に相談し、薬の飲む回数を調整したり他の薬を併用して対応してもらいましょう。

オンオフ現象

言葉の通り、オンとオフの切り替わりが突然起こってしまいます。

薬の効果が突然切れてしまい、動けなくなってしまう。
薬の効果が突然現れて、いきなり動けるようになる。

上記のようにオンとオフの切り替わりが顕著に現れる場合には、医師に相談し、薬の追加や変更・調整しながら様子をみていくことになります。

ジスキネジア

薬の効果が強く出てしまい、手や足が勝手に動いてしまうことをジスキネジアといいます。勝手に手足が動き始めたら医師に相談し、薬の量や種類を調整してもらいましょう。

薬を長期間飲んでいる時に気をつけたい副作用3つ

薬を長期間飲んでいる時に気をつけたい副作用の3つは以下の通りです。幻覚とむくみの症状は、薬を飲み始めた時にも出ることがあります。
パーキンソン病の症状でも出現することがありますが、副作用のよる症状の可能性もあります。気になる症状が持続している場合は医師に相談しましょう。

  • 幻覚
  • むくみ
  • ドパミン調節異常症候群

幻覚

幻覚は、アマンタジン・ドーパミンアゴニスト・抗コリン薬のアーテンなどの副作用である可能性があります。
パーキンソン病のメイン薬剤となるL-ドパは幻覚を引き起こしにくい傾向にあります。

むくみ

むくみは心臓や腎臓・肝臓の病気が原因である可能性もありますが、パーキンソン病の薬を内服中の人はドパミンアゴニストの副作用である可能性があります。
心臓・腎臓疾患の場合は特に早期治療が重要ですので、副作用と決めつけず医師に相談してみましょう

ドパミン調節異常症候群

ドパミン調節異常症候群により様々な「衝動」が抑えられなくなることで、人生が生きにくくなります。

例えば、ギャンブルや性的欲求・過剰な浪費・過剰な食欲などが抑えられなくなって、衝動的に行動してしまうことになります。

そのため社会的損失なども相まって、生活することが困難になったり日常生活が不便となる可能性があります。

終わりに

パーキンソン病の薬は、病気を治す薬ではなく症状を抑えるための薬で、飲み続けなければなりません。
そんなパーキンソン病の薬で悩んでいる問題があると、日常生活や身体活動に影響が出るため、充実した日々を過ごせなくなると思います。
この記事や他の記事を読むことで、1つでも参考になったり悩みが解決できれば幸いです。